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旧・オネショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!   作者: 井伊 澄州
第1章 オネショタな俺が転生したらエロフに騙された!
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011 エレノアとの生活 1

 奴隷商館を出た俺はエレノアと共に宿屋に向かった。

エレノアは先ほどの深いフード付きのボロ服を羽織っているので、顔や耳は見えない。

俺は一応聞いてみた。


「え~と・・・その格好のままでいいのかな?」

「はい、先ほどもご説明した通り、あの姿では目立ちます。

私はまだ、御主人様には正式に御購入を決めていただいた訳ではないので、私の姿を世間にさらすと、後々御主人様に御迷惑がかかると思いますので、しばらくはこの格好の方がよろしいかと」


なるほど、そういう事ね。

確かにこの凄い美女エルフが町を歩いたら目立つわ。


こんな超絶美形エルフを奴隷にして歩いていたら、それこそ町の男供のやっかみや嫉妬で、逆恨みを受けかねない。

そして3ヵ月後に彼女を返したら、そいつらの逆恨みだけを俺が買う事になるだろう。それは確かにごめんこうむりたい。

しかし、そこまですでに考えてフードをはずさないでいるとは、恐ろしいほどの読みだし、こちらの事も考えてくれているんだと思うと、改めて感心する。


「では、ともかく宿屋へ向かいましょう」

「はい」


そういって俺たちは宿屋へと向かった。



オルフォン亭へ着くと、宿の主人に話す。


「あ~人数が増えたので、部屋をもう少し大きな部屋に変えたいのですが?」

「何人ですか?」

「二人部屋です」


俺の後ろにいたエレノアを見ると、納得して答える。


「食事はどうしますか?」

「それは2人分用意してください」


俺の言葉に主人が申し訳無さそうに答える。


「あいにく、うちでは奴隷用の食事が用意できないのですが・・・」

「それは構いません。

私と同じ物を用意してください。

料金はちゃんと支払いますから」


その俺の言葉に主人が驚いて問い返す。


「よろしいのですか?」


そんなに奴隷に普通の食事をさせるのって珍しいのだろうか?

まあ、とりあえず俺はそれで構わないからいいや。


「はい」

「では料金は一泊で銀貨8枚になります。よろしいですか?」

「それで構いません」

「何泊にしますか?」


そうか・・・一応3ヶ月借りてきたけど、そこまで実際に借りるかどうかはわからないし・・・とりあえず十日分くらい払っておけばいいか?


「では、さし当たって、10日分を前払いしておきます」

「はい、それでは大銀貨8枚、8000ザイになります」

「では、これで・・・」


俺は銀貨袋から大銀貨を8枚出すと、それを払った。


「確かに、それでは、部屋を用意しますので、少々お待ちください」

「はい」


俺たちが待っていると、ほどなく主人が新しい部屋を用意して案内してくれた。



新しい部屋は前の部屋よりも確かに広かったが、それほど広いというほどではなかった。

変わっているのは、部屋の奥の方に扉があった。

俺は部屋にトイレがついているのかな?と思った。

しかしそれよりも先に、すぐに別の事に気がついた。

(ありゃ?ベッドが1つしかないぞ?一番肝心な物がないのは困るなあ)

そのベッドは、前の部屋のベッドよりは大きいが、部屋中を見回してもベッドはその一つしかない。

他の事は共用で使えるが、いくらなんでもベッドは一人一つは必要だろう。

そう考えた俺はエレノアに話す。


「二人用の部屋と言ったのに、どうもこの部屋は一人用みたいだね。

何か勘違いしたのかな?

もう一度主人に二人用の部屋に移してもらえるように行って来る」


その俺の言葉にエレノアがフードをはずすと、クスリと笑って答える。


「いいえ、この部屋は二人用で間違いないですよ」

「しかし、ベッドが一つしかないじゃないか?

他の物はともかく、二人なんだからベッドは二つないと困るだろう?」

「いいえ、二人と言っても、私は奴隷ですから。

正確にはお客一人とその奴隷一人です。

自宅ならともかく、宿屋で奴隷にわざわざベッドを用意する主人はおりません」

「え?そういう物なの?」


もちろん、俺にこの世界の奴隷知識など皆無に近い。

エレノアの言う事をそのまま受け入れるしかないのだ。


「はい」

「だって寝る時はどうするの?」

「もちろん、そちらの奴隷部屋か、ここの床で寝ます」

「え?床で?」


床はもちろん板張りで固い。

古い木材なので、棘だって出ている場所もあるかもしれない。

そんな所に奴隷たちは寝ているのか?


