その69
「で、お話は何なのかしら?優君」
「神城さん‥」
「ストップ!」
神城さんが俺に近寄り俺は思わず後退りする。
「動くな!」
神城さんは俺に近付くと俺のポケット、そして服や袖、襟など至る所を手で触る。触るというより何かを探してるみたいな動きだ。そして満足したのか最後に俺のスマホを取る。
そして確認すると俺のポケットに入れた。
「で?話していいわよ」
「神城さん、昨日の倉庫でのこと‥」
「録画してたわよ?」
俺が言い終わる前に俺の言うことが分かってたように被せ気味に言う。
やっぱり‥‥
神城さんは抜け目ない。
「証拠がなければ優君からしてみればとぼけようと思えばいくらでもとぼけられるものね?でも、もしかしてまた私にキスしてもらいたかった?」
「そんな風に見えるか?」
「いいわよ?キスやエッチなんて私にとっては息を吸って吐くことと変わらないもの」
「俺にどうして欲しいんだよ!?」
「ふふふッ、私の言う事を聞きなさい、逆らったら白石さんに昨日の光景を見せてあげる、白石さんのあの様子を見るとあなたの事を物凄く愛しているようね。昨日の光景を見せても優君は悪くないって言うと思うわ。もうあなたの唇は彼女だけのものではなくなった。私にキスをされた事実は変わらない、傷付くわよ?いくら誤魔化そうとしてみても思い出すわ。白石さんも優君もそれで良いのかしら?」
俺は悔しいが神城さんの言う通りの状態になってしまっている。現に奏を見ているのが辛かった。奏の顔を見るとどうしても昨日の光景を思い出し、とても奏に申し訳なくてどんな顔して良いかわからない。
「もう良いかしら?戻りましょう」
そういった途端またいきなり神城さんにキスをされた。
「1回も10回も変わらないでしょう?もう白石さんを裏切ってるんだから」
そして白石さんは戻っていった。
俺もいつまでもここにいるわけにもいかないので少し遅れて戻る。
階段を降りようとしたら奏がいた。待ってたのか‥
「優、神城さんと何を話していたの?ねぇ、優!」
奏が俺のもとに駆け寄る。
そして俺の顔を優しく手で触れキスをしようとしてきた。俺はその瞬間神城さんを思い出し顔を逸らしてしまった。
「え?優‥なんで?」
「優、神城さんの事好きなの?もう私じゃダメなの?」
「そんなわけない」
「だったら!」
「おーい、お前ら!とっとと教室戻れよー」
俺たちの話し声が聞こえたのか先生が俺と奏の言葉を遮った。




