表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/10

第5話「大路島、死す」

 遂に加藤を発見する事が出来た藤原達。伊藤の提案で誘導作戦を開始するが、智恵美は謎のパワーを使ってゾンビを呼び寄せたのであった。


「オイオイオイッ! ふざけんなよ! 世界観崩壊してんじゃねーか!!」


 藤原は語気を荒げてみるが、文句を言ってもこの状況は改善されない。

 2人を囲む10人以上のゾンビ達。藤原と大路島は、この常識外の状況に訳もわからず混乱をしていた。


「藤原ぁ! 智恵美は、過去に《魔術の本場イタリア》で修行をしていた事があって、その結果《死霊術》を会得したらしいんだ。近くにいる死体に仮の魂を宿らせて自由に操る事が出来る」

「そんな無茶苦茶な奴と、何で普通に付き合ってんだお前は!?」

「は? 愛に理屈なんているかよ。俺は智恵美を愛してるから付き合ってるんだ」

「加藤ちゃん……(ぽっ」

「何だろう。はっきりと説明できないが、こいつを無性にぶん殴りたい!」


 その頃大路島は、けん玉でゾンビ達に応戦していたが、ゾンビには痛覚というものがないのか、まったく怯む事なく2人を追い詰めていく。


「ま、不味いぞ! このままだと僕達までゾンビ化してしまう! ゾンビに噛まれたらゾンビになるって聞くし!」

「か、加藤! このゾンビに弱点は無いのか?」

「それはもう《聖水》一択だぜ」

「そんな都合の良いもの持ってないよ」

「うーん確かにお前らじゃあ無理だな。男の《尿》って、聖水と呼べるような神聖な物でもないから」

「ふざけんな下ネタじゃねーか!」

「こっちは真剣なんだ! 真面目に答えないと置いていくぞ!!」

「あーえっと。確か、術者である智恵美を何とかすれば術が解けるはずだ」

「何とかって、何をすれば良いんだ?」

「そりゃーもう……」

「ちょーっと加藤ちゃん。少し喋り過ぎですよー?」


 加藤が何かを話し掛けた途端、智恵美が加藤の口を両手で塞いだ。


「ム、ムグゥ〜〜!」


 加藤は苦しそうに唸っている。

 一方で、別に唸り声を上げているゾンビ達は、藤原と大路島に少しずつ近づいて来ている。最早一刻の猶予もない状況だ。


「藤原! よくわからないが、やるしかないぞ! あの智恵美って子をケチョンケチョンにしてやるんだ!」

「えーー。……俺、基本的に女性に暴力ってNGなタイプなんだよねー」

「この後に及んで何を言ってるんだ!? ふん、なら良いさ。お前が行かないっていうなら僕1人でも! 突撃ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」


 大路島は、藤原を置いて智恵美に勢い良く飛びかかる。

 その瞬間、不意に大路島の足首が、何かに引っ張られていった。


「えッ!?」


 大路島の足首には、罠用のワイヤーが絡まっていた。

 大路島は、そのワイヤーを目で伝って確認していくと、ワイヤーの先端が《鉄の処女》の内部に繋がっている事に気付いた。


「ええッ!!?」

(あ、死んだなこりゃ)


 友人の末路を察した加藤が、そっと黙祷をする。

 大路島は、ワイヤーの引力に必死に抗おうとするが、ワイヤーの力はそれ以上だった。結果、大路島は為す術も無く鉄の処女内部に入ってしまう。

 そして、鉄の処女の扉がバタァン!! と無慈悲に閉められ、中から苦痛に満ちた絶叫が藤原達の耳に轟いた。


「お、大路島ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 突如訪れた友人の死。

 その悲惨な運命を垣間見てしまった藤原は、感情の赴くままに、その場で割れんばかりに叫ぶのだった。


「ちくしょー! 大路島を殺りやがって、許せねー!!」

「いえ、ワタクシは何も……」

「問答無用だぁ!! ウオォォォォォォォォォ!!!!」


 藤原は走った。友の無念を晴らすために。

 敵は、少女とゾンビの軍団。果たして藤原は、彼奴らを倒し、加藤を救い出す事が出来るのだろうか!?

 つづく。

よろしければ評価・感想等をお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