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旧・オネショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!   作者: 井伊 澄州
第1章 オネショタな俺が転生したらエロフに騙された!
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019 初めての盗賊

そんなある日の事だった。

一日の迷宮の訓練が終わり、俺とエレノアが帰り道の森の中ほどを歩いている時にそいつらは現れた。


「よぉよぉ?兄ちゃん、あんた最近、羽振りがいいんだってな?」

「町で知り合いに聞いたぜ?」

「ちょっと俺たちにも分けてくれや?」

「いいだろう?」


あからさまに盗賊っぽい四人組だ。

鑑定してみると45,41,38,37・・・なるほど、そこそこだ。

今の俺は90少々のレベルなので、普通に剣だけで戦っても、さほど梃子摺らないだろう。

魔法を使えばなおさらだ。

しかし、一応初めての経験なので、俺はエレノアに尋ねてみる。


「この連中は何?エレノア?」


俺の質問にエレノアは落ち着いて答える。


「まあ、いわゆる、森の盗賊の類ですね。

 普通、高レベルの冒険者は、この森を航空魔法で飛び越えて迷宮に行きます。

 私たちは御主人様の鍛錬を兼ねて、こうして行き帰りも森の中を歩いていますから、レベルの低い冒険者と勘違いされたのでしょう。

 人数もわずかに二人ですし、少年と奴隷なので、組み易しと思われたのでしょう。

 この者たちはそういったレベルの低い善良な冒険者を食い物にしている中堅処の盗賊ですね」


なるほど、確かにこのレベルの連中が4人もいては、ひょっとしたらロナバールに来た頃の自分ではやられてしまっていたかもしれない。


「どうすればいい?エレノア?」


この世界の盗賊への対処法がわからない俺がエレノアに聞く。


「御主人様のお好きになさってよろしいですよ。

 このような連中は丸焦げになさっても、どこからも文句はきませんから大丈夫です」

「そうなんだ?僕は盗賊に会うの初めてだからわからないけど、それで構わないの?」

「はい、冒険者同士の争いは基本御法度ですから、それを破る者はどうなっても文句は言えません」

「間違って殺しちゃっても大丈夫って事?」


俺の質問にエレノアがさわやかに恐ろしい答えをする。


「意図的に殺しても大丈夫です」


意図的にって・・・エレノア、相変わらず恐ろしい子・・・

俺がエレノアと相談していると、盗賊の頭らしき男が叫ぶ。


「てめえら!何をごちゃごちゃ言ってやがる!

 今すぐ持ち物と金を全部出すなら許してやるぞ!」


その盗賊の頭らしき男の言葉に俺がエレノアに尋ねる。


「そうなの?」

「おそらくは嘘ですね。

 我々の身包みを剥いだ後に、奴隷として売るつもりでしょう」

「それはやだなあ」

「ええ、ですからまとめて片付けてしまった方がよろしいかと」

「でも僕も盗賊って初めてだから、ちょっと話し合ってみても良い?」

「ええ、もちろん構いませんよ。

 これも勉強ですから、でも気をつけてくださいね」

「ありがとう」


エレノアの許可をもらうと、俺は盗賊たちに向き合って話し始める。


「ねぇ、君たち?一応確認したいんだけど、君たちは盗賊とか、追い剥ぎの類なのかい?」


盗賊たちもあからさまに盗賊と名指しされて話し合う事はなかったと見えて、躊躇して答える。


「・・・ああん?盗賊だったらどうだってんでぃ?」

「僕はあまり争い事は好きじゃないんだ。

 だから君たちが単にお金に困っているというなら僕のお金を多少分けてあげてもいいよ?」

「はぁ?分ける?どういうこった?」

「だからさ、君たちが生活に困っているなら、僕のお金を君たちにあげるって事さ。

 君たちもさっき分けて欲しいって言ってたじゃないか?

