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旧・オネショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!   作者: 井伊 澄州
第1章 オネショタな俺が転生したらエロフに騙された!
428/480

400 戦い終わって

 三人を送り出した俺たちは、ゆっくりと戦利品の確認をする。

それは金貨に換算して12万枚ほどに相当する、金銀貨幣と、エレノアの簡単な査定によれば、ざっと金貨30万枚相当の宝箱20箱分ほどの金銀の地金と財宝。

5千人分ほどの武器防具、金属類、そして20万カルガルンほどの穀物や乾燥豆、干し肉などの食料だった。

それに3000樽もの樽に入った酒だ。

これは予想以上の収穫だ。

俺はエレノアに聞いてみた。


「それにしても随分と思ったよりも多かったね?」

「ええ、彼らは伯爵領としては相当溜め込んでいた様子です。

これは一代で蓄えた財ではないですね。

これほどの財宝物資を取られた彼らは怒り心頭でしょう」

「そうだろうね」


しかしそれも自業自得だ。

同情する気にはならない。

俺たちはまず金銀財宝と武器防具は鍵のついた頑丈な蔵に収納する。

そして食料や酒などは全て作っておいた残りの倉庫にしまいこんだが、それでも半分以上がしまいきれず、露天に積み上げられていた。

そのままでは雨風に晒されて危険なので、俺とエレノアで上級タロスを使って簡易的な倉庫を作って、そこに残りの食料を入れた。

ゾンデルは改めてその戦利品の数々を見て驚いた。


「凄い!これだけの財産と食料があれば、この村の100年分にもなりますよ!

いえ、それ以上です!

あんなに倉庫を作ってどうするのかと思っていましたが、1号様たちはこうなるのがわかっていて、あれほどの倉庫を作ったのですね?」

「そうだね。

相手が伯爵領で大体の規模はわかっていたし、最初から様々な物を根こそぎこちらに持ってくる計画だったからね。

もっとも我々が予想していた以上の収穫になったよ」


俺がうなずいて答えるが、それを聞いたゾンデルは心配そうに俺に尋ねる。


「しかし・・・これで大丈夫でしょうか?」

「まあ、当分はね」

「当分・・・とは・・・?」

「奴ら我々に対しては恨み骨髄だろう。

いずれ時期が来ればまた攻めて来るかも知れない。

しかし、どんなに本人たちが攻めて来たくても、ここ当分の間は、ちょっとやそっとでは攻めて来れないだろうね。

まず少なくとも5年、おそらくは10年は無理だろうね。

だからその間はここも安泰だ」


そう俺が断言するとゾンデルが不思議そうに尋ねる。


「何故です?」

「何故ならば今回の事で君にもわかっただろうが、戦争と言う物には兵士だけでなく、大量の金銀財産、武器、食料が必要だからさ。

それを「軍需物資」と言うんだ。

つまり戦争に必要な品物の類だね。

それがなければ戦争は出来ない。

武器が無ければ攻撃できないし、防具が無ければ守る事も出来ないだろう?

鉄や銅などの金属類が無ければ、武器防具を作る事も不可能だ。

食料が無ければ兵に食事を与える事も出来ないだろう?

そしてそれらを買って、兵を雇うためには金銀財産が必要と言う訳だ。

今回、我々は相手からその全てを奪い去った。

もちろんどこかにまだ隠している可能性は100%ではあるが、それでも奴らの物資の8割以上を奪ったのは、ほぼ間違いがないだろう。

ましてや我々は兵士の大半を怪我人にした。

それが回復するまでは少なくとも数週間から数ヶ月はかかるだろうし、回復したからと言って、またラーガン伯爵が我々を攻めると言えば、嫌がって逃亡する者も続出するだろう。

そのために捕虜になった兵士たちには、今度ここを攻めに来たら容赦はしないと言ってある。

その話は戻った捕虜から兵士中に伝わっているだろう。

だから兵士を集めるのにも一苦労だ。

何しろ今度この村を攻めたら命はないと脅されているんだからね?

それを補填するためには、別の場所から新たに兵を募集するか、傭兵などを雇うしかないが、それにはこれまた金がかかるという訳さ。

そしてその金が今の奴らにはないと言う訳だ。

これでわかったと思うが、戦争と言う物はとにかく色々な物が必要になるんだ。

戦争の規模が大きくなればなるほどね。

人材、武器、防具、食料、金銀と、どれもが山のようにあっても消耗するんだ。

特に人材と金銀が重要だ。

この2つは消耗が激しい上に、もっとも調達をしにくいからね。

特に優秀な人材と言うのは何物にも替え難い。

だから戦争というのはよほどの事がない限りしてはいけない。

しかも我々が奪った軍需物資の分を回復するには2年や3年では足りないだろう。

最低でも5年、おそらくは10年以上かかるはずだ。

その間はまずここを攻めるのは無理だね。

かと言ってこの村を少人数で攻め落とすのはもはや不可能だし、大兵力で攻めようとすれば、今説明した理由で必ず破綻する。

そしてこちらはその間に今以上に防備を固める事が出来る訳だ。

しかもその復興費用は全て相手持ちという訳さ。

そもそもいくらあいつらが頭が悪くたって、ここを攻め落とすのは今回以上の兵力が無ければ無理だと言う事くらいはわかるだろう。

そのためには今まで以上の兵力や軍需物資が必要になる訳だ。

それを考えたらここを攻めるのは、まず20年は無理だね」


俺の説明でようやくゾンデルも納得がいったようだ。


「なるほど!

