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旧・オネショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!   作者: 井伊 澄州
第1章 オネショタな俺が転生したらエロフに騙された!
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297 キャサリンとペロン

 ずらりと並んだうちの者たちに、俺がキャサリンを紹介する。


「四番奴隷のキャサリンだ。これから宜しく頼む」

「今日からシノブ様の奴隷になったキャサリンです!

よろしくお願いしまーす!」


うん、中々ハキハキしていい。

元気が良いのはいいことだ。


「では、みんなも改めて彼女に自己紹介を頼む」


俺の言葉にずらりと並んだうちの面々が、順番に、キャサリンに対して自己紹介をしていく。


「はい、私は家令のアルフレッドです」

「私は家政婦長のキンバリーです」

「私が当家の首席秘書監で、奴隷頭のエレノアです」


エレノアの自己紹介に、キャサリンが納得したようにうなずく。


「ああ、やっぱりあなたがエレノアさんでしたか?

エルフの奴隷なんて珍しいですもんね!」

「まあ、そうですね・・・と言うと、私の事も噂に?」

「ええ、ずいぶん奴隷商館で聞きました。

何年も奴隷商館にいたのに、突然少年に買われていったとか色々と・・・」

「ほかにどのような噂を?」

「ええと・・・私が聞いた通りに話しても良いですか?」


エレノアの質問に、どういう訳だかキャサリンは少々引き気味だ。

困ったようなキャサリンにエレノアは微笑んで答える。


「ええ、もちろん構いませんよ?

どういう風に言われているのですか?」

「絶世の美貌と肉体で、何も知らない若い少年を誑し込んだ女エルフ」


そのキャサリンの実も蓋もない説明にエレノアが絶句する。


「えっ・・・!」


その説明に俺は思わず笑いそうになる。


「ククッ・・・」


確かに世間から見たらそう見えるかも知れないよなあ・・・

まあ、実際一部は当たっている訳だし・・・

俺が笑いをこらえていると、珍しくエレノアが声を荒げる。


「御主人様!」

「クック・・・、ゴメン、ゴメン」

「え?違うんですか?」


ポカンとした表情で尋ねるキャサリンに俺はどう答えようかと考える。

確かに一部は当たっているけど、ここはエレノアの名誉のために誤解を解いて説明しておかないとな。


「ああ、このエレノアは非常に知識と教養があって、僕の先生なんだ。

この家でも首席秘書監と言う役職で、発令権は一番上だよ。

決して色香で僕をどうこうした訳じゃない」

「ありがとうございます」


俺の説明にエレノアも一安心した様子だ。

対してキャサリンは驚き顔だ。


「え?奴隷なのに家令のアルフレッドさんや、家政婦長のキンバリーさんよりも上なんですか?」

「そうだよ。場合によっては僕より上ですらある。

そして奴隷頭でもある。

君も彼女の言う事はちゃんと聞いてくれよ?」

「はい・・・わかりました」


キャサリンが返事をすると、次はミルキィが微笑んで挨拶をする。


「2番奴隷のミルキィです。

よろしくお願いしますね」


マジマジとミルキィを見たキャサリンがポツリと話す。


「獣人なんだ・・・」

「ええ、そうですよ?」

「獣人の奴隷なんて本当に使っている人がいるんですね・・・」


そのキャサリンの言葉に俺が驚いて尋ねる。


「え?どういう事?」

「私のパパが獣人なんて頭が悪くて使いようがないって言ってました」


キャサリンの言葉に今度はミルキィが絶句する。

俺もその言葉を聞きとがめてキャサリンに釘を刺す。


「それは感心しないな。

獣人だって、そこらの人間よりも頭が良くて、優秀な者はいくらだっている。

このミルキィが良い例だ。

ここでは君の先輩なんだし、そんな偏見は持ってはだめだ」

「は~い」


一応納得したようにキャサリンは返事をする。

次はミルファだ。


「副家政婦長のミルファです」

「また、獣人?

 奴隷じゃないんだ?」

「ええ、普通の使用人ですよ。

 もっともこの家では御主人様の意向で、奴隷も使用人も、あまり変わりはないですけれどもね」

「ふ~ん・・・」


キャサリンは何だか納得しないようだ。

その次にシルビアが自己紹介をする。


「そして私が3番奴隷で、次席秘書監兼副奴隷頭のシルビアです」

「出たっ!金貨千枚の人!」


キャサリンのその言葉に、今度はさすがにシルビアが声を荒げて注意をする。


「あのね、あなた!

その金貨千枚の人と言うのはお止めなさい!

失礼ですよ!」

「え~?だって金貨千枚の奴隷なんて、それだけで格好いいじゃないですか?

自慢できてうらやましいですよ!」

「う、うらやましい?」


キャサリンに予想外の反論をされてシルビアも驚く。


「だって私なんて、たったの金貨100枚ですよ?