「はい、そちらの部屋に毛布があるでしょう?

それをかけて床で寝れば、奴隷には十分です」

「どれ・・・」


なるほど、言われてみれば、その方向には先ほど気になった扉がある。

中を開けると、人が一人か、二人ほどは座って寝れる小さな部屋があって、そこにはボロい毛布のような物が2枚置いてある。

どうやらこの小部屋が奴隷の部屋のようだ。


「基本的に奴隷は奴隷部屋にいて、御主人様の命令があればその仕事をします。

それは宿でも家でも同じです」


エレノアの説明に俺はなるほどと思った。

これが奴隷文化の一端という物か。

しかし、自分としては奴隷を買っても、そのように扱うつもりはなかった。

例え、名目が奴隷だったとしても、自分としては友人とまでは言わないでも、召使程度の扱いにするつもりだったので、床で寝せるなど論外だった。

偽善かも知れないが、俺の心の平穏のためにもそうしてもらいたい。

せめて寝る時位はベッドで寝て欲しいと思った。

やはり部屋を普通の2人部屋に変えてもらった方が良いだろうか?


「それよりも御主人様に先に伺っておきたい事がございますが・・・」

「何?」

「御主人様のこの町の滞在理由と、今後の目的です」


また、それか?

困ったなあ。

まあ、いつもの通り説明するしかないか。


「実は、僕はここからかなり遠い場所からやってきたので、この町には見聞を広めるためにきたんだ。

先の目的は決まってないけど、とりあえずはレベルを上げる事と、できれば魔法を覚えたいんだ」

「魔法を・・・御主人様は魔法をどの程度覚えたいのですか?」

「できればこの世界にある魔法全部覚えたいけど・・・無理かな?」


せっかく魔法が使える世界にきた上に、神様から魔法の才能をもらっているのだ。

可能な限り、色々な魔法を覚えてみたい。

そう思って言ってみたが、エレノアは驚きもせず、やさしく微笑んで答えた。


「ええ、御主人様ならば、それも叶いましょう」

「うん、そうなるといいんだけどね」

「私もできる限りの協力をさせていただきます」

「うん、よろしくね・・・さて、ところで今日はこれからどうしよう?」

「そうですね、お聞きしたいのですが、御主人様はこの町にいらしたばかりなのですか?」

「うん、そうだよ。

まだこの町に来て、二日しか経ってない」


そもそもこの世界に来てからまだ1週間しか経っていない。


「では、しばらくはこの町に滞在するおつもりなのでしょうか?」

「うん・・・まあ、当分はそうなるかな?」

「この御宿で?」

「他に良い場所があれば移るかもしれないけど、当分はここかな?」


サーマル村長に紹介してもらったこのオルフォン亭は中々居心地が良い。

よほどここより安くて良い宿でも見つからない限りは、ここに泊まる事になるだろう。


「当分というのはどれ位でしょうか?」

「うん・・・正直どれ位か、自分にもわからないなあ・・・」

「3ヶ月は滞在されるのでしょうか?」


つまり自分を借りている間はここにいるかと聞きたいわけか?

まあ、行く当てがある訳でもなし、そもそも今の所、ここ以外はサーマルの村しか知らないしね。

それぐらいはここにいるだろうな。


「うん、それ位はいるつもりだよ」

「ではさしあたって、町の見物がてら、町で3ヶ月程度の日用品を買い物に行くのはいかがでしょうか?」

「そうだね・・・うん、そうしよう」


考えてみれば、この部屋にはまだ何もない。

そもそもこの宿自体にだって、まだ2泊しかしていない。


「でも、僕は全然そういった事がわからなくて、何を買えば良いかもわからないんだ。

エレノアは何が必要か、わかるかな?」

「日常に必要な物と、レベル上げのための迷宮で訓練をするために必要な物でよろしいのでしょうか?」

「うん、それで良いよ。

あ、あのね、僕が本当に何も持っていないという前提で買い物をしてもらえるかな?」


おそらく何も買わなくとも大丈夫だろうが、この世界での標準的な装備や生活道具も知りたかったので、良い機会だと思って、エレノアに全てを任せる。


「何も持っていない?それでよろしいのですか?」

「うん、そういう前提で考えて買い物をして欲しい」

「承知いたしました。それでしたら、大丈夫です」

「じゃあ、買い物に行こうか」

「はい、それで、どのように買いましょうか?

