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旧・オネショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!   作者: 井伊 澄州
第1章 オネショタな俺が転生したらエロフに騙された!
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204 友人として

 俺たちがシルビアと一緒に外に出ると、驚いた事に会場の外ではリュドミラが俺たちを待っていた。

何だ?こいつ?

競り負けて泣いて帰ったと思ったら、意外にもまだこんな場所にいたのか?

全くしつこい奴だ!

俺はそれを無視して、シルビアを連れて家に帰ろうとすると、リュドミラがその前に立ちはだかり、威勢よく声をかけてくる。


「あんた、貧乏人のくせに、中々やるじゃない?」

「そうかい?」


俺はそっけなく返事をする。


「まさかそんな女の競りで金貨を千枚以上持ってくる人間がいたなんて思わなかったわ。

おかげでこっちはいい恥かきよ」

「そりゃ残念だったな?

世間知らずの御嬢様には良い勉強になっただろう?

教授料ならいらないよ」


俺の言葉にエトワールさんがクスッと笑い、リュドミラがギリギリと歯軋りをするが、気を取り直し、改めて猫なで声で俺に話しかけてくる。


「くっ・・・ねえ、どう?

あんたの買った値段の倍出すわ?

金貨二千枚でシルビアを売らない?」


その言葉に一瞬シルビアがビクッ!となって、俺にしがみついて来て、そのまま不安そうに俺を見る。

俺はシルビアに小さな声で「安心して、絶対にあんな奴にシルビアさんを渡したりしないから」とささやくと、リュドミラに返事をする。


「そんな気にはならないね」


キッパリと断る俺に、リュドミラは笑いながら話を続ける。


「なら金貨二千枚にこの指輪をつけてあげるわ!

こんな値段、たかだか女奴隷でありえないわよ?

今からこの町にある私の屋敷に来れば即金で払うわよ?どう?」


リュドミラは自分の指にはめている、贔屓の宝石店で高かったと言っていた自慢の指輪を見せびらかせながら、しつこく値を上げてくる。

そのリュドミラに俺が言葉を返す。


「残念だったな、俺は友人を金で売ったりする人間じゃないんでね」


俺のその言葉にリュドミラがあざ笑って答える。


「はあっ?何言っているの?

あんただって、たった今その女を金で買ってきたんでしょ?

何を今更善人ぶっているのよ?」

「これはお前みたいな馬鹿から大切な友人を救うためだ。

まともな友人もいない馬鹿にはそんな事もわからないんだな?」

「なんですって!」


猛り狂うリュドミラを俺は冷たく突き放す。


「とにかくあきらめろ!

俺はお前なんぞにシルビアさんを売る気は毛ほどもない!

確かに今の彼女は奴隷かもしれないが、同時に俺の大切な友人でもあるんだ!

その大切な友人をお前なんぞに天地がひっくり返っても売りはしない!

それをよく覚えておけ!

それがわかったら、とっとと家に帰って、貧乏人に負けたと枕を涙で濡らして寝るんだな!」

「くっ!覚えてらっしゃい!

ゴーリキー!帰るわよ!」


そう捨て台詞を残してリュドミラは帰っていった。

ついに諦めたようだ。

去っていくリュドミラの姿を見て俺は呟いた。


「ふう~やれやれ、本当にしぶとい奴だったな」


しかし確かにあんな奴がいるのでは、おちおちとシルビアを一人にする訳にもいかないようだ。

やはりしばらくの間はうちで庇護するためにも奴隷状態でいた方が良いのかも知れない。

少なくとも仮に奴隷解放するとしても、当分はうちにいた方が良いだろう。

俺がそんな事を考えて、ふと周囲を見ると、今まで気がつかなかったが、いつの間にか俺たちの周りには遠巻きに人垣ができていて、リュドミラが帰ると、周囲からドッと拍手が湧いた。


「よっ!兄さん、男だね!」

「よくぞ、あの馬鹿娘に言ってくれた!」

「ああ、馬鹿娘にはいい薬だ」

「スカッとしたぜ!」

「いよっ!色男!」

「良いもの見せてもらったぜ!」

「憎いね!」


俺は思わず周囲の人たちにペコペコと挨拶をした。


「あっ、どうも、どうも・・・」


どうやらリュドミラは相当この町の人たちにも嫌われていたらしい。

まあ、あの性格では無理もないか?

それでさっきも誰も金を貸さなかったのか?

街の人たちは俺がリュドミラをボコボコにしたので、今までの溜飲が下がったようだ。


「さあ、とりあえず僕の家に行きましょう、シルビアさん」

「ええ」

「あれ?大丈夫ですか?何か震えてるみたいですけど?」

「ええ、私・・・今あなたが、あの人に私を売っていたらと思うと恐ろしくなって・・」

「ああ、なんだ、そんな事ですか?安心してください。

あんな奴が金貨を1万枚だろうが、2万枚だろうが持って来たって、いえ、お金なんかで大切なシルビアさんを売るわけないでしょう?」

「ええ、その・・・ありがとうございます」


俺の言葉にシルビアさんは顔を赤くして答えた。


「良かったじゃないの?シルビア?

