その12
「優、こっちだよー!」
奏は屋上の隅っこに俺を連れて行き床に腰掛ける。
「じゃーん!今日も気合い入れて作ってきたんだよー」
奏は自慢げに弁当を広げた。気合い入れて作ったと言うだけあって美味しそうだ。見たところ冷凍食品などは使わず全部作ってるみたいだ。何時に起きてんだ?奏は。
「奏、これ作るの大変だろ?」
「んーん、優のためなら全然苦にならないよ?どっちかって言うと嬉しいし」
「それにね、お料理の腕も上げたいから丁度いいんだ♩」
楽しげに奏は言う。女の子って結構大変だな。好きな人のためにここまでできるのかと感心してしまう。その行為を受けている俺はいまだにこんなに煮え切らない態度で奏はいつ愛想を尽かすんだろうと考えていると、
「優、どうでもいいこと考えてるでしょー?そんなことより食べて食べてっ」
なんとなく考えている事がわかったらしい奏が弁当を勧めてくる。奏って1年の頃から俺をよく見てるだけあってなんとなく俺の深層心理を理解してるのかな?下手なことは出来ないなと思ってしまった。
弁当の唐揚げを箸に取り口に入れる。文句なく美味しい。玉子焼きも食べてみるとしっかり出汁巻玉子だ。どんだけ凝ってるんだ?でも美味しい。
「美味しい?」
横からヒョイと顔を覗かせてジッと奏はこっちを見ている。
「あぁ、美味しい。奏はいい奥さんになれるな」
「でしょー?凄い頑張って作ったんだから!優のためじゃなかったらここまでしないもん。‥‥奥さんかぁ、えへへ」
「優、今度優の家にも行ってみていい?あ!それとどこか遊びに行かない?」
「んー、そうだなぁ」
「あ、今少しめんどくさいなぁと思ったでしょ?1人で過ごしたいなぁとか!?」
ギクリ‥‥
図星だった、俺の考えてることわかるのかコイツ?なんだか見透かされてる気がしてきた。
「もぉー、優ったら。私優のことなら大体わかっちゃうんだよ?ずっと見てきたんだから!」
「はいはい、わかったよ。今週は行かないけど次の土曜日だったらいいよ」
「本当?やったぁー!絶対だよ?嘘ついたら許さないからね!」
やれやれ、奏が積極的になったことで騒がしくなったなぁ。




