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旧・オネショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!   作者: 井伊 澄州
第1章 オネショタな俺が転生したらエロフに騙された!
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387 作戦会議と「孫子の兵法」

 その夜に俺たちはリンドバーグの中で、会議を開いた。

俺はまずミルキィ母子に状況を聞いてみた。


「ねえ、二人ともこの村の現状をどう思う?」


俺がそう尋ねると、二人は顔を見合わせた後でため息をついて話す。


「正直言ってダメですね」

「ええ、ダメダメです」

「やっぱり?」

「ええ、この村には危機感と言うか、本気で村を守ろうという気概にかけています」

「私もそう思います。

気持ちだけは先行しているのですが・・・」

「私も昔はそれで良いと考えていたのですが、御主人様との生活で学んだ様々な事から考えると、この村はある意味襲われても当然だったと思います」

「それには私も同感ね。

私達は馬鹿だったわ」

「そうか・・・」

「はっきり言って、あの時までこの村が攻められた事がなかったのは、単に場所が辺境で遠いからなのと、それほどまでの価値がなかったからでしょう」

「ええ、当時の私達は白狼族が勇猛だから、それを恐れて誰も攻めてこないんだと、勝手に考えておりましたが、今ではそれは間違いだと言う事がよくわかりました」

「やっぱり?」


もちろんそれは俺も感じていたが、この村出身の二人から見てもそうだったのか?


「ええ、それにあれだけ襲撃されて村が一旦壊滅したというのに、全く考え方に進歩と言う物がありません。

いまだに、ただ全力で敵を迎え討てば良いとだけ考えています」

「そうですね、せめて村の周囲に丈夫な柵だけでも作れば違うのにと思います。

これではキャサリンに獣人は馬鹿だと言われても仕方がないですね」


そう言ってミルキィはため息をつく。


「柵や塀を作るように言ってもダメかな?」


俺が聞いてもミルキィとミルファは悲しげに首を横に振って答える。


「ええ、おそらく言う事を聞かないでしょうね」

「そうですね、まず聞かないでしょうね。

何しろ自分たちは勇猛果敢で絶対に負けないと思っていますから・・・

口でいくら説明をしても無駄でしょう」

「どうすれば考えを変えるようになるかな?」

「それにはよほどの事がないと・・・」

「例えば、実際に何度も戦いに負けて痛い目に会うとかですね」


やはりそれしか方法はないか?


「なるほど、では少々荒療治をするか?」

「どうするのですか?」

「その前にもう少し前回の襲撃の件を詳しく聞きたいんだが?」


俺がそれを聞くとミルキィは口ごもる。


「それは・・・」

「ミルキィ?あなたが気に病む事はないのよ」

「そうだけど・・・」


二人の様子がおかしいので俺が尋ねる。


「どうしたの?」

「実は前回の襲撃の時に我々は不意打ちを喰らったのですが・・・」

「うん、それは聞いている」

「相手が襲って来たのは朝早くでした。

我々はその前日にたまたまミルキィの誕生日だったので、村では宴会を開いていて、村人のほとんどが夜通し酒を飲んで翌朝は酔っ払って寝ていたのです。

そこを襲われました」

「なんだって?」

「実際、普段でしたら平人の300人程度でしたらどうという事はなかったのですが、その時はタイミングが最悪でした。

それで我々はろくに迎撃も出来ずに村は壊滅してしまったのです」

「そういう事だったのか・・・」


なるほど、以前からミルキィがこの村の事をあまり話したがらない訳がわかった。

村が壊滅したのが自分のせいだと思っている訳か?

そしてゾンデルたちが一回やられているのに自信満々な理由もわかった。

不意さえ突かれなければ自分たちは負けないと思っている訳だ!

俺はゾンデル以外の村人も数人鑑定してみたが、全員がレベル50を超えている!

ゾンデルのようにレベルが100を超えている者も数人はいるようだ。

確かにこれならば相手が数百人程度の規模ならば撃退可能だろう。


「しかし、そいつらは前日に宴会をしていたのを知っていて襲って来たのかな?」

「いいえ、それはありません。

ミルキィの誕生日など知る訳もないし、私達が誕生祝いをしようと考えたのも、ほんの数日前で、その間に村への外からの出入りは皆無でした。

ですから単なる偶然が重なって、最悪の結果となっただけです」

「なるほど」

「それもあってゾンデルは次は絶対に負けないと考えているのでしょう」

「そうか・・・では僕の考えを話そう」


俺は二人にこれからの俺の考えを話した。


「・・・そうですね、それならば言う事を聞かざるを得ないでしょう」

「ええ、それ位はこの村には必要だと思います。

むしろこの村のためにそこまで考えていただいてありがとうございます」

「ではそうしよう。

ところでエレノア?「アレ」を解禁しても良いかな?