 それで君たちがこういった事をしなくなるなら僕もうれしいからね。

 さし当たって、この位でどうかな?」


そう言って、俺は銀貨袋から大銀貨を5枚だす。

数日の生活費ならこれで十分なはずだ。

笑顔で大銀貨を差し出す俺に、盗賊たちは怪訝そうな顔をして、ボソボソと話し合う。


「なんだ?こいつ?頭がおかしいのか?」

「さあ?どっちにしてもとりあえず金をくれるってんなら、もらっておいて損はねぇんじゃねえですかい?」

「それもそうだな」


相談が終わったのか、盗賊の頭が俺に話しかける。


「よし、それをよこしな!」

「うん」


俺は大銀貨5枚を盗賊に渡す。

盗賊たちはその銀貨をまじまじと眺めて、どうやら贋物ではないというのがわかると満足そうだ。


「どうだい?それで満足してくれたかな?」


しかし俺の質問に盗賊は首を横に振る。


「・・・いや、だめだな」

「え?」

「これっぽっちじゃ俺たちは満足しねえって事よ」

「・・・じゃあ、君たちはどれだけもらったら満足するんだい?」


俺の質問に盗賊の頭がニヤッと笑って答える。


「そうさな、お前の有り金と持ち物全部よ」

「それはひどいよ。

 ねえ?これを機会に真っ当な仕事につくとか、普通に迷宮で魔物を倒して稼ぐとかは考えられないの?

 僕も何か協力できる事があるなら手伝うからさ」


しかし、俺の話にも盗賊は全く聞く耳を持たないようだ。


「やかましい!そんな事はてめぇの知った事か!

 さあ、とっとと身包みを全部寄越しな!」

「そうか・・・ちょっと待ってくれ。

 大銀貨を5枚あげたんだ、それ位いいだろう?」

「はっ、そうだな、どうせ全部いただくんだ。

 そっちの奴と話したいなら、ちょっとくらいは待ってやらあ」


盗賊の言葉に、俺はため息をつくと、エレノアに話しかける。


「うん、やっぱりだめだったみたい」


正直、俺も盗賊相手に話し合いが成立するとは思ってはいなかったが、エレノアは俺以上に当たり前です、といった感じでうなずいて返事をする。


「そうですね、まあ、当然ですが」

「こういった場合、普通はどうするのかな?」

「追い散らすか、殲滅するか、捕まえてその筋に渡すかのどれかですね」

「やっぱりその3つなんだ?」

「それ以外には、まれに捕まえて手下にするというのもありますね。

 特に盗賊同士では、よくあると聞きます」

「なるほど、でも別にこいつらは部下に欲しくはないなあ」

「私も賛成です。片付けた方が良いと思います。

 それにこういった連中は逃がすと、またどこかで同じ事を繰り返すでしょう。

 御主人様の慈悲が通じる相手ではございません」

「そうだね、今後他の被害者も出したくないし・・・じゃあ、そうするか。

 指輪を使っても良い?」


俺が魔力消費1割指輪の使用許可を求めるが、エレノアは笑顔で却下する。


「いえいえ、この程度の連中など、指輪なしで片付けていただかないと、練習にもなりません」

「うん、わかった」


そう言って俺は覚悟を決めた。

最悪、この連中を皆殺しにする覚悟をだ。

実は俺は殺人と言う物に躊躇がない。

当然の事ながら、別に人を殺したくてたまらない殺人鬼という訳ではないが、この世界に来た時から、こちらに危害を与えて強盗などしようとする連中には、容赦しない覚悟をしていた。

ましてや、奴隷として売り飛ばそうとしたり、殺して身包みを剥ごうなどと考えている連中相手には躊躇なく殺すだろうと考えていた。

もちろんまだ実際にはした事がないが、いざその場になったら躊躇なく殺すと思っている。

極力、相手を傷つけたくはないと思ってはいるが、あっちが危害を与えてくるなら、話は別だ。

相手が人間だろうが、魔物と同様の感覚で相手をする。

ましてやここまで譲歩しても相手にその気がないなら、今日が、俺の初殺人日になるかもしれない。

そう考えると、さすがに少しは緊張してくる。

俺が盗賊たちに向き直ると、当の連中は俺たちの会話を聞いて、相当頭にきている様子だ。


「このガキャ~黙って聞いてりゃ、俺たちを練習に片付けるだと?」

「どっちが片付けられるか、思い知らせてやる!」


凄む盗賊たちに対して、逆に俺が笑顔を消して脅しをかける。


「おい!お前たち!ここで今はっきりと説明しておく!

 俺はお前たちが総がかりでも倒せる相手じゃない!

 だから今ここで侘びを入れて、心を入れ替えるなら許してやる。

 それに渡した大銀貨はくれてやる!

 それが出来ないというなら容赦はしない!

 どうする?」


その俺の言葉に盗賊たちが目をむく。

あからさまに子供然とした人間に挑発されたと思って、怒りが爆発したようだ。


「な、な、な、な、何だと?」

「このガキャ~!何様のつもりだ?」


そんな盗賊たちを俺はさらに最後通告をする。


「それがしたくないならかかって来るのも良い。

 しかしその場合、お前たちに容赦はしない!

