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旧・オネショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!   作者: 井伊 澄州
第1章 オネショタな俺が転生したらエロフに騙された!
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449 秋の恒例行事

 今年も魔法学園祭の季節がやってきた。

今年の俺は大森林を開拓したり、子爵に叙爵されたりと忙しかったので、さすがにクラスの出し物には参加できない。

しかし級友たちも5年生になって、それぞれの事があるので、結局今年はクラスでの参加はなくなったようだ。

それでも俺は窮理部と料理部の出し物に関しては、色々と時間の合間に考えていた。


 窮理部では紙飛行機の準備に余念がない。

そして今年の俺はもう2つ用意してある物があった。

 

 その一つはスチューのお待ちかね、望遠鏡だ。

この1年間、何とかしてこれの大量生産をしようと俺たちは考えていた。

何しろ今までは一本一本が手作りだったために、そうそう数が作れなかったのだ。

俺がジーモンに望遠鏡の作り方を教えたので、すでに低倍率の物がいくつか作られていた。

ジーモンやミヒャエルたちはそれを親しい貴族や友人たちに贈り、自慢していたようだ。

そしてミヒャエルたちの自慢話でロナバールはおろか、帝都でも望遠鏡の話が広がっていたので、これを販売するとなると、相当騒ぎになる事は予想できた。

それを学園祭で販売するからには最低でも100本単位、欲を言えば1000本単位で作りたい。

それに学園祭の後は、サクラ魔法食堂でも販売をしたいのだ。

そうして考えた結果、俺は「旋盤せんばん」を作る事にした。

旋盤せんばんとは一般的にはあまり知られていないが、工作機械の基本のような物だ。

簡単に言えば材料を回転させて刃物で削り、形を加工する機械の事だ。

この機械により、円柱、円錐、円筒形などの物が簡単に加工できるようになる。

望遠鏡の本体は円筒なので、この旋盤で恐ろしく早く加工が可能となった。

もちろんまだこの世界に電気などはないので、動力源は魔力だ。

旋盤型のジャベックを作り、それで規格の整った木の円筒を作り始めると、恐ろしく仕事が捗る様になった。

その旋盤を見たスチューは驚いた!


「おいおい!流石はシノブだな!

この「旋盤せんばん」ってのは、恐ろしく仕事が早い上に、随分と応用も効きそうだな?」

「うん、これは色々と使い道が広いよ。

 何しろ工作機械の基本だからね」

「工作キカイってなんだ?」

「ああ、キカイってのはね。

 自動で動くからくり仕掛けの道具の事だよ」

「ん?それはジャベックやタロスと、どう違うんだ?」

「ジャベックやタロスは魔力で動くけど、機械はそれ以外の力で動くんだ」

「それ以外の力って何だ?」

「蒸気とか火とか水の力だね。

 まあ、これは半分ジャベックだから魔力に頼っているけどね。

 本当は全く魔力なしで動く物なんだ」

「なるほどな」

「うん、スチューはずいぶんとこの旋盤が気に入ったみたいだね?」

「ああ、これは国に良い土産が出来たぜ!

 これの作り方を覚えて持って帰りゃ、親父を唸らせる事、間違いなしだ!

 あの親父は俺がここに遊びに来ていると思っていやがるからな!

 まあ、悔しい事にそれは間違っちゃいないんだが、これを土産に持って帰りゃ、そんな事も言わせないですむぜ!」

「ああ、これは我が帝国でも色々と役に立ちそうだね?」

「全くでござる!」


ローレンツとギュンツも旋盤には感心したようだ。

この旋盤により、木の円筒が大量生産可能となって、望遠鏡が量産できるようになった。

まだ倍率は5倍ほどだが、それでも来場した人たちは感心して、用意してあった500個ほどの望遠鏡は期間中に全て売り切れた!

説明書にも書いてあるのだが、売る時に念を入れて、絶対にラディを見ないようにと一人一人に説明するのが大変だったが・・・


 もう一つは輪ゴムだ。

実は書類をまとめたりするのに輪ゴムが欲しかったのだが、この世界にはまだ輪ゴムはなかった。

しかしゴムの木らしい物は見つけたので、俺はそれの樹液を採取して、それに硫黄などを混ぜてゴムを作っみた。

それをクレインに見せて、食堂部門の二人ばかりの魔道士にゴムの研究をさせていたのだ。

その結果、大実験の頃には、ほぼ俺が前世で使っていた輪ゴムに近い物が出来て書類の整理などに役に立った。

それを使って俺は輪ゴム鉄砲や糸巻き戦車などを作った。

それを見たスチューはまたもや大喜びだった。


「おいおい!何だこりゃ?

