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第五話「出撃前夜」

説明回です。読み辛いなどありましたらご指摘下さると嬉しいです。

 俺の能力が未来視というチート能力だと判明してから1日経った。

 昨日はこの世界について橋本さんが色々と教えてくれた。


 この国の名前はダルフラン帝国。

 この国は現世でいうオーストラリアの様な形の大陸のど真ん中にあり、これからお世話になるであろう不思議な石、メタビライトを世界で唯一採掘できる土地を持つ。


 メタビライト研究を進めた事により、火に替わる光源や機械の動力源として利用され始めてからというもの、この潤沢なエネルギー資源により帝国は豊かな国へと発展していった。

 また、複数ある隣国へこの資源を主軸に交易を行い、隣国との良好な関係を築き争いとは無縁の平和な世界を作るリーダー的な国にもなった。

 だが、隣国の一つグラバーン王国が交易により溜め込んだメタビライトで様々な兵器の開発を行い、資源そのものを奪おうと攻めて来たのが一年前。


 今ではその国の影響で様々な国が我先にと武器を手に取り今では隣国全て敵国となり四面楚歌というのが現状らしい。


 更には自国からも「争いの元となるメタビライトを放棄せよ」というデモが行われ、平和主義者による反メタビライト団体「大地の親友達」が扇動し各地で暴動を起こしている。

 どこにも平和的なものは見当たらないのだが、彼等にはメタビライト廃止の先に見える平和を疑いもせずその為ならば手段を選ばない。未来の平和の為の殺戮や死などは平和への礎となると考えられいる。

 まるで小説によく出てくる邪教そのものじゃないか。


 俺はこれから近くで起こっているその邪教による暴動の現場に赴きこの鎧の使用感や能力の使い方を覚える様に命じられた。

 あわよくば暴動を沈静化しろ、というサブミッションもおまけで付いているが、こちらが本命なんだろう。

 出撃は明日の様だ。


 現在の情勢や鎧についての説明をあらかた受けた後、カーニャちゃんの研究室で鎧を着装する練習をする事にした。


「ところで、この鎧の元となっているこの黒い液体ってなんなの?」

「あぁ、これはグラバダイトという鉱石を原料に作られたものだ」

「グラバ……?なんか聞いた様な……」

「そう、まだグラバーン王国と仲良くしてた時にメタビライトと交換していたものだ。」


 この鉱石は加工が容易で軽くて頑丈な為、キッチン用品や家具等に使用されていたが、メタビライトから発するエネルギーに反応することが研究によってわかってから一般家庭で使用されていたグラバダイト製品を国が回収してまで、この鎧の様な戦争の道具として使用されることとなった。

 この液状に加工し鎧として纏う事ができる様にしたのはカーニャちゃんが人類初で他の国には無い技術だと可愛く誇られた。


「へぇ、そうなるともう手に入らないんじゃないの?」

「そう、だからこの鎧はかなり貴重だぞ。もし一滴でも零したりしたら家が買えるくらいの値段払ってもらうからな」

「そんなに高いのかこれ……」

「今うちの国にある最後の一瓶だからな。だが、幸い素材は向こうからやってくる」

「向こう?」

「これから向かう戦場は国内の揉め事なんだが、何故だかグラバダイトで加工された武器で武装しているらしい」


 なるほど、国外から謎の協力者がいるって事か。

 犯人はグラバーン王国の者なのはお察しなんだろうか。


「武器を横流ししているグラバーンからの手先を捕まえれば良いの?」

「あ、え? なんでここでグラバーンが出てくるの?」

「えっ? だって大量のグラバダイト持ってるのってグラバーンだけなんでしょ?」

「お前天才か! 確かにその通りだな!」


 まじか、小学生の国語の問題より分かりやすいぞ。研究のし過ぎで頭疲れてるのか?それともこの世界がみんなこの程度なのか?後で橋本さんに聞いてみよう。


「お前にはグラバーン製の武器を大量にとってきてもらおうと思ったが予定変更だ」


 そう言うと仁王立ちして目を瞑り何かを考えている。腕を組んだ事でメロン二つが乗っかり強調されると俺の欲望が爆発して勝手にメタビライズした。


「おー!ヤル気満々だな!」


 カーニャちゃんの口元に僅かに笑みが浮かぶ。

 出会って二日だがなんとなくわかる。きっと俺はこれから無茶振りをされる。


「現場に行って暴動を止めるのは二の次でいいから、武器を横流ししている輩を突き止めて全部頂いてこい!」

「無茶だよ!その横流しの件だって確証ないんだから……」

「……駄目ぇ?」

「うっ!」


 困り顔の上目遣いで見つめられた。

 白衣の襟元から谷間に視線が吸い込まれる!


「駄目、と言うか無理!」

「うぅ〜、お願い!」


 カーニャちゃんってなんかキャラブレてるよな。

 たまに出るロリキャラ何なんだ。どうせならロリキャラで貫いてほしい。


「しょうがないなぁ。……但し、成功したら言う事聞いてもらうよ」


 ぱぁっと天使のような笑顔になる。

 マジ天使。この笑顔の為なら何でもできる。


「は、本当か!? なんでも言ってくれ!」


 俺の股間がメタビライズした。

 決めた!成功の報酬に性交を要求する!

 俺の童貞はこの子に捧げよう!


「で、何して欲しいんだ?」

「帰ってきたら言うよ」

「金の事以外なら何でも言ってくれ!」


 ーー


 るんるん気分で自室に戻る最中橋本さんに会った。


「レイジさん、何やら上機嫌ですねぇ」

「お、橋本さん!ちょっと聞きたいんだけど」

「何でしょう?」

「明日、出撃するとかの敵さんに武器を誰かが流してるの知ってます?」

「あぁ、グラバーンの武器商人との内通者がいるって話ですか?」

「あれ?ご存知でしたか」

「これくらい情報が出ていればすぐ察することができるくらい単純ですからね。先に出た偵察部隊からの情報で既に目星は付いてますよ」

「そ、そうですよね!誰でも気付きますよね……ははは」


 カーニャちゃん……。

 君はアホの子の様だ。


「明日早いのでこれで!おやすみなさい!」


 橋本さんに別れを告げて自室へと戻った。

 明日の初任務、それと同時に童貞を捨てる日だ。

 失敗は許されない。


 この時、俺はカーニャちゃんの依頼を断っておくべきだった。

 この決断が俺の異世界生活をハードモードにする事になるとは思いもしなかった。

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