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旧・オネショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!   作者: 井伊 澄州
第1章 オネショタな俺が転生したらエロフに騙された!
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402 ハーベイ村の復興

 俺たちが隊商との話を終えると、ゾンデルが再び戦利品の話を始める。


「しかし追加の煉瓦とジャベックの購入代金を差し引いても、この資金は膨大ですね?

しかも武器と防具や、あまった小麦を売るので、むしろもっと財産が増えそうです」

「まあ、それは基本的にはこの村の復興に使ってくれれば良いさ」


その俺の言葉にゾンデルは驚いて首を横に振って話す。


「とんでもない!

これは1号様のおかげで手に入れた物です。

しかもこれほど村の防衛も強化していただいたのです。

その上、兵法の事なども、色々と教えていただきました。

その知識だけでも、まさに値千金になります!

1号様がこれらの戦利品を全て持ち帰られても誰も文句は言いません!

むしろこの金銀財宝まで我々がいただいたら罰が当たります!」


ゾンデルの言葉にミルキィもうなずき答える。


「私もそう思います。

そもそもこの物資はこの村には過ぎた物です。

それに白狼族はお金の使い方などロクに知りません。

こんな物があれば身を滅ぼす元です」


ミルファも娘の意見に賛成する。


「私も4号に賛成です。

食料はともかくとして、この村に金銀財宝などは不要です。

これほどの金銭、軍需物資をここに残すのは何も知らない子供に金貨を預けるのと同じです。

危険きわまります」


さらにエレノアとシルビアも二人に賛同する。


「それには私も賛成です。

持ちなれない物を持つのは身を滅ぼす元です。

最低でも金銀財宝は我々が管理するためにも、この村から引き上げた方が得策です」

「私も2号に賛成です。

ここに置いておくのは危険です。

我々が持ち帰り、管理すべきでしょう」


灰色衣装の四人の言葉に俺もうなずく。


「そうか・・・確かにそうかも知れないな。

では村人に今回の報奨金と、今までの慰労費として、一人当たり、金貨100枚を支給して、金貨1万枚を村の倉庫に入れてゾンデルが管理する。

鍵付倉庫の一つを金蔵として、そこに村の財産として収納しよう。

それはゾンデルの判断で必要に応じて使ってくれ。

君達も今まで苦労してきたんだ。

それ位、儲けがあっても罰はあたらないだろう?

そして残りの金銀財宝は、今回の事にかかった経費と指導料として、遠慮なく我々がいただく事にしよう。

武器と防具は今回の隊商に売った以外は、剣と盾を500個ずつ、それと投げ槍と弓矢は全て防衛用にここに置いておき、残りは全て我々が持ち帰る。

今回売ってしまった分は仕方がないが、現状ではあまりノーザンシティに武器は売りたくはないんでね。

この村に残した武器防具は、もちろん隊商が来ても売らないように。

当然、投石器を始めとした、今回我々が製作した防御系の武器も全部売ってはいけないよ。

誰が来ても見せないようにしておいて、戦争以外では秘密兵器として武器庫の中に隠して置くように。

そして食料関係は、まずは各家庭と倉庫に入る限りは全てここに残し、残りの内、飛行艇に乗せる限りは載せて行こう。

その残りは今回作った村の倉庫と宿屋に収納だ。

それでもかなり外にあまるだろうから、後は次回の隊商が来た時に売ってくれ。

雨が降った時に濡れない様に、タロスの簡易倉庫に入れて置くからね。

売るまでは十分に持つだろう。

その売った金は君達の好きにしてもらって構わない。

それで良いかな?」


金貨100枚と言えば、この村では一軒当たり、10年分以上の稼ぎになるだろう。

そういう意味でも、ちゃんと金銭を運用するかを見るのにはちょうど良い金額だろう。

そして穀物や干し肉なども、作った倉庫に入るだけでも、村全体の数十年分の備蓄にはなる。

それだけあれば、まだ人数の少ないこの村ならば当分の間は食料も安泰だろう。

俺の意見にエレノアとシルビアがうなずく。


「ええ、そんな所が妥当でしょうね」

「私もそう思います」


そしてミルキィとミルファも賛成する。


「ええ、それで結構です」

「私もそれに賛成です」


ゾンデルもうなずいて答える。


「それで十分です。

今言われた通りに食料は村人たちに配って、残った金銀財宝は全て1号様にお礼として差し上げますので、どうかお持ち帰りください」

「わかった。ではそういう事にしよう。

村人たちにもそれを説明してくれ」

「承知しました」


ゾンデルが全村民を呼び、まずは各人に今回の報奨として金貨100枚を配る事、そして金貨1万枚を村の今後の復興費用として鍵付き倉庫に収納する事、残りの金銀財宝は俺たち「雲の旅団」に今回の謝礼として全て差し出す事を報告すると、全員が賛成した。

