414 師弟対決!
協議の結果、俺たちとエレノアの勝負はマジェストンから離れた寂れた海岸でする事となった。
そこなら誰にも迷惑はかからないからだ。
エレノアとの対決が決まった後でアンジュが俺に質問をする。
「御主人様、どうしてあんな要望を?
私達4人がかりでも負けるに決まっているじゃないですか!」
「まあ、そうだな」
俺がそう返事をすると、シルビアもアンジュに同意する。
「ええ、そうですね。
模擬魔法戦で私達4人どころか、四年生全員でかかってもいつも負けているのですからね。
いえ、おそらく全校生徒でかかってもエレノア先生には勝てないでしょう」
「賛成だ」
その俺の答えにアンジュはますます不思議がる。
「ならなぜ?」
「シノブには何か思惑があるんじゃないかい?」
そう尋ねるシャルルに俺が答える。
「ああ、今の時点ではいくら四人がかりでもエレノアには負けるだろうな。
だが、卒業までには必ず勝って見せる!
そのために一度、公式に戦っておきたいんだ」
「・・・つまり、今回の勝負は最初から負け覚悟で次回に繋げる糧にすると?」
そのシルビアの質問に俺が答える。
「まあ、そんな所だ。
だけど、負ける前提ってのだけは間違いだな。
一応、今回も俺は勝てる秘策はあるぞ?」
「どんな策なんです?」
「それをこれから説明しようってのさ」
そして勝負の日はやって来た。
俺たちとエレノアは指定された海岸に到着して勝負の時間を待つ。
周囲には俺とエレノアが作った映像ジャベックが10個ほど浮遊して、試合経過をマジェストンの大型スクリーンに投影する事になっている。
そのマジェストン校の大型スクリーン型ジャベックが設置された特設会場では観客たちが盛り上がっていた!
解説席にはエトワールさんとマージェ学長が座っている。
「さあ!みなさん、お待たせしました!
いよいよ、当マジェストン学園特別魔法試合が始まります!
今回、その勝負内容があまりに厳しいために学校の闘技場では試合不可能と判断されて、危険なために場所を海辺に変更し、現地では観客無しでの戦闘となりました。
しかし!その様子は映像撮影ジャベックにより映されて、ここマジェストン学園の特設会場にてその様子を見る事が可能となりました!
本日、実況はマジェストン学園のアイドル!高等部4年生の私エトワール・メッソン!
解説は何とぉ!マージェ学長自らの解説でお送りさせていただきます!」
いよいよ俺たちとエレノアの戦いが始まる。
俺たちは四方に分かれて、攻撃を始める。
まずはシルビアのけん制からだ。
「シルビア!頼む!」
「承知しました!」
俺がそう言うとシルビアはあらん限りのタロスを出してエレノアを攻撃する。
数による目くらましだ!
その間に俺は呪文を唱える。
「青薔薇火球!」
そしてエレノアがシルビアのタロスを撃破した所で呪文は完成する。
それを見たエトワールさんが叫びを上げる。
「おおっと!これは青薔薇火球!
青き薔薇の団長も務めるホウジョウ君の必殺魔法だぁっ!」
マージェ学長も感心して解説をする。
「ええ、これは極度に火球の温度を上げた、火炎魔法の一種ですね。
御存知のように炎の温度は低温では赤いですが、温度が上がるに従って、朱、黄、青、白と変化していきますからね。
つまりこれは相当な温度の火炎魔法と言う事です。
聞いた話によればホウジョウ君はこれで上位悪魔のマルコキアスをも葬ったと言いますからね。
非常に高度な魔法です」
その解説を受けてエトワールさんの実況にも熱が入る。
「なんと!マルコキアスも葬り去る高熱火球だぁ!
これはいきなり凄い魔法がでたぞぉ!」
しかしもちろんエレノアは余裕だ。
「青薔薇火球ですか?
でもシノブ君?私には通用しませんよ?」
「わかっているさ!