相手が伯爵領ともなれば、ある程度は必要になると思う」

「はい、「兵法」ですね?

どうぞ、今回は思う存分御活用なさってください。

私も御主人様の兵法の実践を是非拝見してみたいです」

「うん、そのつもりさ」

「ヘーホー?何ですかい?そりゃ?」


デフォードの質問に俺は笑って答える。


「はは、今からそれを説明するよ」


俺は考えていた作戦をみんなに話した。

そして話し終わった所で、皆は息を飲んでいた。

ようやくの事でデフォードが声を上げる。


「大将・・・この作戦は大将が考えたんですかい?」

「ああ、そうだよ。僕一人で考えたんだ」

「あんたぁ恐ろしい人だ・・・もちろん、ただのお人よしとは思ってなかったが、やる時はここまでやる人だったとはね・・・」

「そうかい?」

「ああ、間違っても大将を敵に回したくはないな・・・

ここまでやれる人間を相手に勝てる気がしねぇ・・・」

「はは・・こんなのは兵法のほんの初歩だよ」

「なるほど、ヘーほーね?」

「で?どうだい?この作戦は?」

「ああ、この面子で実行するなら間違いなく成功するだろうな。

むしろこの作戦が終わった後の方が、効果がじわじわと出てくるだろうぜ。

しかも完全に相手を悪者に仕立て上げて、こっちはとんずらと来たもんだ!

こんな作戦の相手をさせられる奴に同情するぜ!」

「そいつはどうも!

お褒めに与って光栄だね」


シャルルやポリーナ、アンジュも驚いて話す。


「それにしても確かにこの作戦は凄いね?」

「ええ、大御爺様のゴブリンキング討伐戦の作戦に似ていますが、それ以上です!」

「えげつないです!御主人様!

こんなえげつない作戦、聞いた事がないです!」

「はは、そいつはこの場合は褒め言葉だな!アンジュ」


俺が笑って答えると、シルビアがため息をついて呆れたように話す。


「笑い事ではありませんよ?

御主人様?

このような立案能力が知れたら、それだけでも御主人様は各国の奪い合いの対象になるかも知れません。

部活動の勧誘どころではありませんよ?」

「はは・・・そうかな?」

「ええ、そうです」


そしてエレノアが改めて感心したように話す。


「それにしても・・・これほどの作戦を立案なさるとは・・・

やはり御主人様は「兵法」に精通してらしたのですね?」

「まあね」


うなずく俺にエレノアが感慨深く話す。


「ええ、やはり以前予想した通り、兵法・・・特にあの「孫子の兵法」とは凄いです。

もし昔に私がこの内容を知っていれば・・・」

「でも、メディシナーの独立戦争の時にはエレノアも似た様な事をしたんじゃないの?」

「ええ、確かにあの本の内容に近い事や同じ事はしましたが、それは長年の経験による結果です。

確信を持って起こした行動ではございません。

もしあの時に「孫子の兵法」の内容を知っていれば、もっと犠牲を出さずにあの戦いを終わらせたでしょう・・・」


エレノアはそうしみじみと感慨深く話す。


エレノアは俺の神様からもらった蔵書を見て驚いたが、特に驚いた物が2つあった。

一つは百科事典でこれはわかる。

そしてもう一つは俺が趣味で持ってきた「孫子の兵法そんしのへいほう」だったのだ。

まだ俺たちがロナバールの屋敷を手に入れて間もなかった時、屋敷を改装してアルフレッドやキンバリーがやっと来た頃に、本棚に飾っておいたそれを読んだエレノアは驚いた。


「御主人様?この「孫子の兵法そんしのへいほう」とは一体?」

「ああ、それにも興味を持った?」

「はい、これは恐ろしい内容の本です」


どうやらエレノアは孫子の兵法の内容の凄さが一度読んですぐにわかったらしい。

流石だ。

孫子の兵法はただの軍略書ではない。

地球の21世紀の御時勢でも十分に通じる内容の書物なのだ。

このアースフィアでも通じない訳がない。

エレノアは一読してそれに気付いたようだ。


「・・・それがわかるんだ?」

「はい、この本の内容どおりに実行すれば、確かに全ての戦に勝てるのではないかと思います。

私はかつてこれほど戦争を理論的かつ、実践的に説明した書物を読んだ事がございません。

御主人様はこの内容を全てわかって実行した事があるのですか?」

「ん~さすがに戦争はした事はないけれど、内容は全部覚えているし、応用して他の事に使った事はあるよ」

「では実際に戦争があったとしても、この内容を実行する事が可能な訳ですね?」

「それは実際にやってみないとわからないけど、多分大丈夫だと思うよ。

ただし、そういうので失敗している例や、凄い軍師の人でも負けている例もたくさん知っているし、どうかな~」

「え?失敗した例や負けた例とは?」


俺は諸葛孔明しょかつこうめいの指示に従わず、山に陣地を構えて失敗した馬謖ばしょくの話、兵法を丸覚えしただけで秦の白起将軍はっきしょうぐんに大敗した趙括ちょうかつの話、諸葛孔明と司馬懿仲達しばいちゅうたつ孫臏そんびん龐涓ほうけんの話などをした。

