プロローグ
おっさんシリーズです。
頑張って連載します。
それは寒い冬のことだった。
ある日、村におっさんがきた。
といっても旅人とかではなくて、浮浪者のような風貌だった。小汚えおっさんだった。
村に来たというのも、厳密には村近くの森に住み着いた、というのが正しい。
おっさんはたまに小さい魔物を狩っては村で換金しては、森に戻る。
最初は村人全員が何だあのおっさん、と言う風に邪険にしていた。きたねえしくせえし。
俺は面白そうと言う理由で、おっさんが村に来るたびに声をかけていた。
母親に「あんたあのきたねえおっさんに声かけてんの?マジか。いいじゃん。そういうとこ私の息子っぽいよ」と褒められたのもあって、来るたびに声をかけていた。
話してみれば、気さくで面白いおっさんだった。
気負わなくなった頃に、おっさんぶっちゃけめちゃくちゃ臭いぞ、と伝えると、以降水浴びをしてから来るようになった。
身なりだけは小汚いままだったが。
そういう少しずつおっさん改革をこっそりと進めていると、
当時村にハンターがいなかった、というのもあって徐々におっさんは受け入れられていった。
もちろん、身なりだけは小汚いままだったが。
ある日、おっさんは諸々のお礼に俺に剣を教えてやると言ってきた。
俺は何もしていないけど、なんだか感謝している様子だった。何したっけ。
ただし、教えを受けると決めたら死ぬほど鍛え上げるとも言われた。
俺は当時剣に興味がなかったので、素直に面倒くさいと伝えると、おっさんは「うそん」と弱腰になった。
それからのおっさんは、村に来るたびに剣の良さや、これから必要になってくるとか、モテるとか、あの手この手で俺に剣を教えようとしてきた。
剣が良いとか必要とかモテるとか、小汚いおっさんに言われても説得力がなかった。
けど、あまりにしつこかったので、いいよ、とつい言ってしまった。
「よし、言質取ったからな。今からお前さん家行くぞ。お前さんのおっかあに誓約書書いてもらうから」
「え?」
そこからが地獄の始まりだった。
なんであの時いいよ、と言ってしまったのか、と泣きながら後悔するくらいには。
思えばあれが全ての始まりだった。
一話あたりの文量が難しい。