紙飛行機にも驚いたが、こいつはどうなってやがる?

ジャベックでもないし、魔力も使ってないくせに、こんなに動くとはな!」

「これはこの輪ゴムを動力に使ったおもちゃさ」

「ほう?確かにこいつは書類をまとめるのに便利だったが、こんな事にもつかえるとはね?」


ローレンツとギュンツも賛同する。


「ああ、これは今年の出し物にはピッタリだね!」

「賛成でござる!

 これと紙飛行機、それに望遠鏡があれば、今年の魔法学園祭も、窮理部の大盛況間違いなしでござる!」


 こうして窮理部の出し物は折り紙と望遠鏡とゴム動力作品となった。

ゴムの力を使ったゴム動力車(糸巻き戦車)やゴム砲(ゴム鉄砲)は大評判となった!

やはりそれは主に男子に好評で、窮理部に来た10代の少年たちは興奮して紙飛行機とゴム動力に熱中した。

男の子たちは紙飛行機で飛行距離を競ったり、ゴム車同士で戦わせてみたり大騒ぎだった!


「いけっ!そこだっ!押し出せ!」

「こっちは輪ゴムを2本使っているんだ、負けないぞ!」

「何だと!卑怯な!それならこっちは輪ゴム3本だ!」


おかげで紙飛行機同様、いやそれ以上に輪ゴムは恐ろしい勢いで売れている。

そして学園祭の最中にゴム動力車を見た3人組の男子が興奮して俺たちの所へやってきた。

髪の毛が見事に金・赤・黒に分かれた三人組だ。

制服からすると、どうやらうちの中等学校の生徒らしい。


「あ、あの、これは、一体どうゆう物なのでしょうか?」

「ああ、これはゴムを動力としたおもちゃさ」

「ゴム?」

「ああ、この茶色い伸び縮みする奴さ」


俺がそう言って輪ゴムを手にしてビヨンビヨンと伸び縮みさせて見せる。

それを見た三人の中で中心人物らしい金髪の男子が興奮して自己紹介する。


「感動しました!

僕は中等部の3年生でシャルス・クレイモアと言います!」


シャルスか?

名前も似ているし、金髪でどことなくシャルルに似ているな?

髪の赤い男子生徒も自己紹介する。


「僕はルイ・アカイネンです!」


アカイネンね?

ちょうどこの子は髪も赤いので俺としては覚え易い。

そして黒髪の子が望遠鏡を握りしめて俺に話す。


「僕はフィリップ・クロイスマンと言います!

ゴム車もですが、僕は望遠鏡に感動しました!

魔力も使わずに遠くの物が近づいて見えるなんて凄いです!」


この子も名前にクロが入っているので覚えやすい。

三人ともゴム動力と望遠鏡を見て相当興奮しているようだ。

そして特に興奮していた金髪のシャルスが勢いよく話す。


「実は我々は昨年も紙飛行機を見て感動したんです!

窮理部とはこういう事をするのか?と感動を覚えました!

自分たちでも色々と紙飛行機を作ってみたんです!

しかし今年のこのゴム動力と望遠鏡を見てさらに驚きました!

我々は中等部ですが、これから中等部で窮理部を立ち上げようと思います。

そうしたら僕たちも一緒にこちらの窮理部と活動させてもらえますか?」

「ああ、構わないよ。むしろ大歓迎だ」


 実は今年の窮理部は新規部員がゼロだった。

昨年の紙飛行機も大好評だったのだが、部員に応募して来たのは女子ばかりだったのだ。

それもローレンツとスチュー狙いの貴族の御嬢様やら、どこぞの富豪の娘ばかりだった。

もちろん本当に窮理に興味があれば貴族だろうが平民だろうが構わないのだが、その女子たちは物理科学には一切興味のない、あからさまに玉の輿狙いだったのでローレンツたちは参ったらしい。

これは昨年も同じだったらしく、ローレンツたちはそれにうんざりして、そのための対抗策として、俺たち以外には入部試験をしていたらしいのだ。

一つ目はアースフィア儀を見せて何の道具か当てる事。

これは簡単そうに見えて、結構難しかったようだ。

以前ミヒャエルにも言われたが、この世界ではまだまだ世界は球体ではなく、平面だという感覚が大勢を占めていて、丸いアースフィア儀を見ても、ほとんどの人間が何だかわからなかったそうだ。

 そしてその次には例の衝突球を見せて一体どういう理屈で動いているのかと聞いたらしいが、この時点で入部希望者の全員が「魔力!」と答えてしまって、全滅したらしい。

ローレンツに言わせれば例えわからなくても「魔力以外の何か」という答えでも合格にする気だったらしいが、ダメだったようだ。

 今年もその例にならい、入部試験をした所、昨年と同じく全滅した。

しかしこの3人組はどうやら本気で窮理部に興味があるようだ。

この3人組は実際、この後でそれまではなかった窮理部の中等部を立ち上げて、週に何回かは他の誘った仲間と共に、高等部の俺たちと窮理部の活動をする事になった。



 そして料理部の方では昨年の肉まんと綿菓子に加えて、もう一つの品物が加わった!

