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旧・オネショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!   作者: 井伊 澄州
第1章 オネショタな俺が転生したらエロフに騙された!
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024 流れ図と魔石

 ゴーレム街に行ったその翌週、ついに俺は中級魔法最難関といわれる、ジャベックを教わる事となった。


「では、いよいよ今度はジャベックの魔法と行きましょう」


ジャベック、中位使役物体魔法か・・・確かシルビアさんが魔道士の自分たちでもできないって言っていたな・・・


「ジャベックって、凄く難しいんでしょう?」

「そうですね、確かに中級といわれる魔法の中ではもっとも難しいです。

使役物体魔法にはさらに上級のアイザックがあるために一応中級とされていますが、難易度的には、間違いなく上級ですね。

これができるか出来ないかで、一流の魔道士の仲間入りが出来るかの境目とも言われていますし、高等魔法学校を卒業して、魔法学士になるのに、もっとも困難な科目とも言われています」

「そんな難しい魔法が僕にできるかなあ・・・」

「大丈夫ですよ」


エレノアはいつものように微笑んで保証する。

自分が魔法の才能を神様から授かっているのはわかっている。

おそらく時間をかければできるだろう。

しかし俺は魔法を習い始めて、まだたったの2ヶ月、実質は1ヶ月だ。

そんな俺にできるのだろうか?


「でも魔道士のシルビアさんや、あんな凄いタロスを作れるエトワールさんだってできない魔法なんでしょ?」

「私の見た所、あの御二人は魔道士としても非常に優秀で、その才能はジャベックを作れるだけの技量はあるはずです。

ですから本来は魔法学士にもなれるはずです。

御二人ともそれに気づいていないか、何らかの理由で学んでいないだけなのかも知れません。

そしてシノブ君の才能は、あの御二人よりもさらに上です。

安心してください」

「そりゃ、確かにいつかはできるとは自分でも思うけどさ」


そんな俺にエレノアが説明を始める。


「こんな言葉があります。

『タロスを作るのは歌を歌うが如し、ジャベックを作るは、物語を書くが如し、アイザックを作るは、一人の人生を語るが如し』と・・・」


???・・・なんか、わかるようなわからないような言葉だ。


「どういう意味なんですか?」

「タロスというのは基本呪文だけでできます。

それは長くても歌の様な物で、呪文を覚えれば歌を歌うように自然にできるようになります。

しかしジャベックは術式を紙に書き、どういった動きをして、どういった判断をするかを考えながら作らなければなりません。

それはあたかも物語か、何かの手順書を書くかのようなので、このように言われているのです」


・・・前世でシステムエンジニアやプログラマーをやっていた俺にしてみれば、それは、プログラム設計をするような物だろうか?

ならば多少はわかると思うが・・・


「そして上級魔法であるアイザックは知性と感情、自我を持った存在ですから、まさに一人の人間を作るような気持ちで作らなければなりません。

そこには術者の性格、経験、愛情、憎しみなど数々の物が反映されます。

それはあたかも人間を一人創造するのと同じです。

それで人生を語るといわれているのです」

「なるほど・・・」

「アイザックも、いずれシノブ君には覚えていただくつもりですが、まずはジャベックからいきましょう」

「はい、先生」

「さて、タロスとジャベックの最大の差は、その継続性にある訳ですが、これは体内に魔力球を持っているか、どうかになります」

「魔力球?」

「はい、この世界には魔鉱石という物があります。

これは自然界に存在して、魔力を蓄積していく石の事です」

「へえ」

「本来、この世界の物は全て魔力を吸収する性質がありますが、魔鉱石は特に魔力を吸収する物質なのです」

「そうなんだ?」

「はい、そしてそれを加工して、より魔力を吸収するようになった物が魔石と呼ばれる物で、これをジャベックの動力部とします」

「アイザックもそうなんですか?」

「いえ、アイザックはもっと魔力吸収効率の高い、魔宝石と言われる物が魔力球になります。

また同じジャベックでも魔法を使える物には魔結晶と言われる物が使われます」

「そうなんだ?」

「また、魔石を起動させるには魔力量が3000以上、魔結晶の場合は五千から1万以上、魔宝石に至っては20万以上の魔力量が必要です」

「20万?そんなに必要なんですか?」

「はい、それがアイザックを作れる魔道士が少ない理由でもあります」

「確かに」


魔力量20万と言えば、最低でもレベル150位は必要な筈だ。

人によっては300以上必要だろう。

そんなとんでもない魔力が必要ならば、アイザックを作れる魔法使いが少ないのもうなずける。


「そしてもう一つの理由は術式ですね」

「術式?」

「はい、ジャベックはタロスと違い、複雑な術式を書いて、それを体内に魔力球と一緒に入れなければなりません。

そしてさせたい動きや、判断する事などを紙に書いていかねばなりません。

判断する内容によっては元に戻ったり、分岐をいくつもしたり、内容が高度な物になるほど、術式も困難になっていきます。

その術式を書くのが初心者には非常に難しいのです」


術式か・・・確かにそれは難しそうだ。

しかし、何か今聞いた限りだと、コンピュータのプログラムにも似ているような気がする。

まずはとにかくやってみるしかないか!