でもこれならどうだい?」
そう言うと、俺はもう一つの青薔薇火球を出す。
2つの青い火球を見たエレノアが感心する。
「・・・お見事です!よくぞそれを二つも制御できるようになりましたね?」
「ははっ!全部エレノアのおかげさ!
さあっ!行くよ!」
「ええ、どうぞ」
これでもエレノアは余裕だ。
しかしここでエレノアの想定外の事が起こる!
「青薔薇火球!」
「青薔薇火球!」
何とシャルルとアンジュまでが青薔薇火球を出したのだ!
実況席のエトワールさんも興奮して叫ぶ。
「おおっとぉ!何とノーベル君とサフィールさんの二人も青薔薇火球を出したぁっ!
これほどの呪文を三人も一斉に使うと凄まじい!
これはいくらなんでもグリーンリーフ先生は大丈夫なのかぁ?」
「ええ、まさかあの二人までもこれを使えるとは思いませんでした。
さすがは二人とも4年生の時点で賢者候補と言う所ですね」
そう言ってマージェ学長も感心する。
そしてさすがのエレノアも驚いて呟く。
「これは・・・!」
「ははっ!どうだい!」
「驚きました!この二人までがいつの間にかこれを習得しているとは・・・」
驚くエレノアにアンジュが説明をする。
「ここ数日の間、私とフレイジオさんはこれを御主人様に習っていたんです!」
「ええ、おかげで大変でしたよ」
「なるほど・・・」
納得するエレノアに俺が叫ぶ。
「さあっ!エレノア、行くよ!パーフォ!」
「パーフォ!」
「パーフォ!」
俺とシャルル、アンジュが呪文を放ち、4つの青薔薇火球がエレノアを襲う!
しかし驚いた事にエレノアは魔力を使って、その4つの呪文をお互いにぶつけて相殺する!
「なっ!」
「青薔薇火球を御互いにぶつけた?」
4つの呪文を2つずつ相殺し、その青い炎を打ち消したエレノアが俺たちに微笑む。
「では次はこちらから行きますよ?」
今度はエレノアの攻撃だ!
「アニーミ・クヴァル・スペレーツォ・クヴィンツェント・エスト!」
途端に四体の戦闘タロスが出現する!
「うげ・・・レベル500の上級戦闘タロス・・・」
思わず俺が呟くと、エトワールさんも驚いて実況をする。
「これは凄い!グリーンリーフ先生!
レベルが500もの上級タロスを出しました!
しかも4体です!」
「ええ、グリーンリーフ先生はレベル700近いですからね。
それ位は出せますね」
もうその後はボコボコだ!
まずは一番最初にシルビアが落とされた!
思わずエトワールさんが叫ぶ。
「ああっと!まずはシルビアが落とされたぁっ!」
マージェ学長もうなずいて解説する。
「彼女はホウジョウ君よりもレベルは低いですが、一番の戦闘経験者ですからね。
グリーンリーフ先生も彼女を警戒して、まずは最初に落としたのでしょう」
その通りだ。
シルビア以外の三人は、ほぼエレノアが最初から育てたも同然なので、手の内は全て見透かされる!
そしてシャルル、アンジュと順に落とされて最後に俺一人が残る。
それを見た実況のエトワールさんが叫ぶ。
「あーっと!ついに最後に残ったのはホウジョウ君だけです!
さあ!ホウジョウ君はここでどうするのか!?」
もはや俺に手などない・・・
「降参です・・・」
俺は両手を上げて降参した。
やはり俺たちとエレノアの差はまだまだ大きかったのだ!
「いやあ!参ったね!まだこれほど先生と僕たちの差があったとはね!」
試合終了後、さばさばとしたシャルルが嬉しそうに叫ぶ。
「そうですわね。まだまだ私達の差は大きいですわ」
「ええ、本当に追いつける日が来るんでしょうか?
アレに・・・」
シルビアとアンジュもそれぞれ感想を呟く。
「追いつくさ!それも必ず2年以内にな!」
そう、まだ俺がエレノアに追いつけるのは相当先の事だろう。
しかし俺は何としてでもこの二年の間に、せめて四人でエレノアを倒す位にはなりたいのだ!