一つ一つ説明しながら買った方が宜しいですか?」

「いや、それじゃエレノアも面倒だろうから、説明は宿に帰ってからまとめてでいいよ。

エレノアが必要と思ったら全部買って良いよ」

「それで宜しいのですか?

それでは場合によっては、御主人様の持ち物と重なってしまう可能性もございますが?」

「別に重なったって構わないよ。

その辺は気にしないで。

あ、もちろん、支払いは全部僕がするけど、遠慮はしないでいいから、

生活に必要な物は本当に全部買ってね?」

「承知しました」


こうして俺はエレノアと町へ買い物に出たのだった。



宿を出て、まずは近くの雑貨屋に行くと、エレノアは最初に買い物籠を買う。

なるほど、そりゃそうだな、レジ袋やポリ袋がないんだから、当然入れ物は必要だな。その後で、木製のコップ、歯ブラシ、歯磨き粉っぽい物、タオルを買う。


「へえ、歯ブラシなんてあったんだ・・・」

「ハブラシ?歯刷子はさっしの事ですか?」

「ああ、「はさっし」って言うんだ?

うん、僕の故郷では歯ブラシと言う名前だったから、それ歯を掃除する道具だよね?」

「ええ、この歯刷子に、こちらの歯薬をつけて歯を掃除するのです」


そう言いながらエレノアは先ほどの歯磨き粉っぽい物を見せる。

やはり、あれは歯磨き粉の一種だったのか。


「その入れ物は歯を磨く薬なんだ?」

「そうですね、塩と乾燥した薄荷の粉と、少量の炭を混ぜてあります」

「へえ~?」


この世界の歯磨き粉って、そんな材料なんだ?

