その50
あれから数日岬はやはり事あるごとに絡んできた。ヒロキらが適当な事言って誤魔化してくれるけど全く会わないわけではない。でも休み時間のたびに毎回顔合わせるのはキツイので助かってる。
そして今日は奏がいない。
昨日から様子がおかしかったが熱が出て休んでるのだ。夏休みまであと2日だが終業式これるのかな?
いや、今の状態じゃ来ない方が良いのかもしれない。岬につきまとわれているよりは家で休んでいた方が。なんて思うと岬の思う壺なのだろう。
あんな奴より今は奏だ。俺は岬のことを警戒しつつも学校を終え奏の家に向かっていた。心配だし見舞いしとかないとな。
奏の家に着きインターホンを鳴らす。
ガチャッ。
奏が出てきた。ということは奏の母さんもまだ仕事か。
「優来てくれたの?」
「ああ、お見舞い、具合大丈夫か?起こさせてごめんな。奏の両親遅いのか?」
「ううん、来てくれて嬉しい。まだ熱があって少しクラクラするの。ママは今日少しお仕事時間かかるって。パパはいつも少し遅いから。あ!」
「どうした?」
「せっかくお見舞いに来てくれたのに優に風邪移ったら‥」
「そんなの気にするなよ」
そう言い俺は奏の家に入る。あ、お粥くらい作ってやろう。奏は毎回俺のために料理作ってくれるしな。
「奏、キッチンかりていい?」
「え?優何かするの?」
「お粥作るよ。奏あんま動けないだろ?」
「‥‥うん、ありがとう。優のお言葉に甘えちゃう」
奏凄く嬉しそうだ。来てよかったな。
「奏、部屋に戻って寝てていいぞ?」
「嫌、優が見える場所に居たい」
「わかったよ、じゃあリビングのソファで横になってな」
「うん、でもそれで風邪移しちゃったらごめんなさい‥」
「気にすんなって言ってるだろ?」
さて作るか。何度か来てるから配置は覚えてるけど。おっと米はここだった。洗うんだよな?慣れない料理で苦戦する。しかもお粥くらいで。
あー、こんな時パパッと出来きなきゃなぁ。それに気付いたのか奏が来て教えてくれる。
俺結局あんまり役に立ってないな。具合悪い奏を起こしてわざわざ教えてもらうなんてな。
ようやくお粥が出来た。
「おいひぃ」
熱かったのか奏が口を押さえている。
「本当か?なんかうまく出来なかったような気がするけど‥」
「優が作ってくれるとそれだけで美味しいよ」
奏はニッコリ笑う。俺にはもったいないくらい奏は優しくて可愛いなとつくづく思う。
本当に美味しかったのか奏はお粥を全部食べてくれた。食器を洗い奏をそのまま部屋に連れて行く。
やはり熱があるのか少しフラフラして咳をしている。
「ごめんね、優。夏風邪引くとかって私バカなんだね」
「そうだな、バカみたいによく出来た彼女だと思うよ」
「え?それって褒めてる?結局バカなの?」
「あはは、どっちだろうな?じゃあ今日はもう帰るよ。奏無理するといけないからな。早く良くなれよ」
「うん、優ありがとう、本当はもっと一緒にいたいけど風邪移したくないから我慢する。寂しかったから会いに来てくれて嬉しかった」
「じゃあまたな」
そして俺は奏の家を後にした。




