最終話「藤原篤哉の後日談」
……あの激闘から数日が過ぎた。
加藤は結局、あの後、家族・彼女達と一緒に晩御飯を食べたようだ。そのおかげか、加藤と彼女達の溝は埋まり、円満な関係を築けていると加藤は言っていた。本当かどうかは定かでないが。
3股? 今更過ぎて言及する気も起きない。そもそも彼女達はお互いに面識があったようだし、加藤が昔からああいう奴だって事も知っていたみたいだ。
一方、俺はというと、テスト勉強を疎かにしたツケが周り見事に赤点。晴れて《追試》を受ける羽目になっていた。
「あーーちくしょう。なんで友人のために命を張ったこの俺が、追試なんて受けなきゃならないんだろう。神様は俺の事が嫌いなのかな?」
こんな嫌な日には、冷たいコーヒーでも飲んでスッキリするに限る。
俺はブツクサ文句を呟きながら、馴染みのコンビニへと向かった。
「あれ。なんだ向こうが騒がしいな?」
サイレンの音が聞こえたので覗いてみると、コンビニ前でパトカーと救急車が止まっていた。
どうやら事故か事件か起きたらしい。店内は騒々しく、とても営業しているようには見えなかった。
コンビニ周辺には野次馬共が屯していたので、俺はそのうちの1人に声を掛けた。
「すいません。何かあったんですか?」
「んー。どうもあのコンビニで、強盗が出たらしいんだ。怪我人もいるみたいで今、担ぎ込まれてる」
野次馬が指差した方を見ると、ちょうど青年が担架で運ばれているところだった。
その青年には覚えがあった。以前、レジにいた2人組の店員の1人だ。彼は、脇腹を刺されたようで酷く出血しているように見える。
その時、俺のスマホから着信音が鳴り出した。
「ん、誰だ?」
画面には電話番号だけが記されている。見覚えのない番号だ。
俺は知らない番号から掛かってきた時、取り敢えず電話に出ないようにしている。妙な勧誘や詐欺などを警戒しての配慮だ。
その後、さっきの電話番号をネットで検索してみるが、相手先のこれといった情報は見つからなかった。
「うーん。まあ、こっちから掛け直すのもなんだしな。放置しとくか。コーヒーはどこかの自動販売機で買おうっと」
俺はそう判断し、自宅に帰る事にした。
背後から鳴り響くサイレンの音が、どこか不吉に鳴り響く。
そんな錯覚を覚えながら、俺、藤原篤哉は、重々しい足取りで帰路に着いた。
次の日、加藤が何者かに誘拐されたという情報が、俺の耳に飛び込んできた。
To Be Continued.
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