本当に素敵な王子様よね?」


エトワールさんがニヤニヤと笑って言うと、シルビアさんも笑顔で答える。


「ええ、そうね」

「はい!じゃあこれで見世物は終わり!

みんな散った!散った!」


エトワールさんがパン!パン!と手を叩いて周囲を促すと、周囲の人々も満足したのか、ゾロゾロと引き上げていく。

こうして俺たちはシルビアさんを連れて家へと向かった。



途中で町の人たちに賞賛や、やっかみを言われながら、無事に家に到着すると、家の者たちが俺たちを迎える。


「ただいま~」

「お帰りなさいませ。首尾はいかがでございまいしたか?」


キンバリーの質問に俺がシルビアさんを見せて答える。


「大丈夫この通り、無事にシルビアさんを連れて帰れたよ」

「それはようございました」

「ええ、本当です」

「無事に終わって良かったニャ!」


ミルキィとペロンも喜ぶ。


「それでシルビアの扱いなんだけど、ちょっと彼女と二人で話したいんだ」

「承知いたしました」

「エトワールさんもちょっと待っていてください」

「わかったわ」


とりあえず俺はシルビアさんをあらかじめ用意していた彼女の部屋に連れて行くと、そこで話し始める。


「え~と、ここがシルビアさんの部屋だから」

「ここが?」

「うん、そう」

「エレノアさんやミルキィさんと一緒の部屋ですか?」

「ううん、違うよ、ここはシルビアさんの個室だよ」

「個室?奴隷に個室なんて聞いた事もありませんわ。

それにこの広さ、私が住んでいた寮の部屋よりも広いくらいですわ」

「え?そうなの?」

「ええ、私だけ特別扱いはやめてください」

「いや、エレノアやミルキィもちゃんと自分の個室を持っているから。

エレノアなんか秘書監だから、この部屋より広いよ?

寝室なんかは別にあるくらいだし」

「え?そうなのですか?」

「うん、それと、その件の事なんだけど・・・

あ~、その、成り行きで奴隷として買った事にはなったけど、シルビア、いや、シルビアさんを奴隷として扱うつもりはないから」


その俺の言葉にシルビアさんがキッパリと答える。


「いえ、奴隷として扱っていただきます」

「でもねぇ・・」


どうも俺としては今まで対等の友人として、いや、むしろ色々と教師のように教えてくれた目上の人を奴隷として扱うのは心苦しい・・・と言うか、辛い。


「ほとぼりが冷めたら開放するつもりだし・・・」

「いいえ、そのような事はなさらないでください」

「でも友人を奴隷扱いというのはどうもねぇ・・・

ましてやシルビアさんは僕の先生って感じだし・・・」

「御気持ちはありがたいですが、それでは示しがつきません」

「そうかなあ?」

「それにそれではエレノアさんやミルキィさんはどうなのですか?

あなたにとって、あの人たちは友人ではないのですか?」

「あ・・・!」


シルビアさんに言われて俺は愕然とした。

それは考えてなかった。

いや、正確に言えば、わかっていたけど、考えないようにしていたのだ。

確かに言われてみれば、エレノアやミルキィは奴隷として買ったが、今や友人と言ってもいい。

いや、それ以上だろう。

友人になるのが先か、奴隷になるのが先か、順番が違っただけなのだ。

それが友人だったという理由だけで、シルビアさんを解放するのでは、確かに二人に言い訳が立たない。


「すでに奴隷となった身分で差し出がましいようですが、あの御二人はあなたにとって、友人ではないのですか?

特にエレノアさんとあなたの関係はそれ以上に私には見えます」


確かにそうだ。

俺にとってエレノアは全てと言っても良い存在だ。

ミルキィだって、今や嫁か恋人のように愛おしい。


「そうだ・・・ね」


俺はその言葉に賛同せざるを得ない。


「それが私だけを特別扱いしても良いものでしょうか?」


シルビアさんの言う事は確かに正しい。

その言葉は俺に深く突き刺さる。

しかし、彼女の言葉を受け入れるならば、俺のするべき事は・・・


「う・・・その・・・少し・・・一晩一人で考えさせてほしい・・・」


俺はそう言ってシルビアさんの部屋を出た。



俺は屋敷の人たちを集めると、話し始める。


「みんなシルビアさんの扱いについてなんだけど、今夜一晩、僕一人で考えさせて欲しい」


俺の言葉にアルフレッドが尋ねる。


「何か御不満な点でも?」

「いや、不満とかじゃなくて、どうしても考えたいことがあるんだ。

彼女の扱いに関してはどうするか、一晩保留にして欲しい」

「承知いたしました」

「エトワールさんも今日はありがとうございました。

色々と助かりました」

「何の何の、友人のためだもの!」

「友人・・・」


今の俺にはその言葉が深く突き刺さる。


「どうしたの?シノブさん」

「あ、いえ、何でもありません」

「そう、じゃあ、またね?

シルビアを大切にしてあげてね?」

「はい、それは当然です」


こうしてエトワールさんも帰って、俺は一人、夕食の時間まで部屋で考え込んでいた。



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