また別の店に入ると、今度は巾着のような物をいくつか、紐を買い、また別の店に入ると、大き目のたらいと洗濯板を買った。

う、そうか、そういえば、この町に来て、まだ洗濯をしてなかったな。

というか、この世界に来てから俺は一回も洗濯などしていない。

サーマルさんの村ではメリンダさんがやってくれていたし、この町に来てからまだ2日しか経ってないから洗濯なんかしてなかった。

確かにそれはこれから必要だな。


「ああ、たらいと洗濯板は僕が持つよ」

「とんでもありません!御主人様に物を持たせるなんて!」

「いや、だって買い物籠を持っている上に、その二つはかなり無理でしょ?」

「大丈夫です。お気になさらないでください」


いや、気になります。

奴隷というのはわかっているが、どうも女性一人にいくつも荷物を持たせて、男が手ぶらというのは俺の精神上よろしくない。


「いや、こっちの気分の問題もあるので、頼むからたらいだけでも持たせてくれない?」

「そうですか・・・?」


そう言うと、エレノアはようやく、渋々と俺にたらいを渡す。


「とりあえず、こんな所でしょうか?」

「うん、じゃあ帰ろうか」

「はい」


そうして俺とエレノアは宿へと歩き始める。

あれ?何かこれ気分いいぞ?何でだろう?・・・そう・・・何か新婚家庭の夫婦が新居に初めての買い物をして持って帰るみたいな感じだ、多分・・・

俺は結局前世で嫁さんはおろか、彼女もできなかったが、何かこういう気分を味わえただけでも幸せな気分だ。

でも、逆にこの程度でうれしくなる男って、我ながら不憫だな。

うん、そう思うと、今度は何か泣けてきた。

そんな事を考えながら歩いているうちに宿へついた。



 部屋へ戻ると、エレノアが荷物を置いて話し始める。


「買った物の説明をした方が宜しいでしょうか?」

「うん、よろしく」

「まずはコップ、歯刷子、歯磨き粉ですが、先ほども説明しましたが、これは歯を掃除するための物ですね。

巾着は貨幣を入れたり、小物を持って歩く時必要なので買いました。

浴布、たらいは御主人様の体を拭く物、紐と洗濯板は洗濯と、その後で干すための物ですね」

「なるほど」

「では、もう一度出かけましょうか?」

「え?もう一度?」

「はい、今度は御主人様の武器や防具を揃えませんと」

「ああ、いや・・・それは良いかな?」


武器防具なら一通り持っている、それは今更買う必要があるとは思えない。


「え?よろしいのですか?」

「うん、武器と防具は一応持っているから」

「どういった物ですか?出来れば一応拝見させていただきたいのですが?」

「うん、防具はこの服と、指輪で・・・」


そう言って、俺が自分の着ている服と指輪を見せる。


「え?防具が、その服と指輪だけなのですか?」


うん、やっぱり驚くか・・・

そりゃ、普通はもう少し鎧っぽい物か、盾とか持っているもんなあ・・・


「うん、実は鎧とかあまり好きではないので・・・」


そう、俺は鎧の動きにくい感じやガチャガチャとした感じがあまり好きではなかったので、こうして動きやすい普通の服を着ていたのだった。

申し訳なさそうに答える俺にエレノアが尋ねる。


「鑑定させていただいてよろしいでしょうか?」

「うん、別に構わないけど」


鑑定した瞬間にエレノアが驚いて声を上げる。


「えっ!?」


あ、やっぱ、驚いた?


「こ、これは一体・・・」

「これって、やっぱり凄い物なの?」

「凄いどころか・・・私も長年生きていますが、このような防具は見た事がありません。

初めてです」

「そうなんだ・・・」


500年以上生きていて、レベルが681のエルフが始めてみる道具って・・・


「当然です。

一つの指輪に異常状態回復、耐電、魔法力九割削減の機能がついている指輪など見た事がありません。

服の方も魔法の鎧並みに防御力が高いうえに、冷熱遮断、耐電、体力回復、魔力回復、魔法反射がついているなど、聞いた事もございません。

御主人様はこれを一体どこで手に入れられたのですか?」

「いや、まあ、ある人にもらったんだけど」


神様にもらった道具の数々は、どうやら相当貴重品のようだ。

うん、まだ他にも色々ある事は黙っていた方が良さそうだな。


「・・・武器の方は、どんな物をお持ちですか?」

「それもいくつか持っているんだけど、どれを見る?」

「どれ位お持ちなのですか?」

「え~と、20種類くらいの武器を全部で百個以上持っているかな?」

「百個以上?

それはちょっと今すぐに全部は見切れないですね。

では、普段使っている物を何本か、拝見させてください」

「わかった」


俺はそう言うと、銅の2倍剣、鋼の3倍剣、ミスリルソード3倍剣、アレナック5倍刀を見せた。


「まあ、普段使っているのはこの4本かな?」


その剣を鑑定したエレノアが再びあきれたような声で答える。


「・・・これは・・・銅の剣に2倍攻撃効果がついている上に、それ以外の剣には、全て3倍や5倍攻撃効果がついていて、さらに体力・魔力吸収まで付いているではありませんか?」

「う・うん、そうだね」

「御主人様はお年も若いというのに、防具といい、武器といい、これほどの品をこんなにお持ちとは・・・御主人様・・・あなたは一体・・・?」


うわあ・・・これって、そんなに貴重な物だったんだ・・・

俺はいたずらが見つかった子供のようにかしこまってしまった。

「・・・」

どう返事して良いか、わからない俺にエレノアが再び話し始める。


「御主人様」

「はい?」

「御主人様は今私に見せていただいた物以外にも、色々と驚く物を持っていらっしゃるのではないですか?」

「うん・・・多分そうだと思う」


多分どころか、俺の持ち物を全部見せたらエレノアは気絶するかも知れない。

それほど俺は貴重な品物を数多く持っている。

それは間違いない。


「しかも御主人様の御様子から察するに、その武器防具の能力は把握していても、その価値は御存知ない?

