表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/14

プロローグ

 俺の悪いところはすぐに有頂天になるところだ。

 そんなことは学生の頃から自覚していた――つもりだった。


 村上秀悟むらかみしゅうごと書かれた最後の給与明細。

 中途半端な会社に勤続三年では退職金は微々たるものだった。


 それなりに頑張って就活して入ったわけだけど、営業成績が上がり始めて調子に乗っていたのが良くなかった。

 いつの間にか先輩方の反感を買うようになり、最後は人員削減のターゲットにされてしまった。


 いや、もういい……どうにもならないんだ。

 三流私大の心理学部出にしてはよく頑張った。


 そんなこんなで、負け犬気分を味わった俺は大学院に入り直して臨床心理士の資格を取ろうと思い立ったわけである。人生の軌道修正をかけて。

 まあ、手に職つけようにもゼロからやり始めるには時間とコストがかかるし、心理学の授業はわりと面白かったから。


 そんなある晩、看護師をしている姉から電話があった。


「あんたさあ、ボランティアに興味ない?」

「……ボランティア? えっ、何の?」


 それは唐突な話題だった。


「看護学校の同期が勤めてるクリニックで、手伝いを募集してるんだってさ」

「手伝いだって? 何だかずいぶん曖昧だな」


 言外に押しつけがましいニュアンスを感じた。


「ニート満喫してるぐらいなら、世間に奉仕しなさいよ。それに臨床心理士になるつもりなら、心療内科に出入りするのは勉強になるんじゃない?」

「うーん、わかった。それじゃあ、クリニックの名前と連絡先おしえてよ」


 この一本の電話から、俺はメンタルクリニックという名のカオスに足を踏み入れることになった。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

人生経験を元にした架空のストーリーです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