その75
優と一緒に並んで帰る。言葉はない、気まずくはない。満たされている。
私の家に着いた。
「おかえりなさい、奏。優君、奏を迎えに行ってくれてありがとう。やっぱり優君に頼んで良かったわ、上がっていってちょうだい?」
「はい、そうさせてもらいます」
「優、私の部屋に行こう?」
「ああ」
「凄く久し振りに来た気がする」
私は部屋に入った途端優をベッドに押し倒していた。
「奏」
「いきなりごめんなさい。優」
そして私は全身で優を感じた。
ちょっと前までとても寂しかったのに今はこんなに幸せ。
それは優が戻って来てくれたから。
優の全てが愛おしかった。
「優、神城さんとの事はもう気にしないでいいからね?」
「ありがとう、奏は俺なんかよりずっと強いな‥」
「それは優がいるからだよ。私優じゃなきゃダメなの。優が笑ってくれるなら私何だって頑張れるから。だから優、私をもっと頼って?優最初に言ってたよね、付き合うとかよくわかんなくて傷付けちゃうかもしれないって。
確かに傷付くのは辛いけど優が側に居てくれれば耐えられるから」
「奏はずっと側に居てくれようとしてたもんな」
「だって愛してるもん。それだけは神城さんに負けないつもり」
「いや、奏は誰よりも綺麗で可愛くて俺の事を想ってくれてるよ」
そうしてあっという間に週末は過ぎた。
優との日常が再び戻ってきた。
後は神城さんだ。
でももう大丈夫、神城さんに例えなんて言われたって平気。優がいるもん。
優と一緒にクラスに入る。そこには神城さんがいる。
神城さんが優に話しかける。
「あら?吹っ切れた顔してどうしたの?優君」
「神城さん、もうこんなことやめよう。俺、奏と話し合った。奏は俺のことを許してくれた、だから録画した映像なんてあってももう俺は神城さんに関わるつもりはない」
「そう、そっか。でも安心して?あれ嘘だから」
「嘘!?」
「そうよ?録画なんてしてないわ。そんな事しても奏さんはあなたの事を嫌いになんかならないってわかってたから」
「じゃあ神城さんは一体何がしたかったんだ?」
「さぁ?私にもわからないわ。ただあなたたち2人の恋愛が茶番劇なのか本物だったのか見てみたかっただけなのかもね。最初から私の付け入る隙なんてなかったのよ。あなたが白石さんを信頼していれば。だからそこは私に感謝しなさい?白石さんがあなたの事を本当に想ってるってわかったんだから」
「白石さん、それと今までごめんなさい。許してほしいとは言わないわ」
「神城さん、私は例え神城さんでも優のことは渡しません。神城さんには何もかも敵わないって思ったことはある。今だってそうだけど優に対する気持ちだけは神城さんには絶対負けない」
「そんなのわかってたわ。もう2人の邪魔はしないから安心して?」
「神城さん、握手しよう?」
「え?」
「私、このまま終わるのはなんか嫌なんだ。だから仲直りしたいなって」
「フフッ、ありがとう。これからは絵里って呼んで?」
「私も奏でいいよ?」
そして私たちは握手した。




