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旧・オネショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!   作者: 井伊 澄州
第1章 オネショタな俺が転生したらエロフに騙された!
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331 天賢者

 無言でワナワナと体を震わせているアンジュに俺が質問をする。


「アンジュ、天賢者てんけんじゃって何?」


字面からしておそらく、賢者より上なのはわかる。


「てっ、天賢者てんけんじゃは・・・」

天賢者てんけんじゃは?」

「魔法には、ほんの一握りの人しか使えない特級魔法という物があって・・・それを取得した魔法学士は「天魔道士てんまどうし」と言われます」

「例えばPTMみたいな?」

「はい、PTMは治療系の特級魔法です!

それだって世界に使えるのは10人かそこらでしょう」


うん、今ここにその内の二人はいるけどね?


「そして天賢者てんけんじゃは、それを全部の分野で使える人の称号です」


何っ?特級魔法を全部の分野でだと!?

つまりPTM並みの魔法を、全ての分野で使えるって事か?

あんな頭がおかしくなるような難しい魔法を?

俺はあの魔法を習得する時に死ぬかと思ったぞ?

レオニーさんやレオンが一緒じゃなかったら泣きが入っていたかも知れない。

アンジュの説明を聞いた俺は驚いた!


「それって・・・やっぱり凄いよね?」


その俺の質問にアンジュはさらに興奮して騒ぐ。


「凄いなんてもんじゃありません!

賢者や天魔道士てんまどうしだって凄いんです!

いえ、魔法学士だって十分に凄いです!

魔法使いの中で魔法学士になれるのは、百人に一人もいないんですよ!

ましてや賢者になれるのなんて五千人・・・いえ一万に一人いるかどうか・・・

それが天賢者だなんて・・・魔法協会の認定する最上級の称号なんですよ!

最上位ですよ!最上位!

これ以上はない称号なんです!

驚愕です!

驚異の世界です!

そもそもそういう称号はあっても、本当に持っている人がいるのかどうかさえわからない、怪しい称号なんですよ!

もし本当に実在して、そんな人に会ったら、私なんかその場で気絶しそうですよ!」


むむむ・・・・天賢者とはそこまで凄い称号なのか?

魔法マニアのアンジュが説明すると、その凄さがよくわかるなあ・・・

しかし絶叫するように説明をするアンジュに対して、エレノアがやんわりと説明をする。


「そんな怪しい称号でもないし、ちゃんと資格を持っている人は、私の知っている限りでも、5人はいますよ」

「ごっ?5人?

5人もいるんですか?

天賢者が?この世界に?

本当ですか?」


驚くアンジュにエレノアが、もう一度やんわりと答える。


「ええ、その内の一人は、今あなたの目の前にいますよ」

「えっ?」


エレノアの答えにアンジュが唖然とし、今度は代わりにシルビアが驚いて、質問をする。


「エレノアさん!まさか天賢者の称号を持っていらしたんですか?」

「はい、そうです」


そのエレノアの返事に、俺も含めた全員が唖然とする。

デフォードも呆れ返ったように叫ぶ。


「おいおい!

エレノアの姐さんが凄いのは知っていたが、そこまで凄いのかよ!」


デフォードの言う通りだ!

俺もエレノアは凄い魔法使いだとは思っていたが、そんな凄い称号まで持っていたとは驚きだ。

特級治療魔法のPTMを使えた事だって驚きなのに、その特級魔法を全部使えるだと?

全世界に5人しか持っていない称号だと?

トンでもないエロフだ!

相変わらずこの御師匠様は、俺を驚かすのが得意だ。

全く、このエロフは俺を驚かせるのと、騙すためだけに生まれてきたんじゃないだろうな?

俺がそんな事を考えていると、アンジュが叫びを上げる。


「ちょっと待ってください!

 確かに「天賢者てんけんじゃ」と言う称号がある事は私も知っています。

魔法協会の書物にも、その資格条件は書いてあります。

でも天賢者って、私の持っている魔道士便覧に一人も載ってないですよ!

しかも全ての年度版のどれにもです!

私、何度も見た事があるから間違いありません!

本当に存在するんですか?」


そのアンジュの疑問に、エレノアはいとも簡単に答える。


「ああ、それは天賢者と賢者、それに天魔道士は本人の希望により、便覧には自分の名前を載せない事が出来るんですよ。

何しろ、数が少ないので名前が載ると、あちこちから色々と問い合わせや要請が凄いので・・・

だから賢者や天魔道士も半分くらいは載ってないし、天賢者は全員載ってないのです。

マジェストンの魔法協会総本部にある、魔道士便覧の原本には載っていますが、それは魔法修士以上の者でないと閲覧できない規則になっています。

しかもその内容は他人には話さないように決められています。

従ってその存在を知っている者はわずかしかいません。

ですから私も普段は必要がない限りは、ただの魔法学士か魔道士を名乗っているのです」


なるほど、今までエレノアが賢者や天賢者を名乗らなかったのはそういう訳だったのか?

しかし「ただの魔法学士」って言っても、その「ただの魔法学士」になるにも、かなり難しいはずだが・・・


「もっとも、グレゴールさんやゼル、それにユーリウスとパラケルスやレオニーを初めとするメディシナーの一部の人々はそれを知っていましたから、御主人様には時期が来るまで、しばらくの間は内密にするようにお願いしておきましたが」


なるほど、グレゴールさんやゼルバトロスさんたちと出会った時に、エレノアが魔法念話で何か話しているようだったが、あれはこの事を話していたのか?

当然、レオンやレオニーさんたちも、この事は知っていた訳だ?