まあ、これでも高い方らしいですけどね。

最初は売値が金貨85枚とか言われたんですけど、どうしても金貨100枚は譲れないって、私も文句を言ったんですよ。

金貨100枚は超えたから一応のプライドは保てましたけどね。

ミルキィさんはいくらだったんですか?」


キャサリンの質問に、ミルキィが反射的に答える。


「え?私は金貨280枚です」

「ほらね?

私の倍以上じゃないですか?

250枚越えなんてめったに居ませんよ?

でも獣人の奴隷より、私の方が安いなんてへこむなあ・・・

しかも千枚なんて、凄いじゃないですか?

私の十倍ですよ!十倍!

いいなあ~・・・エレノアさんはいくらだったんですか?」


そのキャサリンの質問にエレノアはにべもなく答える。


「それをあなたに話す必要などありません」

「え~いいじゃないですか?

同じ奴隷同士、教えてくださいよぉ。

奴隷商館でも、何か凄い金額らしいって話は聞いたんですけど、誰も本当の金額を知らなくてぇ~」


当然だ、それは俺とエレノアとバーゼル親子しか知らないし、その四人は誰にも話さない。

すねたように尋ねるキャサリンに、エレノアがピシリと答える。


「キャサリン、どうもあなたは礼儀という物を心得ていないようですね?

まずはそこから躾けるべきなようです」


そのエレノアの言葉にその場にいた全員がうなずく。

なるほど、アルヌさんがまだ教育中だというのが良くわかった。

どうやらあれでもこの娘は奴隷商館では猫を被っていたようだ。

これはしくじったかな?前途多難なようだ。

そう考えながら俺はガルドとラピーダの説明をする。


「そしてこれは私の護衛のジャベックで、ガルドとラピーダだ」


そう言って俺がガルドとラピーダを紹介すると、キャサリンはかなり驚いたようだ。


「えっ?この二人、ジャベックだったんですか?」

「ああ、そうだよ」

「私もジャベックは使った事はありますけど、みんな一目瞭然でした!

すぐにジャベックってわかります。

でもこの二人は、どうみても人間にしか見えません!」

「ああ、そうだね。

確かにここまで人間と区別がつかないジャベックは珍しいだろうな」

「凄いです!

これ一体、いくらしたんですか?御主人様!」

「え?」


唐突に二人の値段を聞かれて俺も困った。

そうか?そりゃ普通はどこかで買ったと思うよな?

しかしまだこの娘にはガルドたちの素性を言わない方が良いだろう。


「いや・・・まあ、この二人は買ったんじゃなくて、ある人に作ってもらったんだけどね?」

「え?じゃあタダでもらったんですか?」

「ま、まあ、そうだな・・・」

「すっご~い!御主人様ラッキー!

これ、買ったら絶対高いですよ!

それをタダでもらえたなんて!

売ったら凄く儲かりますよ!

いくら位で売れるかな~」

「いや、この二人は我々の仲間で売ったりなんかしないから!」

「ええ?そうなんですか?

絶対に凄く儲かるのに~売りましょうよ~」

「いや、売らないって!」


あくまでガルドとラピーダを売ろうとするキャサリンの言葉にうちの連中も呆れ顔だ。

やれやれ、これは相当に教育をし直さなければならないようだ・・・


俺がそう考えている時にペロンが目覚めた。

ペロンは起きるなり、俺にキャサリン退去の要求を始める。


「御主人様、今すぐにこの女を追い出してくださいニャ!」

「え~?そうは言っても、今買って来たばっかりだしなあ・・・」


ペロンの言う事は聞いてあげたいが、それ以外にこれといった理由もないのに、流石に今買って帰ったばかりの奴隷を追い出すというのもどうかと思う。

どうしたものかと、俺が困っていると、ペロンが追い討ちをかけてくる。


「そんなのは関係ありませんニャ!」


そう言って激しく抗議するペロンに、キャサリンが再び近づいて話しかける。


「あら~この猫ちゃんは何を言ってるんですか~?」

「近づくニャ!それ以上ボクに近づくんじゃニャい!」

「これから一緒に住むんだし、仲良くしましょう」


そう言ってキャサリンが、近づいてまた抱きしめようとすると、ペロンは叫んで逃げ出した。


「うにゃ~っ!」


そう言ってペロンは部屋の空いた扉から飛び出して、凄い勢いで逃げ出してしまった。

どうやらそのまま家の外まで行ってしまったようだ。


「あ・・・」


ペロンが逃げて行った戸口を見て俺は呆然とした。


「一体どうしたっていうんだ?

 まあ、ほとぼりが冷めたら帰ってくるだろうけど・・・」

「さようでございますね」


アルフレッドもうなずいて俺に賛同する。

そして俺たちはペロン逃亡の元凶となった、キャサリンを眺める。

この娘がそんなにペロンは嫌だったんだろうか?

