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OSSAN~おっさんの弟子にされ続ける俺~  作者: 関島
[第一部]Sword of Ossan~剣士のおっさん~
2/8

第一話:浮浪者のおっさん

連載頑張るぞ^^^^^^^^

 ある日、村におっさんが来た。


 髪はだらし無く伸びていて、顔がすっかり隠れている。長いこと洗っていないのか、若干縮れていた。

 格好も小汚いボロの布で出来た衣服を身にまとっているし、どう見ても浮浪者だ。

 村でも数少ない子供だった俺はそう思った。


 よく見ると、腰には質素な見た目をした鞘がぶら下がっていた。

 あれは、なんだろう。剣……?


 よくわからないが、危険なおっさんなのかもしれない。


 しかし、俺は子供だったのも相まって、興味本位でおっさんに近寄ってみた。


 おっさんは俺に気づいて、手を振った。正直あの風体で手を振られても怖いとしか思わなかったが、一応振りかえした。


「何しにきたのおっさん」


「おっさ……マジか、もうそんな……いや、まあ、いいか。坊主、悪いがちょっと頼まれてくれないか?」


「何?」


「ちょいと村の、そうだな、できれば村長さんがいいが、それに近い人だ。役場の人とかでもいい。とにかく、入村の手続きの話がわかる大人を呼んできてくれ」


「タダじゃ嫌だ」


「おお……お前ェさん現金だな……。そうだな、飴でいいか?」


「いやおっさんのは汚そうだからいらない」


「きたな……お前さん失礼なやつだな……じゃあ、何がいいんだ?」


「銅貨5枚」


「ごっ……そんなに出せねえ。2にしてくれ」


「ええ、ケチだなあ。うーん、4枚」


「ぐ、4か……いや、無理だ。2になんねぇか?」


「はあ、じゃ3ね。これ以上はまかんないよ」


「……坊主おめえさん、商人の息子かなんかか?」


「ウチは農家だよ」


「そうか……最近のガキは交渉がうめえんだな……ほら、銅貨3枚」


「わーい。じゃあ呼んでくる」


  俺はおっさんから銅貨3枚をもらった。臨時収入だ。

  コレでお肉が買える。安い肉だけど、今晩のおかずが少し増えると思うと、よだれが出てしまう。


  もらったからにはきっちり仕事はしないといけない。

  俺は親にそう教わってきたから、しっかりこなす。


「汚くてあぶねえおっさんが来た」


  俺は詰所に行き、村の衛士であるジェスにそう告げた。

  何言ってんだこいつ、と言う顔をされたので、無理やり引っ張って外に出すと、ジェスの顔が歪んだ。


「逮捕だな」


  おっさんは捕まった。

  嘘だろ坊主、と言う声が聞こえた気がしたが、俺はすでに晩ご飯のことで頭がいっぱいだった。



 翌日。

 昨晩のおかずに肉が出たので、肉の味を思い出していた。


 おいしかったなあ、なんて思いながら村の入口に行くと、昨日のおっさんがいた。


「あれ、おっさん捕まったんじゃないの」


「おう坊主、昨日はやってくれたなあ!」


「うおっ、何怒ってんだよ……自分の格好見てから言えよおっさん……」


「む……。いや、すまねえ、怒っちゃねえさ」


 むしろ褒めてるんだ。とおっさんは言う。


「金せびった上に連れてくんのが衛士だもんなあ。確かに、俺は怪しいよな。坊主は正しい。よく頭が回ったもんだ」


 ははは、と豪快に笑うおっさん。

 変なおっさんだ、と思っていると、おっさんが何かを布抱えていることに気づいた。


「おっさん、それ何?」


「ん?ああ、コレはイノシシの肉だよ。中に包んである」


「え、おっさんまさか、村から……!おーい!だれかー!」


「ばっきゃろう!!んなわきゃねえだろ!!狩ってきたんだよ!!」


 おっさんは俺の口を慌てて抑える。

 う、くせぇ。

 長年熟成させた豆のような、熟成しすぎた肉のような、とにかくヒトとして最低の匂いがする。

 俺はあわてておっさんの腕を振りほどいて距離を取った。


イノシシ肉を今持ってきている理由も含め、結局どんなやり取りがあったのか聞いてみることにした。


 おっさんいわく、村にはなんでも一つ交渉と承諾を得にきただけらしい。

 定住するつもりは無く、しばらくしたらまたフラフラと何処かに行くんだと。流浪の旅ということで、大陸中を回っているそうだ。

 もちろん、銭がなければ買うものも買えない、と言うところで、流れのハンターも同時にやっているらしい。

 泊まるにも金が無いので野宿することになるのだが、おっさんも自分の見た目がいい印象を与えないことは理解しているそうだ。


 なので、野宿しているおっさんを見ても変な報告でしょっぴかれないように、事前に近くで野宿するぞ、と言う報告をしにきたと。

 その代わりに狩猟を行って、村に比較的安めに納品するとのことだ。

 村にとっては怪しいおっさんが村の外で何をしていようが勝手だし、腕のいいハンターが専属で肉や毛皮を卸してくれるなら万々歳。


 ということで、村公認のおっさんになったということだ。


 手に持っていたイノシシは今朝狩ってバラしたものらしく、これから納品しにいくらしい。

 なんでもお試しということで、とりあえず一頭狩ってきたとのことだった。腰にぶら下げていた刀は伊達じゃないってことか。


 俺はよくわからなかったので、へー、と流し聞きしていた。

 ただ、まあ、怪しいおっさんなのは変わらない。くせえしきたねえし。


「聞けばこの村には今ハンターがいねえって話だ。あんまり新鮮な肉も無かったんだろう。良かったな坊主、これから美味しい肉がたくさん出回るぜ?」


「マジ?おっさんってすげえな」


 俺の中の認識がきたねえおっさんから一気にすげえおっさんになった。

 そうだ、すげえだろ。と笑うおっさん。

 代わり映えの無い毎日に、チョット刺激が生まれた日だった。

3000字以内にしてるんだけどどう?多い?少ない?

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