そして各家庭に収納可能なだけ好きな食料を好きなだけ持って行くようにと指示すると、村人たちは大喜びで鹵獲した食料を好きなだけ選んで持って行った。

何しろ伯爵軍5000人分相当の遠征や長期戦のための食糧だ!

100人にも満たないこの村の人間では、どれほど分けても無くなる物ではない。

麦、小麦粉、乾燥豆、干し肉、干し果物、塩、砂糖、各種調味料、酒と、本当に何もかも取り放題だ!

若い酒好きな独り者の中には、自分の家に入る限り、そのほとんどをワインやブランデーなどの樽を持って行った者もいて、俺たちは苦笑した。

全員が好みの食料や酒を好きなだけ家に持って帰っても、十分余裕はあったので、争いは全く起きなかった。

村の各家庭の部屋や納屋、天井裏、果ては軒先にまで食料が備蓄されて、村人たちも大満足だ!

俺が村人たちに尋ねる。


「さあ、みんな好きなだけ食料は持ち帰ったかな?

後でもっと寄越せと言っても、もうないぞ?」

「おお~う!」

「もちろんでさぁ!」

「これだけもらって文句を言えば、それこそ罰が当たりまさぁ」

「全くですわ!」

「ええ、本当に助かりましたわ」

「うちなんか天井まで小麦粉で一杯よ!」

「雲の旅団様々だな!」

「むしろ俺たちが先に欲しい物を好きなだけいただいて、残り物を1号様たちに差し上げるのが心苦しい位ですよ!」

「その通りです!」

「後はどうぞ好きにしてくだせぃ!」

「うん、わかった」


こうして我々は一部の金貨と武器防具、そして大量の食料を残し、残りをロナバールへと持ち帰る事となった。

それでもその資産は相当な物だ。

トランザムの時の資産も相当だったが、今度はそれ以上だ!

全てを1回では運びきれそうに無かったので、豪雷に指示して、1回金銀財宝だけを先行して持ち帰ってもらったほどだ!

そしてこの処置はまさに正しかったのだ!

