その51
優が私の家を出て行って数分たった。
「はぁ、やっぱりもうちょっと一緒に居たかったなぁ」
そんな事を呟いた。まぁしょうがないよね、風邪移しちゃうし。時計を見るとまだ17時にもなってない。外はまだまだ明るい。ついさっきまで優がいたのになぁと部屋を見渡す。
ん?優が座っていた場所を見るとそこには何故かスマホが落ちていた。
「あれ?これって優のスマホ?」
座った時にポケットから落ちたのだろうか?何にせよここに置いたままだと優に連絡取れないよね?それは嫌だから優に返そう。
その時の私は風邪で頭がボーッとしてたからか優が取りに来るかもなんて頭になかった。それに優の家もそれほど離れてないし10分くらいで歩いて行ける。
パジャマから部屋着に着替え準備万端。ちょっとフラフラするけど大丈夫だよね?
階段を降りる。やっぱりフラフラする、でもゆっくり行けば大丈夫。
階段を降りたところでインターホンが鳴る。あ!もしかして気付いて優が戻って来たのかな?
優の顔をまた見れるんだと思い嬉しくなって玄関を開けた。
「優!忘れ物とりに来たの?」
「ざんねーんッ!奏先輩こんにちは!」
笑顔で迎えた私は一瞬で凍りついた。
「岬ちゃん!?なんで?」
「今日奏先輩学校休みましたよね?だから来てみたんです!」
「どうして私の家を知ってるの?」
「奏先輩の家も優先輩の家も前から知ってましたよ!こっそり2人を尾行した事あるので」
満面の笑みで岬ちゃんはとんでもない事をサラッと言った。
「それと奏先輩が風邪でお休みした事も知ってまーす!マスクしてるし。てか風邪なのにわざわざ奏先輩が出たってことは親いないんですね?ちょうど良かった!」
途端にマスクを外され服の胸元をグイッと掴まれてそのまま外に引きづり出された。その拍子に優のスマホを玄関に落としてしまった。
「じゃああたしと一緒にお出掛けしましょー!」
常識ないの!?岬ちゃん!
岬ちゃんは私をグイグイ引っ張って優の家の反対方向に進む。今の私にはペースが速い。具合悪くなってきた。
「岬ちゃん、どこまで行くの?」
吐き気がしてきたのを我慢しながら言う。
「さぁ?奏先輩、風邪は汗をかくと治るんですよ?本当かどうか試してみましょー!悪くなったら知りません」
どんどん岬ちゃんは進んでいく。近くのコンビニを過ぎたあたりでこっちに行きましょうと私に振り返った瞬間ドンと何かにぶつかった。
「おい、いてぇじゃねぇか」
私がその声の主に視線をやると見覚えのある3人組がいた。デパートで絡んできた3人組だった。
私はまたあの時の嫌な事を思い出してしまった。