みんな大好きチョコレートだ!

この一年でクーカオの実の安定供給も実現したし、綿菓子やプリンと違って、ジャベック冷蔵庫に入れれば日持ちもするので、1ヶ月前から部員総出で作っていたのだ!

フローラが気合を入れて部員たちに発破をかける。


「さあ!皆さん!これは歴史的瞬間ですわよ!

何しろ今回はあのサクラ魔法食堂と同時に新発売なのですからね!」


ミレイユも同様だ。


「ええ、何しろ売り出すのはこことサクラ魔法食堂ロナバール本店と、メディシナー本店だけなのですからね!

しかもうちだけは魔法学校の特別仕様なのですから!」


サクラ魔法食堂で売る物も、魔法学園祭の料理部で売る物も両方とも板チョコだったが、食堂で売る物は大きな12分割できる板チョコだったが、こちらは安くするために6分割の小さめの板チョコだった。

そして事前調査的な意味合いを込めて、まだ食堂の方では発売を決定していない巴旦杏アーモンドチョコレートの販売も試みてみた。

前宣伝も十分だったチョコレートは飛ぶように売れた!

前宣伝でも


”恐ろしい魔菓子!今日あなたはこの恐ろしい魔菓子の魅力にとりつかれる!”

”今までになかった全く新しい菓子!これを食べたらあなたはこの菓子の虜になる!”


という宣伝文句で大いに来場者たちを煽った。

板チョコが一枚銀貨2枚、巴旦杏アーモンドチョコが一袋銀貨3枚と結構な値段だったが、職員会議も何とか通してもらい、販売まで漕ぎ着けたのだ!

もっともこれは学園祭の出し物を検討する職員会議の時に、実物を料理部が提出したのが大きかったようだ。

エレノアの話によるとチョコレートを食べた女性教師たちが、消極的に反対する男性教師たちの意見を押し切ってチョコレート販売を許可したらしい。

教師も人の子で甘い物には弱いのね・・・

 

 今までに誰も味わった事のない、全く新しい菓子として売り出したのだが、昨年の綿菓子の事もあって、チョコレートは3000枚も用意してあったにもかかわらず、学園祭の半ばで売り切れてしまったのだ!

部長のヘンリーと副部長のイロナも部員や来場者へ指示をするのに大忙しだ!


「綿菓子の行列はあちらです!順番に並んで下さい!

 あ、ちょっとそこの4年生、砂糖をあと1カルガルン用意して!」

「チョコレートの行列はこちらです!

 チョコレートは一人1枚です!」


来場者たちは昨年の事を覚えており、他では食べられない綿菓子をもう一度食べたい、食べ損ねた人たちは今度こそ!と考えて大行列だ!

チョコレートの前宣伝もかなりしたので、部員の口コミも手伝って、前評判は十分すぎたようだった。

「あの」料理部が全く新しい菓子を作ると聞いて人々が殺到したのだ!

結局、部員のかなりの数を割いて、綿菓子、肉まん、チョコレートの3つの行列整理をする羽目になってしまった。

そして料理部の面々は昨年以上に疲れて、部員たちは学園祭終了と同時に倒れこんだのだった。



無事に魔法学園祭も終わり、その後も俺たちは迷宮で訓練をしたり、場合によっては週末には大アンジュへ行って、町の進捗状況を確認したりして忙しい毎日を送っていた。

しかしその忙しい中、ある日、突然珍しい客が現れた。

たまたま外出中だった俺たちが家へ帰って来ると、ミルファが俺に伝える。


「御主人様、お客様がお見えです」

「お客?誰かな?」


俺の質問にミルファが答えるより早く、その人物たちが俺に挨拶をした。


「やあやあ、婿殿!お久しぶりですな!」

「どうもご無沙汰しております」


それはアンジュの両親たちだった!



こちらはあと2回の更新で引っ越し先が追いつく予定です。

それ以降はこちらの更新はしませんので、まだ引っ越し先のブックマークをしていない方は

是非、下記のブックマークをお願いします。


【引っ越し】 おねショタな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!

https://ncode.syosetu.com/n4291he/


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