僅か1年と少々後に我々はその事を思い知る事になる。


鹵獲品の処理も終わり、その日は大宴会となった。

もちろん門は全て閉じて、ジャベックたちが見張りもしているので、どこからも襲われる心配などない。

俺たち「雲の旅団」とハーベイ村の全員が心行くまで宴を楽しんだ。


そして翌日から最後の肝心な処置に移る。

ミルキィたちがラーガン領の奴隷商人の帳簿から写してきた、奴隷の処置だ。

ラーガン領自体にいた奴隷たちは全て調べて解放できたが、ミルキィやミルファのように他の地域に売られた者たちも何人かいたのを帳簿で確認した。

帳簿を見て、その転売先を探し出し、俺たちは売られた村人たちを買い戻した。

いくつかの組に分かれて、航空魔法で目的の町へ行って、購入価格の倍の金額で買い戻したのだ。

それでも渋る相手には汎用ジャベックをつけて納得させた。

そして戻って来た村人たちと再会を祝うと、その人たちにも同じように金貨と物資を分けた。

もっとも大抵の持ち主は喜んで売ってくれたが例外もいた。

ある村人は持ち主の所に残る事を希望したのだ。

その村人はその主人に大変可愛がられて、感謝していたのだ。

しかもとっくに奴隷解放をされていて、家族の一員として暮らしていた。

たまたまその村人の買戻しを担当したのがミルキィだったので、その事に共感したようだ。

ミルキィも、もし自分が同じ立場ならば、俺の下から立ち去る事を拒否しただろうからだ。

そこでミルキィは御祝金として、その村人の購入価格の倍の金額を相手に渡し、さらに本来だったら村へ戻ればもらえるはずの分配金、金貨100枚も渡して来たそうだ。

そして御祝いの品として、ワインとブランデーを一樽ずつと、小麦粉も10袋、汎用ジャベック一体を後で贈ったそうだ。

ミルキィがその事を俺に報告した。


「彼女はとても幸せそうでしたわ。

もっとも御祝金と分配金を合わせて、金貨を200枚以上ももらって、ビックリしていましたけど」

「あはは・・・そりゃ良かったね?」


その作業に2日ほどかかった。

ただ少々不思議だったのは死体も見つからず、奴隷商人の名簿にも載っていない者が、まだ10数名いた事だった。

もちろん誰も知らない場所で戦って死んだ可能性もある。

だが、ミルキィたちの話によると、その行方不明な村人たちは、村の中でも特に屈強な若者が多く、その多くが戦いで敗れて死んだとは考えにくいそうだ。

その中にはミルキィの弟のゾルフィーもいた。

彼らはまだどこかで逃げ回っているのだろうか?

それともどこかの草原で人知れず朽ちているのだろうか?

しかしそれを確かめる術はない。

ただただ、その連中が無事なのを祈るのみだ。


その作業と平行して、俺たちは村の外壁の煉瓦強化と空堀の煉瓦化、さらに木柵の位置を前にずらしての修繕と、移動後の外堀と外壁の建築に勤しんだ。

そして全ての処置が終わると、最後に戻ってきた村人たちも交えて、もう一回大宴会をした。


翌日になって、俺はゾンデルを初めとした村人に尋ねる。


「ではこんなところか?後は任せるが大丈夫かな?」

「はい、何から何までありがとうございました!

雲の旅団の皆様には感謝しかございません」

「な~に、私も自分の家族のミルキィとミルファの故郷を無くしたくないだけさ。

後はよろしく頼むよ」

「はい、かしこまりました」

「しかし、くどいようだが、あくまで君達を助けたのは謎の旅人「雲の旅団」だった事にしておいてくれ。

おそらく連中は私達の事を探ろうとして、色々とこの村に送り込んでくるだろうから気をつけてくれ」

「はい、その点も大丈夫です。

我々を助けてくれたのは謎の旅人1号様です!」

「おう、その通りだ!」

「謎の旅人さん1号様に感謝だ!」

「うん、もし誰かに何か聞かれたら、我々は何を聞いても答えなかったと言えばいい。

そして詳しい事はゾンデルしか知らないとね。

ゾンデルは適当に答えておいてくれ。

一番聞かれるのは我々の人数と手伝った理由だろうが、人数は確実に1人は人間だが、それ以外は灰色の衣装を全身に被っていたので、人間かジャベックかもわからないと言えばいい。

村を防衛する理由に関しては、どこかでこの村が襲われた事を聞いて、傭兵商売をするつもりで、ここの村の手伝いをしにきたと言っていたと説明をすればいい。

そしてすべてが終わった後で、西の方角へ去ったとね。

それ以上の事はわからないと言えばいい。

何か困った事があれば、ここにおいてある、白狼獣人型ジャベックのゾルンとミルンに伝えてくれ。

そうすれば我々にもわかるから」


それはここ数日の間にエレノアが作った白狼族を模した男女の獣人型ジャベックだった。

レベルは100で魔道士級の魔法を使える、戦魔士型のジャベックだ。

能力的にはテレーゼをもう少し戦闘方面に強化して、獣人の見かけにしたような物だ。

それを頼もしげに見たゾンデルがうなずく。


「承知しました」


この数日で土塁と空堀の強化も終わり、外堀と外塀も作り終わった。

その間にこの村の今後の防衛方法、各種防衛兵器の使用法、残りの運河の作り方や船着場の作り方と利用法なども再度説明しておいたので、いよいよ俺たちは帰る事になる。

念の為に俺たちは俺とミルキィと豪雷、疾風以外の者を、リンドバーグでこっそりと夜のうちにロナバールへ帰した。

その夜、俺とミルキィは元のミルキィたちの家で、ミルキィの部屋に二人で泊まった。


「へえ?ここがミルキィの部屋か?」

「ええ、無事に何もかも終わったし、今日はここでゆっくりしましょう?シノブ君」

「あはは、そうだね」

「ふふふ・・・実は私、自分の部屋に素敵な彼氏を呼ぶのが夢だったんです!