そうではありませんか?」

「う、それも多分、そうだと思う」


そういう観点は確かに今の俺に抜けている気がする。

もちろんそれぞれの能力は、自分で希望したのだから詳しく知っているが、この世界での価値はよくわからない。

おそらく希少なのはわかるが、それがどれほどなのかは全くわからない。

しかしこのエルフ、いちいち鋭いなあ・・・さすがはレベル681だ。


「この事を知っている方は、エレノア以外に誰がいますか?」


そう言われて俺は考えた。

今まで会った人はサーマル村の人たち何人かと、ここの宿屋の主人、奴隷商人、魔道士のお姉さんたち、それに屋台のおっさん位だ。

誰にもこの装備を見せた記憶はない。

いや、クラウスには見せたか?

メリンダさんには特殊な武器を持っているような事はほのめかしたが、実際には見せていない。

サーマル村長たちには魔法を使った所は見せたが、武器はずっとしまったままだった。

いや、ルーポの群れをを倒す時に、ちょっと見せたか?

でも多分あの時はそれどころじゃなかったからロクに見てないよな?

・・・うん、クラウス以外には誰にも見せてないし、クラウスに見せたのは鋼の剣だけだな。


「子供に鋼の3倍剣は見せたけど、多分わかってないと思う。

後の人たちは服と指輪は見ているだろうけど、特に何も気づいてないと思うな」


俺がそう言うと、エレノアがため息をついた。


「まだエレノア以外にこれに気づいている人がいないのはようございました。

御主人様、もちろん、エレノアもこの事を誰にも話しませんが、御主人様も決して御主人様の持っていらっしゃる特殊装備の事を話してはいけません」

「そ、そうなの?」


エレノアの真剣な眼差しに俺もタジタジだ。


「はい、いざという時以外は、その装備はマギアサッコにしまっておいてください。

今すぐはずした方がよろしいです。

服の着替えはございますか?」

「うん、この町に来た時に、一応少し買った」

「では、それに着替えて、指輪も取って、マギアサッコにしまってください」

「うん」


俺はエレノアの言うとおりに、その場で着替えて指輪をしまった。

それを確認すると、エレノアはホッとして言った。


「はい、それでようございます、まったく驚きました」

「そんなに、あの二つは凄い物なの?」

「凄いも何も・・・あの服と指輪、どちらか片方だけでも、いえ、その鋼の剣一本でも、町の盗賊や、やくざ者に知られれば、この宿を夜中に襲撃してでも奪いにやってくるでしょうし、王侯貴族や高位魔道士に見せれば、買うために金貨をどれほど積むかわからないほどです」

「そ、そんなに?」

「ええ、ですから余程の事がない限り、使ってはいけませんし、人に見せてはいけません」

「そこまで?」

「もう少しわかりやすく、俗的に表現すれば、たとえば先ほどの服ですが、すべてを金塊で作って、表面全部を宝石で飾られた鎧よりも価値があります。

それも比較にならないほど高い価値です。

指輪もそうです。

その指輪一つで、かなり良い家が土地つきで買えましょう」

「そんなに?」


希少価値なのはわかっていたが、それほどとは思わなかった。


「はい、ですから決して誰にも見られてはいけませんし、持っている事も話してはいけません。

御主人様の命にかかわります」


え?命にかかわるって・・・こ・こわ・・・俺って、そんな物を着て、今まであちこちをフラフラ歩いていたのか?