エレノアはそれを感心して聞いていた。


「・・・なるほど、しかしそこまでわかっているという事は、やはり御主人様はこの「孫子の兵法」に精通していると見て間違いございませんね?」

「いや、正直その辺はわからないよ。

確かにその手の知識は結構あるけど、実際に現実に起こってみないとね。

それにそういうのは結局は相対的な問題でもあるのさ。

今話したように、自分がどんなに兵法に詳しくても、相手がより兵法に詳しければ、結局は負ける場合もある」

「御主人様はどの程度その知識をお持ちなのでしょう?」

「う~ん・・・これは僕の趣味の中でもかなり好きな部類だから結構知っているけどね?

色々とあるけど・・・話す?」

「はい、是非お聞かせください」


俺は覚えている限りの話をした。

孫子の兵法そんしのへいほうに始まり、六韜三略りくとうさんりゃくを話し、三国志さんごくし史記しき、ランチェスター戦略、クラウゼビッツの話など、エレノアが聞きたがるので、知っている限りの兵法や戦略関係の知識をほとんど話した。

調子に乗った俺は延々と話したので、それは数日間に渡った。

そしてそれを全て聞き終わったエレノアはいたく感心して感想を述べた。


「恐ろしいほどの知識量です。

しかも御主人様がなさったような話を私は一つも聞いた事がございません。

これは驚くべき事です」


そりゃ500年以上生きていて、これだけの話を欠片も聞いた事がなけりゃ衝撃を喰らうかもな?

しかしこれは異世界の話なんだからエレノアが知らないのも当然だ。

当時はまだ俺はエレノアに異世界からの転生者だという事を話していなかったので、エレノアの驚き方はかなりの物だった。


「うん・・・その、あまり知られてない話みたいだからね」


俺は適当に誤魔化した。

そんな俺にエレノアが真剣な表情で頼み込んできた。


「御主人様?実はこの件に関して御願いがあるのですが?」

「え?この件に関しての御願い?」

「はい、実はこの本の事をしばらくの間は誰にも話さないでいただきたいのです」

「兵法を?」

「はい、その通りです。

これは世間に知られれば、各国の間で戦争に対して恐ろしいほどの意識改革が起こる可能性がございます。

そうなれば、それをきっかけにあちこちで戦争が起こるかも知れません。

ですから御主人様が実際に戦端を開くような場合ならばともかく、それ以外ではしばらくの間、この内容に関しては内密にしておいていただきたいのです。

出来れば時期が来るまで、本も隠しておいていただけますか?」

「それは構わないよ」

「はい、ありがとうございます」


この会話によって俺は今まで兵法に関する事を誰にも教えず封印して来たのだ。

唯一の例外はキャサリンの時にみんなに八徴はっちょうを教えた事くらいだ。

しかし今やそれを知らしめる時が来た!

俺は自分が知っている限りの兵法に従い、今回の作戦を立てた。

そしてその作戦の内容と各人の役割を全員に細かく話した。

しかし作戦の内容を知ったミルキィとミルファはおずおずと話す。


「確かに御主人様のお考えになったこの作戦を実行すれば、この村は助かると思います。

ですがこの作戦を実行するという事は、かなり御主人様を始めとして皆さんに御迷惑をかける事になります。

私達白狼族のためにそこまでしていただくのは心苦しいです」

「そうね、この作戦を実行するとなると、皆さんに恐ろしいほどの負担を強いる事になるわ」

「大丈夫だよ、気にするな!二人とも!」


俺がそう言うと、エレノア以下全員がうなずいて答える。


「ええ、そんな事を気に病む事もありませんよ」

「そうですとも」

「そうだよ、二人とも気にする事はないよ」

「ええ、私も大好きなミルキィさんたちのためなら、これ位平気です!」

「へ、俺は大将の忠実な子分なんでね?

大将の言う事なら何でも従うさ」

「ペロンもお手伝いしますニャ!」


そのみんなの言葉に二人が礼を言う。


「ありがとうございます!皆さん!」

「この御恩は忘れませんわ」


そしてその作戦を全員で検討し、さらに俺たちは全員で今後の計画を詳細に立てた。

作戦を決めた俺たちは、それを翌日から実行する事に決めた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 300話辺りから面白くなってきた! [一言] 後出し兵法(笑) 次はどんな後出しが出てくるのか。
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