こうして俺はエレノアからジャベックの作り方を教わり始めた。



ジャベックの作り方は確かに難しく、今までに教わった魔法のどれよりも時間がかかった。

しかし俺が以前から想像していた通り、その術式はコンピュータのプログラムに近い物を感じたので、ふと、その内容を、紙に流れ図で書いてみた。

その方がわかりやすいと思ったからだ。

俺が書いた流れ図は我ながら中々要領を得ていて、自分でも感心したので、色々とジャベックの術式を流れ図で書いてみた。

その俺の書いていた流れ図にエレノアが興味を持った。


「あら?それは何でしょう?」

「これは流れ図とかフローチャートと言われる物で、僕の国のコンピュータ・・・

いや、何て説明したらいいんだろ?

まあ、何かの順番や、仕事の流れをあらわす物だよ。

ジャベックの作り方を考えるのに、これを使ったら便利なんじゃないかと思ってね。

応用してみたんだ」

「それは興味深いですね。私にも教えていただけますか?」

「うん、いいよ。

この線と矢印で基本的な流れを示して、四角いのが一般処理、平行四辺形が入出力、

つまり、命令や行動・・・菱形が判断で、・・・・」


俺は流れ図の基本概念と利用法をエレノアに教えた。

さすがにエレノアは賢く、半日で流れ図の事を理解して使いこなせるようになっていた。


「これは素晴らしいです!

御主人様、この「流れ図」なる物は、非常にわかりやすく、しかも的確に術式の動きを表す事ができます。

術式を書く前段階の物として理想的な方法に思われます。

これはジャベックの教育法に革命を起こすかもしれません!」


珍しくエレノアが興奮して俺に話すので、俺も驚いて尋ねた。


「え?そうなの?」

「はい、ジャベックを起動するには魔力球と術式を書いた物が必要ですが、その術式を実際に書く前にこの流れ図を書けば確認にも大いに役立ちますし、初心者が全体的な流れを掴むにも最適だと思います」

