その5
2年生になってから2週間ほどが経った頃優はクラスの皆と仲良くなっていた。でも私には少し気がかりがあった。隣の席なのかはしらないけど神城さんと優はその中でもかなり仲良くなったんじゃないかと思う。
なんか嫌だな‥‥
私も優と変わらず接しているけど神城さんと仲良くしているのを見ると優を盗られるんじゃないかと思ってしまう。
優の隣は今まで私だったのにいつの間にか優って存在が私の中でどんどん大きくなっているのが自分でもわかる。
「奏ー!今日席替えだね、私奏と近くになれればいいなぁ」
佳菜はそう言ってくるが正直私は優の隣がいいなと思う。
「優は足立君と隣がいいんでしょー?」
佳菜が茶化すように言ってくる。
「あはは、佳菜とも近くになれれば私嬉しいな」
ギクリとして笑顔がぎこちなくなった。
「それにしても足立君って結構人気ね、神城さんとも仲良いみたいだしモタモタしてると神城さんに盗られちゃうよ?」
図星を言い当てられてちゃった‥
「奏ってこんな可愛いくて足立君と1年の頃から仲良いのになかなか奏に靡かないよねぇ?」
とは言っても可愛いと言われても毎日見る自分の顔なのだから私あまりピンとこないんだよね、それに佳菜だって私から見たらとても可愛いし、神城さんだってそうだ。自分は負けてるんじゃないかと卑屈になってしまう。
そんなことを考えてるとホームルームが始まり席替えの時間となりさらに私の気分を落ち込ませる。
優は窓側の1番後ろ。そして私は廊下側の1番後ろになってしまったのだ。
さらに落ち込むのが優の前の席が神城さんだったことがさらに拍車をかけた。
自分のくじ運の無さに絶望してしまう。