 但し、逃げるなら別に追わないから安心して逃げろ」


一応俺は最後通告のつもりで言ったのだが、盗賊たちは単純に子供に舐められたと取ったようだ。

俺の言葉に盗賊たちは襲い掛かってくる。


「ふざけんな!」


ついにぶちきれて、飛び掛ってきた男を俺は難なく剣でいなす。


「やれやれ仕方がないな」


そう呟くと、俺は一気に戦闘用のゴーレムを出す。


「アニーミ・アロモーロ・ドゥーデク・・・エスト!」


その数20体だ。

しかも以前のような土くれゴーレムではない。

エレノアの作ったゴーレムのように西洋の甲冑騎士然としたゴーレムで、最初から全員棍棒と盾装備だ。

武器を剣にしなかったのは切らずに捕縛するためだ。

やはりできれば殺したくはない。

捕まえてその筋に引き渡すのが無難だろう。

この甲冑騎士ゴーレムは見てくれだけでなく、俺が以前作っていた土くれゴーレムより同じレベルでも強さもはるかに強い。

レベルは一応手加減して35ほどにしてみた。

一応こんな連中でもあまり殺したくはない。

これならこの連中をやりすぎて殺してしまったりはしないはずだ。


「なっ!こいつゴーレム使いか?」


盗賊の一人が意表を突かれたように驚いて叫ぶ。

正規の魔道士ならばともかく、魔士で戦闘用ゴーレム使いは少ないそうだ。

しかもエレノアの話によれば、一気に10体以上を出すゴーレム使いは稀らしい。

それならばこの盗賊連中が驚くのもわかる。

しかし逃げ出すかと思いきや、盗賊頭は落ち着いて部下に命令する。


「ひるむな!その程度、こっちだって、おい!」

「へい」


 流石は盗賊とはいえ、百戦錬磨といったところか?

頭に言われて副頭らしい男が呪文を唱えると、ゴーレムが8体ほど出てくる。

しかし俺の方が西洋の甲冑騎士然としたゴーレムなのに対して、その男の出したゴーレムは以前の俺の出したような土くれゴーレムで、しかもレベルは20程度、俺の出したゴーレムはレベルが35なので話にならない。

質でも量でも俺の圧勝だ。

どうやらお前たち、相手が悪かったな?

でも、お前たち、ある意味、運がいいぞ?

俺の横にいるフードを被っている人が相手だったら、きっと何のためらいもなく、魔法一発で全員あの世行きだ。


 しかし、このゴーレム使い、これほど戦闘用ゴーレムを出せるならかなりの技量だ。

これならこの頭にも勝てるだろうに?

実力主義の盗賊で、何でこいつはこの頭に従っているのだろうか?

俺はふと、それを疑問に思った。

エレノアも意外そうな声を上げる。


「あら、盗賊のくせに、これほどの数のタロスを出すとは意外ですわね?」


確かにこれほどのタロスを出せるならば、迷宮で稼ぐなり、他の仕事をするなり、いくらでも盗賊以外の仕事があるだろう。

なぜ、これほどの技を持ちながら、わざわざ盗賊をしているのかは謎だ。

まあ、人それぞれだから仕方がないか?


「そうだね、僕も少し驚いたよ。

 念のためにもう少し出しておくか?」

「そうですわね。

 でも油断はなさらぬように」

「うん」


エレノアの助言に従って、俺はゴーレムをあと10体追加してだす。

しかも今度は全部レベルが50だ。

合計三十体のゴーレムたちは何重にも盗賊たちを囲む。

さらに10体の追加ゴーレムを見て盗賊たちは悲鳴を上げる。


「なんだこりゃ?」

「頭、もうだめだ!」

「逃げやしょう!」

「馬鹿言ってんじゃんねえ!

 こんなガキ相手に逃げていられるか!」

「しかし・・・」

「仕方がねえ、こいつを使う」


そう言うと、頭はベルトに挿していたグラーノを取り出して、解呪の呪文を唱える。


「そらっ!暴れろ!」


すると、そこに身長三mほどの巨大な灰色の岩で出来たようなゴーレムが現れる。

鑑定してみると、レベルは何と100だ!

明らかに戦闘用のそれは、出現と同時に俺たちに襲い掛かってくる。


「おわっとと!」


いきなり出現して攻撃を開始したゴーレムに不意を突かれて俺は転びそうになる。

なるほど、こいつがいるからあのゴーレム使いはこの頭に従っていたのか?