「そうなんだ?」

「はい、私はこれをどうジャベックの教育に組み込めるか、研究してみたいと思います」

「うん、僕も手伝うよ」


こうして俺とエレノアは流れ図のジャベックへの学習法を研究し、それに伴い、俺はジャベックまでも魔法で作れるように習得していったのだった



数日後、俺は魔法協会に魔石を見学に行く事になった。

まだジャベックを実際に作るには早いが、一応その中心となる、魔石を実際に見ておいた方が良いとエレノアが薦めたからだ。


魔法協会に着くと、受付にいたシルビアさんとエトワールさんが俺たちに声をかける。


「あら、シノブさんにエレノアさん、今日はどういった御用事かしら?」

「ええ、今日は実際に魔石を見てみようと思って」

「魔石を?ではついに実際にジャベックを習い始めたのね?」

「はい」


俺の返事にエトワールさんが嬉しそうに話す。


「それなら私に任せて!案内するわ」

「お願いします」

「魔石は上級魔法具だから、四階ね」


昇降機で四階に上ると、そこは広い売り場となっていた。

エトワールさんについて歩いて行くと、何やら光る石のような物がたくさんある場所で止まって説明を始める。


「これが一般的な魔石ね」


エトワールさんに見せられた魔石は、手のひらに載るほどの3cm角の立方体で、ゆっくりと色彩を変えながら輝いていた。


「へえ、これが・・・」


初めて売っているのを見る魔石は、虹色に輝いていて中々綺麗だった。


「これ位の大きさで、だいたい金貨1枚か、そこらね」

「結構高いんですね?」

「そうね、大きい物になると金貨10枚位のもあるわ。

でもむこうにある魔結晶や、魔宝石と比べれば安い物よ」

「そうなんですか?」

「ええ・・・例えば・・・」


エトワールさんは数歩歩いて、そこに置いてある魔結晶を見せる。


「この魔結晶なんかは金貨20枚分、二十万ザイね」

「うっひゃ~」

「それにこっちの魔宝石になると、金貨150枚、百五十万ザイよ」


そう言って、今度は近くに置いてある、七色の水晶の玉のような物を手にとって見せる。


「ええ?それって、下手な奴隷よりも高くないですか?」

「そうね、でも魔石や魔結晶はともかく、魔宝石を使うのはアイザック位しか使い道がないから、恐ろしく高くなるのよ。

そもそも魔宝石を売っているのなんて、ここ以外ではマジェストンと帝都、それにノーザンシティ位だと思うわ。

それにアイザックだと魔法を使えるのが当たり前だから、それの核となる物となれば魔法奴隷級、いえそれ以上の値段になるのも無理はないわ。

もっともアイザックを売るとなると、金貨1千枚以下という事はないらしいから、仕方がないわね」

「この間も聞いたけど、やっぱりアイザックって、そんなに高いんですか?」

「ええ、作れる人も少ないし、大抵は個別発注にならざるを得ないから、どうしても高くなるわね。

中には金貨3万枚以上もあるって聞くわ。

そこまで行くと、もうちょっとした国の年間国家予算よね」


一体で金貨3万枚とは驚きの価格だ。

それでは魔法奴隷よりも、はるかに高い!

確かに年間国家予算と言うのもわかる。


「そんな高い物を一体何に使うんですか?」

「そうね、大抵は王侯貴族の護衛とか、上級魔道士の助手、後は国家で扱う場合は軍隊の司令官をする場合もあると聞くわ」

「軍隊の?」

「ええ、アイザックは大抵魔法が使えるけれど、上級のアイザックになると、とても難しい魔法も使えるのよ。

それこそ私たち魔道士も使えないほどのね、魔法学士級よ。

そういった上級アイザックならタロスを大量に作れるわ。

そうすると一体のアイザックで兵士千人分もの軍隊にも匹敵するの。

もちろんそんな上級のアイザックは、金貨三千枚や五千枚以上もザラだけど、それでも兵士を千人集めて訓練するよりは安上がりになるから、中規模の国はそういうアイザックを国家予算を割いて、数体持っていると聞くわ。

アイザックは買う時は高いけど、買ってしまえば、後の維持費は無いに等しいから」

「なるほど」


確かに兵士一人を訓練して食わせて行くには、月に金貨1枚では足りないだろう。

それが千人となれば、高くてもアイザックを一体購入した方が安上がりになるのもわかる。

それにしても国家予算を割いてまで購入するとは、まさに戦車やイージス艦並の扱いだ。


「ただ、大抵の魔道士は平和主義者が多いから、戦闘用といっても、ほとんどのアイザックが防衛用なの。

攻め込むほどの好戦的なアイザックは数少ないと聞くわ。

それがせめてもの救いね」

「それはそうですね」


それからエトワールさんは最初の場所に戻って、最初に見せた魔石の横にある、少々光の弱い別の魔石を見せる。


「逆にこちらの魔石は簡易魔石とか人工魔石と言って安いわよ。

一個、大銀貨2枚位ね」

「今度はずいぶんと安いですね。それに人工って?」

「これはノーザンシティ産の大量生産型の魔石なのよ。

でも性能的には普通の魔石とはさほど変わらないし、練習用には、よく使われるわ」

「へえ、そんなのがあるんですか?」

「ええ、ノーザンシティは人工魔石の大量生産に成功した今の所、唯一の都市で、高品質で安い魔石をあちこちに輸出しているわ」

「へえ・・・」


一通り説明を終えたエトワールさんが俺に聞く


「それで、今日はどうするのかしら?」


エトワールさんに聞かれて俺がエレノアに尋ねる。


「どうすればいい?エレノア?」

「はい、では、その人工魔石を三つと、普通の魔石を三ついただいていきましょう。

御主人様の練習用にちょうどよさそうです」

「ええ、わかったわ。これね」


そう言ってエトワールさんが、最初に見た魔石と簡易魔石を取り上げる。


「では会計に持っていくわね」

「はい」


エトワールさんが会計に持っていくと、そこの担当の男性魔道士が魔石を見て金額を言う。


「こっちの魔石は12000ザイ、こっちの簡易魔石は2000ザイだね。

両方とも3つずつなら42000ザイだね」

「え~?この人たち、私の知り合いなのよ。

まけてくれない?」

「じゃあ、エトワールさんが購入した事にして、協会職員割引にしていいかい?」

「ええ、それでいいわ」

「それじゃ2割引になるから、全部で33600ザイだね」

「ありがとー」


そう言って俺たちの方を振り向くと、エトワールさんが嬉しそうに話す。


「そんな訳で、この魔石は6つで33600ザイになったわ」

「ありがとうございます」


俺はお礼を言うと、金貨を4枚だして、お釣りの大銀貨を6枚と銀貨を4枚もらう。


「いえいえ、その代わり、またエレノア先生の講義をヨロシクね♪」

「はは、機会があれば・・・」


こうして俺は魔石を買って家に帰ると、ジャベックの魔法の訓練を続けたのだった。

そしてやがて何とか簡単なジャベックも作れるようになり、エレノアの訓練のおかげで、俺のレベルは150に達しようとしていた。


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