その45
昼休みになり奏はいつものようにベランダで俺と昼食をとる。だご奏は落ち込んでいる。元気付けても休み時間に岬が訪ねてくるのだ。その度にテンションが下がっていた。岬も岬だ。よくもまぁ上級生のクラスに臆する事もなく堂々と来れたもんだ。
その度胸と執念は何か他の所にまわしてもらいたい。
「優、ごめんね、こんなにへこんでる私と一緒にいると嫌になっちゃうよね?」
「だから俺が側にいるんだろ?、へこんでる奏をそのままにしておけないだろ?」
弁当を食べ終え元気のない奏に膝枕をしてやってる。ガチャッと屋上のドアが開いた。まさかな、と思ったらやっぱり‥‥
「あ〜、やっぱりここに居たんですねぇ!いいなぁ、奏先輩だけ優先輩を独り占めにして!」
思わず奏も起き上がり視線を奏に向けた。
後ろから岬が俺に抱き付いてくる。
「わ〜い!優先輩って肩広〜い!」
「おい、いい加減にしろよ!」
岬を退けようとした瞬間
チュッ。
岬が俺の頬っぺたにチューをしてきた。
それを見た奏は涙を滲ませて屋上から走り去ってしまった。
「奏!」
追いかけようとすると岬が俺の腕を掴んで止めた。
「いいよぉ、あんなのは放っておいてあたしら2人で楽しみましょうよぉ?」
甘えた声で岬は言ってくるが苛立ちの感情しか出てこない。
「なぁ、お前一体何が目的なんだよ?楽しいか?」
「はい、とっても楽しいです。優先輩とお喋りするのは!でもあんなんでしょげる奏先輩とお付き合いしてる優先輩って可哀想。そのかわりあたしと付き合いませんか?あたしだったらいろんな意味で優先輩を満足させてあげますよぉ?」
「あいにくお前のことは嫌いだ?それがわからないのか?」
「せっかくのあたしのお誘い断るなんて優先輩は奏先輩に弱みでも握られてるんですかぁ?あ、惚れた弱みとかはなしで」
「奏はお前みたいに平気で人を傷つけてつけこんでくる最低野郎じゃない!お前なんかと比べるのも失礼だ」
俺はそう言い奏の後を追った。
「うーん、いい感じ。ああ言われると意地でも落としたくなっちゃうなぁ」
岬は冷たい笑みで呟いた。
クソッ!奏はどこ行ったんだ?探しあぐねて教室に戻ると俺を見かけた今井さんが訪ねてきた。
「足立君、奏となんかあった?奏具合悪くなったから早退するって言ってたよ?もしかしてじゃなくてもあの1年でしょ?」
「わかった、じゃあ俺も気分が悪くなったから早退するってことにしといて!今井さんの想像通りだよ」
「やっぱりって、え?足立君も帰るの!?」
「じゃあ上手いこと言っといて!よろしく!」
俺は足早に教室を出た。下駄箱に行き奏の靴があるかどうか確認する。やっぱもうないか‥
でも今から走れば帰ってる途中に会えるかもしれない。
俺は急いで奏の家に向かった。