出てきたゴーレムは中々強く、俺のゴーレムは片端からやられ始める。


(さすがレベル100・・・しかもこの強さ・・・ジャベックか?)


そう考えながら、俺があたふたと逃げ回っている間に、エレノアは優雅に攻撃を避けると、ふわりと飛び上がり、そのゴーレムの攻撃が届きそうにない高い木の枝に避難する。

戦線から離脱したエレノアに俺が文句を言う。


「え~?手伝ってくれないの?

 こいつのレベル、僕より上だよ?

 しかもジャベックみたいだから結構強いよ?」

「大丈夫です。

 確かにこれはジャベックのようですが、レベルが高いといっても、経験不足のただのでくの坊です。

 今の御主人様なら楽に倒せる相手ですよ」

「そうかなあ?」

「確かに当初予想したよりも手ごわい盗賊でしたが、これでむしろ御主人様のちょうど良い練習相手になりました。

 この連中を逃がさずにちゃんと全員倒したら、今夜は御主人様の大好きなアレを念入りにしてさしあげますよ」

「え?本当?やったあ!僕がんばるよ!」


それまで戦闘はゴーレムに任せて、自分自身は渋々と戦っていた俺が、突然やる気になって攻撃を始めると、盗賊たちが驚く。


「なんだ?このガキ?」

「あの奴隷女と何か話したら俄然やる気になってやがる?」

「アレってなんだ?」


 ふっ!盗賊どもよ!貴様らに「アレ」を教えてなどやらぬ!

エレノアに「アレ」をしてもらうと気持ちいいんだ~♪

ふふふ・・・俺は「アレ」のためにがんばるぞ!


 俺は何体かのゴーレムたちに盗賊の相手をさせておいて、自分はかつてミノタウロスを倒した時のように、大量のゴーレムを巨大ゴーレムの相手をさせると、後ろを狙い、ズバズバと攻撃する。

さしもの巨大100レベルゴーレムもこの攻撃には参ったらしく、ついには力尽きて倒れ四散する。


「ああっ・・・俺の岩石ゴーレムが・・・」

「もうだめですぜ!頭ぁ!」

「くそう!あのジャベックは高かったんだぞ!」

「そんな事、言っている場合ですかい!」

「逃げやしょう!」


頼みの綱の巨大ゴーレムを倒された盗賊たちは逃げにかかるが、もちろん逃がしはしない。


「待て!逃がさん!」

「逃げるなら逃がしてくれるんじゃなかったのか?」

「事情が変わった!

