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お笑い芸人ランキング Sランク編 ビートたけし

作者: ランク野郎

ビートたけし Sランク


ボケ 100 Sランク+

ツッコミ 80 Aランク

トーク 95 Sランク

漫才 90 Sランク

コント 90 Sランク

毒舌 100 Sランク+


【解説】

お笑い『ビッグ3』の一人。さんま、タモリと続いたビッグ3最後の大物である。


今のほとんど隠居してしまったようなたけしの姿からは想像もつかないが、全盛期のたけしの芸風は、さんまに匹敵するマシンガントーク、天才的なボケ、強烈な毒舌で笑いをもぎ取る(正にもぎ取ると言った表現が正しい)、非常に剛腕で攻撃性の高い、アグレッシブなものであった。


後にテレビタレントに落ち着いてからは、消耗の激しいそのスタイルからの脱却を図り(その芸風がテレビで持つのは、芸能界広しといえどさんまと紳助ぐらいなものである)、マシンガントークは鳴りを潜めてしまったが、ボケにはますます磨きが掛かり、その後の活躍は言わずもがな、映画の世界でも大成功を収め、今なおレジェンド芸人として芸能界の頂点に君臨している。


ボケは松本以来となる最高評価となった。たけしのボケは松本とは違うカテゴリのボケであるので、採点には非常に苦慮した。


松本のボケを頭をひねらないと理解できない異次元のボケとすると、たけしのボケは非常にわかりやすくバカバカしいが、しかし誰も思いつかない、『ベタであるにも関わらず誰も考えつかないボケ』という、とても変わったカテゴリのボケである。


では、ここでたけしのボケのほんの一例として、伝説のクソゲーと名高い『たけしの挑戦状』の特徴を列挙していこう。


①攻略本を見ても攻略できない。


②攻略本への苦情や抗議の電話を受けた版元が、『担当者は死にました』の大喜利であればSランク+の回答。


③相方のビートきよしから『攻略法を教えてくれ』と言われる。


④発売当初『ドラクエ』と同等の売上。


⑤通行人、警官、ヤクザ、妻、子供など、目に映る者全てが敵。


⑥すぐに即死する上ゲームオーバー画面が主人公の葬式。


⑦『ポリネシアンキッド南海の黄金』という意味不明のサブタイトル。


⑧ファミコンの非常に低感度のマイクでカラオケを強要。


⑨ルートを少しでも間違えると、飛行機が突然爆発したり、謎の未開民族に釜茹でにされる。


⑩リアル時間で一時間、ゲームを操作せずに放置プレイを強要。遊ぶためにゲームを買ったのに、『ゲームを遊ばせない』という驚天動地の発想。


⑪ゲームの発売前日にフライデーを襲撃。


特に秀逸なのは⑪の『フライデー襲撃』だが、これはある意味ではたけしから贈られたフライデー編集部への『たけしの挑戦状』と受け取ることもでき、正に自身の芸人生命を賭した一世一代の渾身のボケだったと言えるだろう。


本作に於けるたけしのあまりに天才的すぎるボケはまだまだ存在するのだが、筆者が本作で最も驚愕したところは、この激ムズ(というか理不尽)すぎるゲームの攻略者に対し、たけしが放った次の一言である。


『こんなげーむにまじになっちゃってどうするの』


これまで筆舌に尽くしがたい理不尽、艱難辛苦に堪え、クリアまで辿り着いた勇者達を嘲笑うかのように、プレイヤーを絶望のズンドコに叩き落とす血も涙もない一言。


『お前が小遣いをせっせと貯め、期待に胸を膨らませて購入し、クリアまで辿り着いたゲームは、所詮作者本人が『こんなげーむ』と言ってしまう程度のもの。そのクリアまでに要した金、時間、労力は、全て無駄の極致であり、作者の俺に言わせれば、一言で無に帰すほどのあまりにくだらないものだ』


とでも言わんばかりの、たけしのあまりに天才的で鮮烈すぎるボケ。しかも、このボケがファミコンの著しく低解像度のガッビガビの画面から全文『ひらがな』で繰り出されるというのだから、プレイヤーとしてはたまったものではない。


つまり、前述の①~⑪までのボケと思われていたものは、全てはこの最後のオチのための前フリに過ぎなかったのである。


本作に於けるこの最後の大オチは、プレイヤーの全ての予想を裏切る衝撃の結末としか言いようがなく、たけしの天才性を証明するSランク+の完璧なオチだったと言えるだろう。


このように、たけしと松本ではボケのカテゴリが根本的に違っており、カテゴリの違う互いに最高評価のボケに、優劣を付けることはできなかった。


これはどちらのボケが優れているという話ではなく、両者のボケそれぞれにSランク+の違った魅力、違った個性、違った天才性があるということだ。


以上の点から、当ランキングでは松本、たけし、両名にボケ最高評価を下すこととした。


ツッコミはAランクとしたが、これはそもそもたけしは完全にボケ型の芸人であるため。人にツッコむより自分がボケたがるタイプであるため、評価は控えめのAランクとした。


トークはタモリと同じ95点となったが、最高評価だった松本、さんまと比較して、トークは5点分引かせて貰った。


全盛期のたけしのトーク、内容は100でもおかしくない内容である。では、何が5点分引かれたのか。それは実は、トークの内容以外のところにあった。


たけしのトークの致命的な弱点。


それは、滑舌の悪さ。


おそらく、たけし自身も自覚しているだろう。たしかに、トークの内容は文句なしに素晴らしい。しかし、その天才的な発想を持つ頭脳に、舌が付いていっていないのである。


たけしの天才的な発想にさんまの正確無比な話術が加われば、これは絶対無敵の最強芸人となるはずだが、やはり神は意地悪なことをする(味な真似とも言えるが)。笑いの神は一人の芸人に、芸人としての全ての能力を与えようとはしないのである(その神の領域に、唯一限りなく近付いたのが、松本人志という芸人であった)。


神の悪戯か、たけしは滑舌が悪い。そのために、本当はものすごく面白いことを言っているのに、聞き取れなかったりいまいち伝わらなかったりして、かなりの量の笑いを損しているのである。これは本当にもったいないことだ。


そういった観点から、たけしのトークは満点から5点引いて、95点とさせて頂いた。


悪いのはたけしではない。そのように人間を創った神である。


漫才の腕は当然高評価。ツービートのテンポと歯切れの良い漫才が、Aランクであるはずもない。


コントの腕も高評価である。前述した『ベタであるにも関わらず誰も考えつかないボケ』の発想力を活かしたコントを、まだ笑いのレベルが低かった時代に次々に生み出したその能力は、Sランクに相応しいものである。


最後の毒舌最高評価。現在爆笑問題、浅草キッド、有吉弘行に代表される毒舌芸のトップランナーとして、その評価は不動のものである。


若い世代にとっては、映画とか作ってて偉い賞いっぱい貰っておかしな扮装してたまに面白いこと言って世界がまる見えでTVにタックルをかますアンビリバボーなおじさんという印象しかないかもしれないが、もう一度ビートたけしが芸能界に残した多大な功績を振り返り、忘れかけているが実は凄い芸人なんだということを再確認するのも、お笑いの楽しみ方としてはオツなものかもしれない。


それに当ランキングがほんの少しでも寄与できたのであれば、これに勝る幸福はない。

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