その19
奏は出掛ける前に洗濯などをしていた。すっかり奏にやる事を取られた俺はボーッと奏を見ていた。
一生懸命だな、あいつ。家事もちゃんとこなせんるんだな、今週でしっかりわかった。それに比べて俺はなんにもできてないな。はっきり言って俺を好きになる要素ゼロじゃないか?
前にもそんなこと奏に言ったことあるが理屈じゃないんだとさ、あれかな?ダメ男を世話したくなる正確なのかな奏は?
「優、こっちは終わったよ?ってボーッとしてたでしょ?」
「あー、ごめん。奏のこと見てたらつい」
「え?」
奏が顔を真っ赤にして戸惑っている。
「もしかして私に見惚れちゃってた?」
「まぁー、そんなとこ。奏って元々うちの学校じゃ1、2争うくらい可愛いもんな。俺から見てもそれくらいはわかるくらいだ」
「わ、私は昔からこんなんだからそんなこと言われても正直ピンとこないけど優に可愛いって思われてるなら嬉しい、てかこれからもそう思われたい」
奏がかなりデレデレしている。
「よし、そろそろ行くか」
ボーッとしてるともう家から出るのがめんどくさくなるので奏の気分も良さそうだしさっさと行く事にした。
俺たちが住んでいる街は田舎すぎもせず都会すぎもせず住みやすい所だと思う。
電車など使わず徒歩でも俺たちが住んでいる住宅街から商店街まで行ける程よい距離だ。
その分いつも通りで退屈な道と言えなくもないが奏と行くとなるといつもと違うな。たまに奏とここらには来ていたがあの告白を受けてから一緒に出掛けるとなると少し何か違って感じる。
デート?と言えばデートなのだろう、まだ友達としてだと思う。
「ねぇ、優。なんか映画観たい!」
「映画かぁ、上映時間とかあるからいきなり言われても‥何観るかなぁ?観たいのある?」
「優におまかせ!優が観たいのが私観たいな」
徐にスマホを取り出し検索すると丁度いいのがあったのでそれにすることにした。
「あったぞ、ホラー映画だけど」
「え?」
一瞬奏の顔が曇った。苦手なのはすぐ察したけど反応が予想通りで面白い。
「違うのにする?」
「優の意地悪。私ホラーとか苦手なの知ってるのでしょう〜?」
「奏の反応見てみたくてさ、わかった。違うのにするよ」
「ううん、いいよ、それでいい」
「嫌なんじゃないの?」
「優と一緒だからいいの!」
奏は恥ずかしそうな笑顔で答えた。
デパートに着き映画館で最初にチケットを買いに行ってきた。あとは上映時間まで少しデパート内をまわることにした。
奏はショップで服を選んでいるが俺にはあいにく用無しの店だなと思う。
「ねぇ、優、この服どう?似合うかな?」
奏がワンピを取って俺に見せてきた。
「ああ、奏に合ってるんじゃないかな?」よくわからないから適当な答えになってしまっていたけど奏はそうかなぁー?と言って嬉しそうだ。
とは言っても散々似合うかな?これどうかな?と言っても買うわけじゃないから女ってよくわからん。
あれこれまわっているうちに上映時間が迫ってきていたので映画館に戻る事にした。
映画館は最上階なのでエスカレーターで移動している時、俺たちより後ろ辺りからガラの悪そうな男ら3人組がコソコソ話していた。
「あの子めちゃ可愛くね?」
「あいつって彼氏?」
「いいから話しかけねぇ?あの子に」
などと聞こえてきた。奏をチラッと見ると今から観る映画あんまり怖くないといいなぁと言っていて全く聞こえてない。
面倒なことにならないといいけど‥