無知って恐ろしい・・・


「え?ちょっと待って、それじゃこれだと、どれ位の価値になるの?」


俺は持ち物の中からゴルドハルコンの指輪を取り出した。

俺の持ち物の中でも、おそらく相当な価値になるはずの物だ。

それは黄色く光り、異常状態回復、耐電、魔法力九割削減、体力回復、魔力回復までもが特殊効果でついている。

それを鑑定したエレノアはまさに絶句した。


「こっ・・・!」


エレノアは指輪と俺を交互に見比べてからようやく言葉を話し始めた。


「正直、このような物が存在するとは思いもよりませんでした。

もし、これを売りに出せば、国によっては、爵位が城と土地付で買えるでしょうね。

いえ、それ以上です。

もっともこれを買える様な人物が、そもそもこの世界に何人いるか・・・」

「そうなんだ・・・」

「それどころか、その指輪の奪い合いで、戦争が起こる可能性もございます」

「そこまで?」

「はい、今まで誰もそれを鑑定しなかったのは本当に幸いでした。

もし誰かが気づいていたら大騒ぎになっていた事でしょう。

いえ、エレノアにも見せない方が良かったかも知れません。

どうか今後は御自重ください」

「はい・・・」


この分では、どうやら俺の持ち物の中には、簡単に人に見せてはいけない物がゴロゴロとありそうだ。

持ち物を装備したり、人に見せたりする場合はよくよく注意するか、場合によってはエレノアに聞いてみよう。


「では町に出て、御主人様の装備を買いましょう」

「うん、そうするよ」


今度は俺も素直に同意した。



町に行って武器屋と防具屋で装備をそろえる。

俺は鎧はどうも苦手なので、魔道士のローブとやらにした。

おかげで鉄の鎧と同程度の防御力で20倍近い値段になってしまった。

盾も同じような理由で俺が嫌がったので、軽量のいわゆるバックラーのような物となった。

かくして鋼の剣にバックラーを装備した魔法使いが誕生したが、俺は別にそれで満足だった。


「では装備も整えた事ですし、宿に帰りましょうか?」

「ああ、そうだね。あれ?でもエレノアの分の装備は?」

「私の分は持っておりますので大丈夫です」

「そうなんだ?」

「はい、ご安心ください」



宿に帰ると、そろそろ夕食の時間だったので、二人で食堂で食事をする事にした。


「じゃあ、食事をしに行こうか?」

「いえ、私は御主人様が終わるのを部屋でお待ちしております」

「え?なんで?一緒にしようよ?」

「奴隷が御主人様と一緒に食事をするなど、恐れ多い事でございます」

「いや、別に僕の場合は一緒で構わないから」

「そんな恐れ多いことを・・・」

「だって、一人で食事するのは寂しいじゃない?」

「そうは申されましても・・・」


なかなかエレノアは遠慮して折れない。

ついに俺は初めてエレノアに対して、御主人様としての権限を発動した。


「わかった!じゃあこれは命令!

僕の奴隷でいる間は一緒に食事をすること!いいね?」

「承知いたしました」


命令という形で、ようやくの事でエレノアを説き伏せて食堂に行く。


「あの・・・出来れば隅の方の席にしていただけますでしょうか?」

「隅?別にいいけど?」


俺が隅に空いていた席に座ると、エレノアはそこの床に正座をして座る。

俺がエレノアに尋ねる。


「何してんの?」

「いえ、御一緒に御食事をという事でしたので、ここで一緒に食事をいただこうかと」

「いやいや、そこじゃ一緒に食事をした事にならないでしょ?ちゃんと椅子に座ってよ」

「よろしいのですか?」

「よろしいも何も、一緒に食事をするって言うのはそういう事じゃないの?」

「いえ、奴隷が御主人様と一緒に食事をする場合は、このように床でするのが一般的ですが?」

「・・・一般的って・・・それじゃ一般的でなくていいから、僕と一緒の時は同じテーブルで椅子に座って食事をして、これも命令、いいね?」

「はい、承知しました」


またもや、ようやくの事でエレノアは椅子に座る。

食事が持ってこられて、一緒にエレノアと食べる。

自分の料理と俺の料理を見比べたエレノアがおずおずと話す。


「あの・・・これは、御主人様と同じ料理に見えますが?」

「そうだよ、僕がそう頼んでおいたから」

「御主人様と奴隷が同じ料理を?」

「別に構わないさ」

「はい、ありがとうございます」


こうして食事も何とか無事に終わった。

ふう~・・・

何か奴隷の扱いに慣れるまでは逆に気疲れしそうだ。


さて、食事も終わったし、後は寝るだけか?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


アースフィア 9日目


名 前 : シノブ・ホウジョウ


レベル : 41


年 齢 : 15


状 況 : 古都ロナバールで、女奴隷エレノアをオルフォン亭に連れて帰り、買い物に行く。

      持ち物に驚かれる。



<作者からのお知らせ>

申し訳ございませんが、諸般の都合により、これより先の話は一部削除、及び改訂がなされています。

現在、修正もしくは何らかの形での再掲載を検討しておりますが、全文が削除されている場合は、その回の状況のみを掲載しておきますので、御了承ください。

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