この村を追われて奴隷になった時は、もうそんな事は無理だと思っていたのに、まさかこんな形で叶うとは思いませんでした!」

「そうか?」

「ええ、今夜は二人っきりだし楽しみましょうね?」

「う、うん」


おう!故郷に戻ったミルキィはまさに雌狼だ!


翌日に俺とミルキィ、豪雷、疾風は数人のジャベックたちと一緒に灰色の衣装を着たまま、俺と同じ灰色装束を着たゾンガーの操る馬車で、隣町のゼフィールまで行ってそこに泊まった。

そして翌朝ゼフィールの町をそのまま馬車で出ると、さらに西へ向かうふりをして、周囲に人がいなくなった所を見計らって、全員で航空魔法でロナバールへと帰った。

その後でゾンガーは灰色衣装を脱ぎ去り、そのままどこにも寄らずに、こっそりとハーベイ村へ帰った。

これで「雲の旅団」は文字通り、雲のように掻き消えた事になる。

こうしてハーベイ村の当座の危機を乗り越えた俺たちはロナバールへと戻った。

ロナバールへ帰還した俺が最初にやった事は、仲間全員に金貨を配る事だった。

当然の事のように全員がそれを拒否したが、今回は俺がそれを許さなかった。


「あのね!あれだけの事をして、ただ働きって訳ないでしょ?

我々は戦争をして来たんだよ?戦争!

ハーベイ村の人たちだって一人金貨を100枚ずつもらっているんだよ?

それ以上の働きをしたみんなが報酬無しって訳ないでしょ!

大体あれだけの金銀財宝を僕に独り占めにさせる気?

そんな馬鹿な話ないでしょ?

だから今回は全員に金貨を配るの!

最低でも一人当たり、村人の倍の200枚は渡すからね!

うちの家の者は命令!

フレイジオとポリーナも強引に渡すからね!」


俺が凄まじい剣幕で話したので、全員が渋々ともらってくれた。

う~ん・・・金貨を渡すのに渋々もらうってのもなんだかな~?

そして俺はアルフレッドとキンバリーにも半額の金貨100枚を渡す。


「御主人様?実際に戦争をして来たエレノアさんたちはともかく、私とキンバリーにまで報酬を渡すのは筋違いかと?」

「そうですとも!私と夫はこの家にいただけですよ!」


しかし俺が説明をする。


「あのね、銃後の備えとか守りって言うのも大事なの!

二人は意識してないけど、それを十分にこなしているんだよ!

だからこういう時は報酬をもらうのも当然なの!」

「は?ジュウゴの備えとは?」


ああ、そうだった。

この世界にはまだ銃が無いから、これでは意味がわからないだろう。


「つまりね、戦争や遠征が出来るってのは後方の支援がしっかりとしていて、根拠地を守ってくれている人たちがいるからこそ安心して出来るんだよ。

アレフレッドとキンバリーはそれをちゃんとしてくれているんだ。

だからこういった場合は臨時の報酬をもらうのは当然なんだよ。

場合によっては実際に戦争に行った人間よりも報酬が多くても不思議ではないんだ」

「そのような事が?」

「うん、それは「兵站へいたん」って物と絡んでくるんだけどね?」

「ヘイタン・・・ですか?」


俺はみんなに兵站の説明をしてようやく意味をわかってもらった。

俺の説明が終わるとエレノアが総括する。


「なるほど、つまりその兵站と言う物が戦争には大事と言う訳ですね?」

「その通りさ」

「承知いたしました。

アルフレッド、キンバリー、確かにこれは御主人様のおっしゃる通り重要な役目です。

従ってあなた方はそれを十分に勤めたのですから今回は報酬を正当な対価としていただくべきです」

「はっ、承知いたしました、エレノアさん」


こうしてようやくアレフレッドとキンバリーも金貨を受け取ってくれた。


そして次はいよいよクレインたち、サクラ魔法食堂の面々が今や遅しと俺たちの事を待ち構えていた!



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