その2
学校に着き、校長先生のどうでもいい長話を聞き終わった俺は体育館から出てクラス替えの貼り紙を見に行こうとしていた。突如横から肩を掴まれた。
「よぉ!優、元気してたか?」
「ヒロキ、びっくりするじゃん、相変わらずだな」
「朝声掛けようとしたら白石さんと楽しそうに話してるからえんりょしてやったんだよ!お前ら仲良いよなぁ」
「別に遠慮しなくてもいいだろ?」
「お前が遠慮しなくていいって言っても邪魔したら白石さんに悪いだろ?」
「はぁ?なんだそりゃ?」
「まぁ、お前は興味なさそうだけど白石さんはお前に興味ありだと思うけどなぁ、この贅沢やろう!」
「ヒロキの勘違いだろう?少し仲良いだけだって」
なんだ、そんな感じに思われてんのか。あんまり仲良いと思われてると良からぬ噂とかたてられて面倒くさいことになりかねないしな、奏は学校ではかなり人気だからなぁ。
下の名前で呼び合う程仲良くなった時点でもう目は付けられてるかもしれないから当分素っ気なくしておこう。
そんなことを考えながらクラス割を見ているとさっそくまた今学期も奏と一緒になった。
ついでにヒロキも一緒だ。まぁよく知ってる奴だからやりやすい奴がいて楽なのは事実。
「中野ヒロキ」帰宅部仲間で1年の時に仲良くなった友達だ。あくまでヒロキの中ではの話だ。
俺は別に友達とは思ってないけどな、ただ学校生活において仲良くなってたほうがいいと思ってただけだ。
ボーッとクラス割を見てると奏を見つけた。そして奏もこっちに気づいたようだ。
「優、また一緒のクラスだね!やったね!」
とても可愛らしい顔で彼女はサムズアップする。
「またよろしくな!奏」
俺もサムズアップした。だが心の中では溜め息が出ていた。
「席も近くだったらいーなぁ」
奏は腕を上げて背伸びしながら言う。
「勘弁してくれよ」
思わず本音が出た。
「ひっどーい!もっと言い方ないのー?結構傷付くんですけどぉー」
奏はムスッとしてプイッと顔を下げた。
「あはは、冗談冗談。奏結構人気あるからまた近くになったら他の男子に恨まれそうだなと思っただけだよ」
「いいもん!優になんかしたら私その人と口聞いてやんないから!優は友達なんだから!」
彼女は腕を組んでまだ不機嫌そうだ。
そんな風にされるとますます誤解受けるからムキになんなくてもいいよと俺は思うけど俺の本音を知ったら奏にも嫌われそうだな。
「白石さん、俺も優と同じクラスなんだ、よろしくね。」
ヒロキは何故だか遠慮しがちに奏に話しかけた。
「中野君、よろしくね!でも私達優とよく一緒にいたから改まらなくてもいいじゃん」
クスリと奏は笑った。よし、ヒロキこんなところで役に立ったな、でかしたわ。