 うちの奴隷が「アレ」をしてくれるなら話は別だ!」


殺しはしないが、全員を残ったゴーレムに包囲させて、片端から俺が冷凍魔法で足を凍結させてしばいていく。


「グラツィーオ!」


俺の冷凍魔法の前に、盗賊たちは次々と凍って動けなくなっていく。

そしてついに盗賊頭も俺の攻撃の前に倒れる。


「お、おのれ・・・「アレ」とは一体・・・」


その言葉を最後に盗賊の頭は俺に敗れたのだった。



 倒れた連中を、縄で数珠繋ぎにして、全員を一つにつなげる。

俺が全員を捕縛すると、エレノアが俺を労う。


「お見事でした、御主人様。

 それではこの連中を魔法協会に突き出しましょう」

「うん、ちょうど帰る途中でよかったね」

「あら、盗賊が襲ってくるのは迷宮などの帰りが基本ですよ」

「え?そうなの?何で?」

「迷宮の帰りなら何らかの収穫もあるでしょうし、何よりも疲れきっている可能性があります。

 高レベルのパーティが迷宮の主などと戦って、疲れきった帰りに、このような雑魚盗賊にやられる事はままある事です。

 ですから迷宮などにいった場合も、帰りの事を考えて全力を使い切ってはいけません」

「なるほど、また勉強になったよ」


俺たちはそのまま繋がれた盗賊たちを小突きながら街に帰った。

魔法協会の犯罪窓口に行くと、担当の人が盗賊たちを連れて行って、案内をしてくれる。


「犯罪課は三階になります。

 そちらで書類を作成しますので、私について来てください」

「はい」


 言われた通りに着いて行くと、案内の人が階段の横に案内する。

そこで昇降機で三階に上がる。

さすがに魔法協会には昇降機があるんだな。

そこで俺たちは犯罪課に行くと書類を作り、しばらく待った。

問い合わせが終わると、盗賊の頭と副頭は指名手配だったらしく、両方で金貨7枚ほどの報奨金も出た。

思わぬ収穫だ。

俺たちはもらった報奨金を懐に入れて、宿へと帰った。


「へえ、盗賊を捕まえると、賞金なんて出るんだね」

「その方が捕まえる方も、当然やる気が出ますからね」

「そうだね、あの連中はこの後どうなるの?」

「そうですね、指名手配の2人は十中八・九死刑で、残りの二人は重犯罪奴隷か、通常の犯罪奴隷でしょうね」

「重犯罪奴隷?」

「ええ、殺人などの重い罪を犯した場合の奴隷で、通常の奴隷と違って、あまり一般には流通せず、死ぬまで鉱山掘りや船漕ぎなどに使役される場合が多いですね」

「女性の場合でも?」

「女性の重犯罪奴隷はおりません」

「え?なんで?」

「重犯罪奴隷の労役に耐え切れないからです。

 女性の場合は死刑か、若ければ奴隷対象の性奴隷が一般的ですね。

 後は先ほどのゴーレム使いのように特殊技能を持っていれば、男女問わず、その技能を利用した犯罪奴隷となって使役されます。

 重犯罪奴隷は死ぬまで決して開放されませんし、通常の犯罪奴隷でも一般奴隷にされるには、まじめに仕事をした上で、相当な年月がかかります」

「ふうん、刑務所とかには行かないんだ?」


俺の質問にエレノアがキョトンとして質問する。


「ケイムショとは何でございましょう?」

「え?刑務所って犯罪者が罪を償う間、過ごす場所だよ。

 この国にはないの?」

「ええ、拘置所というのがあって、それは罪が確定するまでの間入っている牢屋ですが、罪が確定した場合、そこにそのまま入っている事はないですね」

「ええ?そもそもこの国では、罪を犯した場合の刑罰って何があるの?」

「基本的には大きく分けると、死刑、奴隷、罰金、叩きのどれかですね」

「え?禁固刑とかないの?」

「キンコケイ?それはどういった懲罰ですか?」

「簡単に言えば、どこかに閉じ込めて外に出さない事だよ」


その俺の答えにエレノアは相当驚いた様子だ。


「え?そんな事をして、何の意味があるのですか?

 確かに貴族などの場合は、幽閉でそのような処置をする場合もありますが・・・」

「いや、だって外に自由に出れないのはいやでしょう?」

「それはそうかも知れませんが、その間の食事などはどうするのですか?」

「それはもちろんあるよ」

「その食事の財源はどこから?」

「それは・・・税金だと思う・・・」

「え?では、犯罪者をただ閉じ込めただけで、何も労働はさせずに食事はちゃんと与えるのですか?」

「うん、まあ、そうかな?」


うろ覚えだけど、確か禁固刑って、そういう罰だよな?

でも確かに貴族を幽閉するなら財源はあるけど、一般人の場合は、食事代も馬鹿にならないよな?

案の定、エレノアもその部分が気になったようだ。


「それではむしろ食事を狙って、そのキンコケイになる者もいるのではないでしょうか?

 御主人様の国はそれで大丈夫なのですか?」

「う、それは・・・あるかも・・・」


それは俺も聞いたことがある。

実際に度重ねて罪を犯して人生の半分以上を刑務所で過ごした人は、世間とのずれで、出所しても働く事も出来なくなる。

そういった連中の中には、食事をするために、わざと軽い罪を犯して刑務所に舞い戻る人もいるという話だ。

確かにエレノアが言う通り、俺がかつて生活をしていた21世紀の日本という国は、この世界から考えれば、驚くほど犯罪者に甘い国なのかもしれない。


「それにしても犯罪者に労働もさせずにいて、ただ自由を奪うだけで、食事を与える刑があるとは驚きです。

 御主人様のいらした国は、よほど裕福な国なのでしょうか?」

「うん、そうかも知れない・・・」


今までそんな風に日本を考えた事はなかったが、確かに日本は裕福な国だ。

この世界と違って、死がすぐ隣り合わせにある訳でもない。

自分はそんな平和な国にいたんだなと改めて思った。

この世界で初めて盗賊に出会ったが、そのおかげで俺は改めてこの世界と、自分の知っていた文化の差に考えさせられた。



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アースフィア 60日目前後


名 前 : シノブ・ホウジョウ

レベル : 93

年 齢 : 15


名 前 : エレノア

レベル : 681

年 齢 : 560


状 況 : 古都ロナバールの森で初めて盗賊と出会う。



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