それで様々な奴らの物・・・「軍需物資」を奪ってきた訳ですね?」

「もちろんそれもあるが、奴らに警告と学習をさせるためでもある。

今後ここを襲ったら何もかも失くしてスッテンテンになるぞとね。

それに奴等はこの村の命をいくつも奪い、蹂躙したんだ。

そのためにこの程度の事は当然さ。

奴等は命が助かっただけでも儲け物と思ってもらわないとね」

「しかし、もし国軍を呼ばれたりしたら?」


ゾンデルは伯爵が国へ助けを求める事を恐れたようだ。

中規模国家のアドレイユ王国の国軍と言えば、当然その数は万を超えるだろう。

そんな物が攻めてくれば、その戦力は今回の比ではない。

しかしその質問を俺はきっぱりと否定する。


「それはない」

「え?何故です?」

「これはあくまで一王国の辺境での話なんだ。

君たちには悪いが、これは国境にある領地が近くにある、どこにも属さないごく小さな村を襲っただけの小さな出来事なんだ。

それは王国からみれば、取るに足らない村だ。

そんな小さな村を反撃するのに国軍を要請したとならば、領主の恥になるだけでなく、領主として無能という事を国に報告する事になる。

そんな事をする訳がない。

これはそういう事に詳しい、うちの2号エレノア3号シルビアにも聞いた話だから間違いはない」

「しかしどこかの国に攻められたという虚偽の報告をして国軍を呼べば?」


ゾンデルのその心配を俺は再びキッパリと否定する。


「それもない」

「え?」

「その場合はどの国に攻められたのか、詳しい報告が必要になるし、例え虚偽の報告をしたとしても、どの道国軍がここまで来れば、事の次第がばれてしまう。

そんな外敵などいないとね。

しかも近隣領主に笑われてしまう。

そんな馬鹿な事をするはずがない」

「なるほど」

「それでも、もし国軍がやってきてここを攻めるような事があれば、その国軍の司令官と話してみた方が良い。

おそらく国軍もラーガン伯爵に騙されてここに来た可能性が高い。

その場合は例の誓約書を持ち出して、あっちが裏切ったという事を説明して、それを世界中に話を広めてやると言ってやるといい。

おそらくその国軍は引き上げるよ」

「なるほど!わかりました」


さらにエレノアが詳しい説明をする。


「それにそういった場合は、その国軍出動を要請した領主が食料などの面倒をある程度は見なければなりません、

しかし現在あの領地には食料も、それを支える財産もありません。

そんな状態で国軍を呼べば、たちまち食料に困り、それを王室に報告されてしまいます。

ですからそのような事をするはずがありません。

もしそのような事をするのであれば、あの伯爵はよほどの無能と言う事になります。

あの領主がこの村を攻めて来るとしても、どんなに早くとも5年はかかるでしょうね。

しかもそれで勝てなかった場合は、今度こそラーガン伯爵領は壊滅です。

まあ、まともな考えを持つ者なら二度と攻めようとは考えないでしょうが・・・」

「うん、私の予想でも、実際にはもう二度と奴等はここを攻める事は不可能だと思うよ。

理由は他にも色々とあるけどね。

例えば今回我々は伯爵たちを誰も処罰しなかった。

君達はそれを不満に思っているかも知れないから説明をしておくと、これは必要な事なんだ。

もし我々が伯爵を処刑してしまえば、それはアドレイユ王国の貴族をこの村が処罰した事になってしまう。

そうなればさすがに王国としては黙っていられないし、この村に討伐軍を差し向けるだろう。

しかし我々は伯爵たちを無事に逃がし、一応歓待までした。

奴らの物資を根こそぎ持ち去りはしたが、その建前はあくまで伯爵領との条約による物資の融通と言う事になっている。

だから今回の事はあくまで伯爵領と我々との間だけでの出来事という事になっているんだ。

しかも我々は領民の財産には全く手をつけていないから、少なくとも民衆は今の時点では痛くもかゆくもないし、我々の事を悪くは思ってもいない。

いや、おそらく現時点では何とも思ってないだろう。

せいぜいの所、うちの領主様は気前が良いな~と思っている程度だろう。

そして我々は捕虜だった百数十人の者に、今回の戦争の発端と理由を詳しく説明し、金貨までばら撒いた。

これで領民の間でのハーベイ村への同情と好感度はグッと上がったはずだ。

逆に領民たちの伯爵たちへの評判は大幅に下がっただろう。

おかげで今回の戦争の悪役は、ほぼ全てを彼らになすりつける事が出来た。

確かに事の元凶はかれらだが、実際には今回の戦争は、我々が散々伯爵たちを煽った結果、起こった物なのにね。

しかしそんな話はもっと大きな噂話に揉み潰されてしまうだろう。

つまり今回の事では、連中は最初から最後まで、徹頭徹尾、こちらの計画通りに動いてもらったという訳さ。

これで連中が戦争をするために、物資を領民から強引に調達などしよう物なら大騒ぎになるだろう。

そうなったら戦争どころではなくなる。

だからこの村を相手にもはや戦争など出来る訳がない。

しかも彼らはその事に全く気付いてはいないだろう」


俺がそこまで説明すると、ゾンデルは大いに感心して答える。


「なるほど!わかりました!

 そこまで考えていたとは驚きです!

 戦争とはそこまで読んでする物なのですね?

感服しました!

実際に話を伺っても、我々にはとてもまねできる事ではありません!

しかしこの大量の金銀財宝や物資はどうしましょう?」

「ああ、まずはこの金を使ってする事がある」

「する事?」


そう、俺にはまだこの村でやっておく事があった。



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