その7
土曜になり重い足取りで奏の家に進む。
マジでしんどい。自分の部屋でゆっくり過ごしたいものだ。1年の時奏と仲良くなってから何度か奏の家には遊びに行ったことがある。奏のお母さん、お父さんとも面識がありすっかり仲良くなってしまったのだ。
ピンポーンと鳴ると数秒後に奏が嬉しそうに扉を開けた。
「優、いらっしゃい!入って入って」
奏は嬉しそうに手を引っ張る。思いの外勢いよく引っ張られたのでよろけてしまってよろけて奏にぶつかりそうになり密着してしまった。
「ご、ごめん‥優来てくれたのが久しぶりで嬉しくなってつい‥‥」
バッと奏が離れた。まったく‥
「俺こそ悪かったな、びっくりした」
「奏ー、優君来たのー?」後ろの方から奏のお母さんの声が聞こえた。
いそいそと奏のお母さんもこちらに来た。
「優君、お休みのところ奏に勉強教えてもらって悪いわねぇ、でも私も優君来てくれて嬉しいわぁ。 さぁ、奏の部屋行ってて。今お茶持ってくから」
「はい、ではお邪魔します。あまり俺も勉強出来るとは言い難いので力にはなれませんが‥」
「いいのよ、奏ったら優君くるの楽しみにしてたんだから」
「お母さんはいいからー!恥ずかしいでしょ!」
奏はお母さんを押してキッチンの方へ追いやった。
「優!今お菓子とか持って行くから私の部屋に行っててー!」
2階に上がり奏の部屋に入る。奏ってなんか無防備だな、いくら俺だからって自分の部屋に勝手に行っててとか‥
ガチャリとドアを開けて奏の部屋に入る。
俺の部屋と違い、女の子らしい部屋だなぁと思う。小綺麗にまとまっていて小さいテーブル、ベッドにはうさぎのぬいぐるみ、なんかキラキラして見える。前来た時とあんまり変わらないなぁと。まぁ当たり前か。勉強している最中だったのか小さいテーブルには教科書などがそのまま開かれていた。
少しすると奏もお菓子とコーヒーを持って入ってきた。