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第1話「始まりの朝」

 藤原篤哉あつやは、嘆いていた。この世の理不尽に対して。

 彼は今、自分の部屋の勉強机の前に座っていた。目の前には教科書とノートが開かれてある。あまり使った形跡の見当たらないそれらの勉強道具は、彼の学びの積極性の無さを表しているようだ。

 時刻は午前10時を過ぎた頃。藤原は、早くも勉強に飽きて机に突っ伏していた。


「はぁ。明日は期末テストだけど勉強が一向に身が入らないなぁ……。もう身に入らな過ぎて一昨日からライトノベル10巻分も読んじゃったよ。あー駄目だ駄目だこんな事していてちゃ。早く机に向かって勉強……の前に、コンビニでおやつでも買いに行くか」


 藤原は、部屋を出て靴を履き替え、近所のコンビニまで自転車を漕ぎ出す。

 コンビニに到着した時、藤原のポケットから携帯の着信が鳴り出した。

 携帯の画面に表示されていたのは、藤原の友人である《伊藤》というクラスメイトだった。


「俺だ。何か用?」

「おお藤原。お前今暇か?」

「期末テスト前だよ? 暇なはずがないじゃないか。……と言いたいところだけどぶっちゃけ暇だ」

「お前の事だから、どうせオレみたいに勉強に手がつかないんじゃないかって思ってさ。……そこでだ。これから加藤も誘って3人で勉強会を開こうと思うんだがどうだろう?」

「良いね。確かに3人でやった方が効率が良いし、1人より勉強に身が入りそうだ」

「なら決まりだな。オレは加藤を誘ってみるから、お前はオレの家に来てくれ」

「わかった。次いでだからコンビニで何か買ってくるよ。リクエストはあるかい?」

「適当に摘めるもので。個人的にはチョコレートが良い」

「了解。じゃあまた後で」


 藤原は通話を切った後コンビニに入り、手頃なお菓子をカゴに詰めた。

 レジの方へ足を運ぶと、カウンターには大学生くらいの店員が2人立っていた。店員達は暇なのか、客がいるのにも関わらず談笑をしている。


「なあ聞いたか? 最近この辺で物騒な事件が起きてるって話」

「ああ。《通り魔》だか《不審者》だかが目撃されてるそうじゃないか。おっかないねぇ」

「そのうちコンビニ強盗とかも起きるかもしれないな。ウチもヤバそうだ」

「給料安いのに、強盗の相手とかマジ勘弁。そうなったら俺、即行でバイト辞めるし」


 というような事を話していた。


(ふーん、通り魔ね……。まあ、俺には関係のない話だな)


 藤原はそう思いながら商品を買い、コンビニを後にした。

 伊藤の家に到着すると、伊藤は何故か家の外に出ていた。そして藤原を見つけるや否や焦ったように駆けつけてきた。

 藤原は、伊藤の様子がおかしい事に気付き、不思議そうな目で彼を見る。


「どうしたんだ伊藤。そんなに慌てて」

「た、大変だ藤原! 加藤が……加藤が誘拐された!!」

「な、何だって!?」


 伊藤の信じられない発言に対し、藤原は目を丸くする。


「一体何があったって言うんだ! どうしてそんな事に!?」

「さっき、勉強会に誘おうと加藤に電話をかけたんだ。そしたら彼奴、テスト期間中だっていうのにデートしてたみたいで」


 確か、加藤は現在3人の彼女を作っていたと、藤原は記憶していた。要するに3股である。


「それでどうなったんだ」

「しばらく加藤と電話をしていたら、急に向こうから複数人の女の声がしてきたんだ。多分、言い争いをしていたんだと思う。加藤の奴、随分と困惑していたみたいだ。声が凄く震えていたから」

「加藤はなんて言っていたんだ?」

「『ち、違うんだ智恵美! これは決して浮気じゃないんだ!』『奈緒、待ってくれ! 話せばわかる!』『やめてくれ響子! そこにそんなものは入らな……アッーーーーーーー!!!!』……みたいな事を言っていたぜ。それから、しばらく静かになった後、女達が話してたんだ。『このクソ野郎を、富士の樹海に捨ててきてやる』って」

「なるほど」


 藤原は情報を整理する。おそらく加藤は、彼女達に浮気がバレて報復を受けたのだろう。そして加藤を亡き者にするために、彼女達は加藤を富士の樹海に捨てようとしている。


「伊藤。その通話があったのは今からどれくらい前なの?」

「藤原と通話してすぐ後のことだったから、20分くらい前だ」

「そうか。なら急げばまだ間に合うかもしれない。今なら加藤を救える」

「し、しかし、おそらく向こうは車で移動をしている。だがオレ達は高校生だ。免許は無いし、移動手段が……」

「まずは移動手段を考えないとな。後、加藤を助けるにはそれなりの準備が必要だ。どこかで道具を揃えないと」


 こうして、誘拐された加藤を救うための、男達の熱き戦いの幕が開かれた。

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