確かに少々ずうずうしいというか、礼儀知らずな部分はあるが、それ以外は今の所、これと言っておかしな所はない。

全体的にはごく普通の女にしか見えない。

しかしエレノアとシルビアが話し始める。


「それにしてもケット・シーであるペロンが、あれほど忌み嫌うと言うのは、ただ事ではありませんね?」

「そうですね・・・よほどこの娘には何か理由があるとしか思えません」


二人の意見に俺もうなずいて答える。


「そうだね・・・確かにペロンの言うように、奴隷商館に返した方が良いだろうか?」


すると今更奴隷商館に返されてはならじとばかりに、キャサリンが俺たちを説得し始める。


「そんな事ないですよ!

私は一生懸命働きますし、まだ来たばかりなのに、猫一匹の言う事を聞いて、いきなり奴隷商館に返すなんてひどいですよ!

どうかここで働かせてください!」

「まあ、ペロンは猫ではないんだが・・・」


しかし確かにこの娘の言う事も、もっともだ。

まだ何もしてないのに、いくらペロンが特殊能力を持っているからと言って、いきなり奴隷商館に返すのもどうかと思うし、返す理由も「ケット・シーが反対したから」というのでは、説得力に欠けるのではないだろうか?

ここは少々様子を見るとするか?


「うむ・・・では、しばらくは君の働き具合を見る事にしよう」


俺がそう言うと、再びエレノアが意見を述べる。


「しかしケット・シーの判断は非常に重要視されます。

そのケット・シーであるペロンがあれほど嫌がるという事は、私たちに感知できない何かしらの理由がこの娘に存在するとしか思えません。

ここはやはりバーゼル奴隷商館へ返した方が良いのではないでしょうか?」

「そうか・・・」


エレノアがそこまで言うのであればそうなのだろう。

しかしキャサリンはあくまで食い下がる。


「そんな事はありません!

それだったらしばらく様子を見るだけでも良いじゃありませんか?

それでダメだったら返品するとか・・・」


なるほど、この娘の言う事にも一理ある。

そう言えばエレノアも最初は買うのではなく、3ヶ月の貸し出しだった。

この娘にもそれ位の機会は与えても問題はあるまい。

3ヶ月とは言わないまでも、数日程度は様子を見てみよう。

それが公平と言う物だろう。

そう考えた俺は、しばらくこの娘の様子を見る事にしてみた。


「わかった。では数日、君の様子を見て判断してみよう。

但し、それでダメだったら本当に店へ返すぞ?」

「はい!ありがとうございます!」

「エレノア、悪いけどしばらくは様子見って事で頼む」

「承知しました」


こうしてキャサリンはうちで仮雇いとして働く事となった。

しかしこの時の俺は、まだ2つの事を知らなかったのだ!

一つにはケット・シーの匂いの判断と言う物が、どれほど正確で、それだけで十分に人物鑑定の正否を決定する理由になるという事を!

そしてもう一つは、ペロンはそのケット・シーの中でも、特にその能力に敏感で優れていたという事実を!


取り合えず俺がエレノアたちと一緒に、キャサリンに一通り屋敷を案内して見せると、どこを見てもキャサリンは、はしゃぎ通しだった。

一応、公平に部屋を一つ与えてあげると大喜びだ。


「うはっ!これ私の個室ですか?

ちょっと狭いけど良かった~」

「狭い?」

「ええ、私が以前住んでいた家の部屋はもう少し広かったけど、奴隷に個室はないと聞いていたので嬉しいです!」

「なるほど」

「ありがとうございま~す!

この御恩は奴隷でいる間は忘れませ~ん!」


そのキャサリンの言葉で、俺はずっこけそうになる。

一緒にいたエレノアたちも呆れ顔だ。

おいおい!それは奴隷で無くなったら忘れるという事か?

・・・というか、この娘は最初から、いつかは奴隷から解放される気が満々という訳か?

う~ん・・・前向きと言うべきか、能天気と言うべきか・・・


「うん、まあ好きに使いなさい。

ここでの君の仕事は「外組」と言って、迷宮探索を私としてもらう事になる。

但し、まだ仮採用のようなものだ。

しばらく働き具合の様子を見て、正式に部署を決める事にする。

まずは町に行って、そのための装備を整えよう」

「装備?キャッホー!」


装備を買ってもらえると大喜びのキャサリンに対して、呆れて心配そうな様子で、エレノアが俺に尋ねる。


「我々も全員一緒に行きますか?」

「うん・・・そうだな・・・

今回はエレノアだけで良いよ」

「承知いたしました」


こうして俺とエレノアはキャサリンを連れて、武器防具店へと向かった。

エレノア以外にも、一応護衛としてガルドとラピーダはついて来ている。

この娘も、いずれは我々と同じ「青き薔薇ブルア・ローゾ」の装備を作るかも知れないが、まずは一般装備で様子見をしなければ、どういう装備が向いているかもわからない。

さて、このキャサリンは、一体どういう装備になるだろうか?


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