ゴーレム大会の時のメディシナー年表にも、エレノアの事は載っていても、その事は書いていなかった。

つまりは知っている人だけが、知っているって奴か?

しかし俺以上にアンジュは驚いたようだ。


「え?では本当に天賢者は存在するのですか?」

「はい、そうですよ。今あなたの目の前にね」


それを聞いたアンジュが突然壊れたように叫び始める。


「てってけてけてけ、てっけ、てって、てってってってっ天賢者?

エッエエエッエッエレノアさんが天賢者?」


あ、アンジュが壊れた。

アンジュは魔法使い一筋だっただけに、相当衝撃を食らったようだ。

もっとも今まで伝説か何かで、そんな物は存在しないと思っていたのに、実際に存在して、それが自分の目の前にいるんだから驚くのも無理はないか?

さっき自分でも実際に会ったら気絶するとか言っていたしな?

よほど驚いたのだろう。

でも、何か有名落語番組のオープニングみたいな感じになっているぞ?

そして何やらブツブツと呟いている。


「天賢者が奴隷・・・奴隷が天賢者・・・天賢者が奴隷・・・奴隷なのに天賢者・・・」


どうやらアンジュはあまりのショックに変なスイッチが入ってしまったらしい。

まあ、しばらくほっておけば大丈夫だろう。

俺がそんな事を考えていると、今度はシルビアが突然話し始める。


「ちょっと待ってください!エレノアさん!」

「何ですか?」

「実は私、以前から気になっていて、エレノアさんに聞きたい事があったのですが?」

「何でしょう?」

「私が昔、マジェストンの魔法中等学校にいた頃に聞いた話があります。

いなくなってしまったけど、かつて魔法高等学校には物凄い先生がいたと・・・

その先生はあらゆる魔法を使いこなし、生徒はおろか、他の教師たちからも尊敬されていて、魔法学校の象徴のような人だったと聞いています。

その話はマジェストンの魔法学校では、まるで遠い過去の伝説の人物のような扱いでした。

そしてその人の名はグリーンリーフと言ったと聞いています。

もしや・・・」

「はい、私がその魔法教師グリーンリーフです。

今は奴隷なので、ただのエレノアですけどもね」

「やはり!

エルフの魔法使いはたくさんいますが、あまりにもエレノアさんが魔法に詳しく、しかも魔法学校の事にも詳しいので、以前からもしやとは思っていたのですが・・・」


シルビアの説明で俺とミルキィも驚く。


「エレノアが魔法学校の・・先生?」

「エレノアさんが・・・マジェストンの伝説の魔法教師・・・?」

「てってけてけてけてって・・・」


うん、アンジュはまだ壊れたまんまだな?

こりゃ今の話を聞いていないな?

しかしエレノアは魔法学校の先生で、天賢者とやらだったのか!

どうりで魔法を教えるのがうまい訳だ!

今まで不思議だったいくつかの事が、これでよくわかった。

しかし、逆にある意味、謎はますます深まる。

メディシナーのガレノス三高弟の件といい、それほどの人物が、なぜ俺の奴隷になっているのだろうか?

その事を考えると、俺は何故か得も知れぬ恐怖にかられてゾッとした。

これには何かとんでもない理由があるのではないだろうか?

・・・いや、今は考えないようにしておこう!

いずれわかる時も来るだろう。

そう考えた俺は単純にエレノアに素直な感想を述べた。


「しかし、天賢者か・・・凄いね?」

「はい、これがその天賢者の称号印、天賢者章です」


そう言ってエレノアはマギアサッコから天賢者の徽章を出して見せる。

大きくて立派な徽章だ。

それは以前見せてもらった魔法学士の物よりも遥かに大きくて立派だ。


「これが・・・天賢者章・・・」

「ほう?こいつは立派なモンだ!」


その天賢者章を俺とデフォードが感心して眺める。


「私も実物は初めて見ました・・・」


おや?アンジュがいつの間にか復帰したな?

まじまじとエレノアの天賢者章を見ている。

その天賢者章を感心して見ながら俺がエレノアに尋ねる。


「しかし、その天賢者、いや、ただの賢者になるのにも、ずいぶん時間がかかるんじゃないかな?

その間、ずっと何年もマジェストンにいるの?」


確かに俺は本来ならば学生の年齢だ。

普通に考えれば何年か学校に通っても不思議ではないが、今の俺には家もあるし、かなり貯蓄はあるが、当然の事ながら生活のために稼がなければならない。

そして今や商売までも始めているのだ!

一応、商売は順調だし、かなり任せてはあるが、かと言って、それを何年も放っておく訳にも行かない。

正直言って、あまりのほほんと学生生活を満喫できる立場ではない。


「いえ、それほどはかかりません。

ミルキィは中等部ですし、御主人様とシルビア、アンジュの3人には高等学校に入っていただきますから、3年もあれば大丈夫でしょう。

その程度ならば、店の方も新規事業を始めでもしない限り、現状維持ならば大丈夫でしょう。

後は当初の予定通りにメディシナーに支店を開く程度でしょうから」

「たったの3年?

そんな短い年数で賢者になれるの?

それにシルビアはともかく、僕とアンジュはただの魔士だよ?

いきなり高等魔法学校になんて入れるの?」

「はい、確かに高等魔法学校に入るには正規の魔道士の称号が必要です。

ですから魔士である御主人様とアンジュがいきなりは入れませんが、一ヶ月もあれば大丈夫です」

「一ヶ月で?」


正規の魔法士や魔道士になるのには何年もかかると聞く。

たったの一ヶ月で、どうやってその資格を取れるのだろうか?

しかしエレノアには確たる自信がある様子だ。


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