026 最後の御奉仕
こうして様々な出来事があったが、俺はエレノアの教えの下、順調にレベルをあげ、魔法を覚えていった。
そしてついに約束の3ヶ月まであと3日という日になった。
この時点で俺のレベルは、なんと188だ!
魔法力は20万を超し、覚えた魔法はガイドブックの8割方はこなすという凄まじさだ!
鍛えられた俺自身が一番驚いている。
エレノアの話によると、これはレベルと魔法量だけならとっくに平均的な魔法学士を超えているらしい。
はっきり言って、これは神様のくれた才能と、エレノアの指導力の賜物だと言って良い。
俺の努力など、この偉業全体の1%にも満たないだろう。
ちなみに一緒に訓練をしていたエレノアも多少はレベルが上がって、今やレベルは683だ。
そして貸し出し期限まであと3日と迫った今、今日はエレノアが何を教えるつもりなのだろうと思っていると、何故かエレノアが、俺におずおずと申し出てきた。
「御主人様、今日はお願いがあるのですが・・・」
「なんだい?」
「私の貸し出し期限まで、あと3日と迫りました」
「うん、そうだね」
俺は表向きは別にどうという事のないような様子を見せる。
しかし、本当は、この生活が場合によっては、あと3日で終わるかと思うと、心臓が爆発しそうだ。
エレノアに俺がポツリと尋ねる。
「ねえ、エレノア・・・」
「はい、なんでしょう?」
「君は僕にまだ言えない事があるって言ってたよね?」
「はい・・」
「あさって・・もし僕が君を買ったとして、いつか君がそれを僕に言ったら・・・君は僕のそばからいなくなっちゃうのかな?」
「いえ、そんな事はありません。
それだけは保証させていただきます」
そのエレノアの言葉に俺は一安心した。
しかし、俺はこの3ヶ月考えていた事がある。
エレノアは俺を探していた。
正確には俺のような能力を持つ者をだ。
そしてそれは見つかった。
そして奴隷として仕えようとしている。
しかしなぜそんな事をするのか?
もちろんそれには何か重要な理由があるのだろう。
エレノアはいずれ話す時が来ると言っている。
それは俺がエレノアの望む能力を身に着けた時なのではないだろうか?
そしてそのためにエレノアは自分を鍛えているのではないだろうか?
だからもし俺がエレノアの望む能力をつけた時に、その頼みごとを断った時は?
そう考えた俺は質問をしてみた。
「もし君が将来、僕に何らかの重大な頼みごとをして、僕がそれを断ったらどうするの?」
その俺の質問にエレノアは間髪をいれずに答えた。
「問題ございません。
それでも私は御主人様に仕えさせていただきます」
「でも・・・そうなったら君は僕を恨むだろうね・・・」
自分がこれほど尽くして相手に頼みごとをしたとして、それを断られたら、いくら何でも怒るのではないだろうか?
そうしたらエレノアは自分の下を去ってしまうのではないかと俺は恐れた。
「いいえ、そんな事はありません。
元々私は隠し事をして、シノブ様にお仕えしているのです。
それを話してあなたがその話しを拒否するとしても、恨む筋ではございません。
こちらで勝手にしている事なのですから・・・
そのような事をシノブ様がお気になさる必要はございません」
「そうか・・・僕も、もし君がその話をする時は、一生懸命聞きたいと思うよ」
「ありがとうございます」
「エレノア・・・」
「何でしょう?」
「エレノアは以前、僕に目的は何って聞いたよね?」
「はい」
「僕に目的ができたよ」
「何でしょう?」
「エレノアに尊敬してもらえるような人間になる事、
そしてエレノアが困っている時に助けてあげられるような人間になる事」
「私は今でも御主人様を尊敬しておりますよ」
もちろん、それはわかっている、しかし俺がいいたいのは、そういう事ではないのだ。
「うん、ありがとう」
そう言って俺は眠りについた。
こうして俺とエレノアの最後の3日間が過ぎていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アースフィア 98日目
名 前 : シノブ・ホウジョウ
レベル : 188
年 齢 : 15
名 前 : エレノア
レベル : 683
年 齢 : 560
状 況 : 古都ロナバールの高級ホテルのスイートルームで貸し出し期間の最後の三日間を過ごす。




