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71/82

その71

私の秘密を彼に知られた、だから私も彼の弱みを握った。

まさかそれが足立君だったなんてね。ううん、今は優君。

白石さん可哀想だったわね。あんなに必死に優君にすがりついて。

「捨てないで」


その言葉を聞くと私の母を思い出す。

私は幼い頃から厳しい父と母に育てられてきた。そして私もその期待に応えたいと頑張ってきた。


だが母は不倫していた。私が中学の時に発覚した。

大喧嘩になり父は離婚を決意した。

母はそんな父に泣きすがり捨てないで捨てないでと必死に叫んでいた。


優君と白石君のやり取りを聞いていてその光景がフラッシュバックし吐き気がした。


あんなに私に優秀な女性になりなさいと厳しく育てた母が不倫しているなんてね。可笑しくてしょうがない。母と離婚した父は私を引き取った。


私の歯車はもう壊れていた。今まで何のために頑張っていたのかもわからずに全てがどうでもよくなった。

抑えていた物が解放されたかのように私は夜遊びしていた。

やがてそれは父にもバレてあの女と同じだなと罵倒された。

そしてそんな遊びにも飽きて次は何しようと思っていたところに優君に見られたのだ。

ちょうどよかった。新しい玩具を見つけたような気分になった。


「ねぇ優君。図書室に行こう?」

私がそう言うと優君はついてきた。

フフッ、あまりにも効果覿面で笑っちゃう。


「肩揉んでくれない?優等生は疲れるのよ」

ため息をついて優君は私の肩を揉む。力が入り過ぎて痛い。


「痛いわ、優君。もう少し優しく揉んでちょうだい」

すると優君は力を緩めた。今度は逆に力が弱すぎなような気がするけど。


「誰もいないわね」


「そりゃ休み時間あと5分もないしな」


「いいえ、白石さんが来ると思ったんだけど‥あ、噂をすればご登場よ」


「優、私もここにいる‥」


「白石さん、来たばっかりで悪いけどもう私たちは行くわ、行きましょう、優君」

白石さんは優君が近付くと遠慮気味に優君の袖を掴んで歩いている。


「優、何か悩み事あるんでしょ?ねぇ?

私を頼って!」


「ごめん、大丈夫だから」

フフフッ、それじゃあダメなのよ?優君。もうそんなことまで分からなくなるくらい追い詰められているのかしら?



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