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第六話 神フレイア

「では、もう何もないみたいなので地上へ送りましょう。そこの魔法陣の上に立ってください。フレイア様の国【アルヴヘイム】の中心都市【アトランティス】に転送します。始めにフレイア様のもとに送ります。覚悟がお決まりになっているならそこで〈加護〉を授けてもらうのが良いでしょう」


「あぁ、わかった」


 俺は言われた通りに魔法陣の上に立つ。


「これから貴方は自由です。神から〈制約〉や〈代償〉を受けて〈加護〉を貰うのも、冒険をするのも、職人になるのも、何もしないのも全て自由です。さあ、〈トランセンタル・テオス〉の世界を楽しんでください」


 魔法陣から光が溢れ出す。少しの間だったが別れるのは寂しい。


「いろいろありがとうな。特にこの刀、大切にするよ」


「いえ、それが私の仕事ですから。……やはり、何度経験しても別れは辛いですね」


「もう、会えないのか?」


「そんなことはありません。貴方が【ユグドラシル】を攻略した時また、私に会えますよ。道のりは厳しいですが」


「もちろんだ。トッププレイヤーになって、また帰ってくる」


「私が見送った方でここまで来た人はまだいませんが、貴方ならなんだが成し遂げるような気がします。私もここからですが応援していますからね」


 最後に笑顔で言ってくれた。体が光に包まれ、トキの声が遠くなる。そして、数秒の浮遊感。


 光が収まり、目を開けると俺は神殿の前に立っていた。目の前に巨大な扉、周りを見渡すが誰もいない。


『そのまま前に進んでね。扉の先で待ってるから』


 どこからともなく声が聞こえてくる。女の子の声だ。しかし、さっきまでの宇宙空間と比べて体に少し違和感があるな。どうしてだ。


『ねぇ、はやくしてー。私は忙しいんだからー』


 怒られてしまった。とりあえず、扉まで走るか。走り始めた所で俺は違和感の正体に気づいた。明らかに体が軽く、走りが速い。ステータスの割り振りが反映されている。50メートルくらいあった扉まであっという間についてしまった。そして、身長の何倍もある重厚そうな扉もさほど力を込めなくても簡単に開く。これがステータスの恩恵か。


「おおう。私から言っといてなんだけどめっちゃはやかったねー。君、敏捷のステータスにほぼ全振りした?でも、その重たい扉も簡単に開けるとか筋力も全振りレベルな感じだなー。もしかして、もともと強い期待の新人さんかなー?そんなふうには見えないけど」

 

 正面には大きな玉座に座る、小さな少女がいた。誰もが美少女だというだろう。長い金髪に碧眼、見た目や言葉から幼さを感じるが、ただ者ではない老練さが佇まいから感じられる。


「おっと、自己紹介しないとね。誰もが知ってると思うけど、東の国の【アルヴヘイム】を治める神のフレイアだよー。今から君はここの国民だよ。よろしくね!」


 やはり、神であったか。


「よろしくフレイア様、俺はシュン。さっき言ってたステータスだが多分こいつのお陰だ」


 俺はトキから貰った刀を見せる。こいつにはステータス上昇効果が内蔵されているから筋力と敏捷が全振りレベルなのだろう。


「シュン君ね、まぁ知ってたけど。あと、秘密はその刀か。良いもんもらったじゃん!大切にしなよ!」


「もちろんだ」


「んじゃ、説明は上のもんがやってると思うからちゃっちゃっとやっちゃおうか!」


 突如フレイア様の空気が変わる。さっきまでの幼さが消え、神という名に相応しい威圧感が襲ってくる。


「汝は力を欲するか。汝は私の力を受け入れる覚悟はあるか」


 生半可な気持ちでは許さない、覚悟が無いなら引き返せと言わんばかりだ。だが、俺は覚悟は出来ている。やるならトップを目指す。


「ああ、覚悟はある。俺は【ユグドラシル】を攻略する」


「いいだろう。なら、汝は何を犠牲に何を手に入れるのだ」

明日は21:00更新予定です。次回は主人公が加護と代償を手に入れます。

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