大うそつき
一体たれなんだ
僕のことを指差して
正直者だと云う渠は
ーー僕にはわかる
渠は嘘つきさーー
指先の淡い色をした爪
鋭利な爪の淡く鈍い桜色が
這般なにも僕を突き刺している
ーー渠はきっとわかってる
僕も自分も嘘つきだってことーー
筆とりて、久しくよろずに歌書きつ
渠のついた嘘のひとひらひとひらを
微細に重箱の隅を穿ってゆく
ーー君やしらん
これは君への呪詛の歌!ーー
聴き給へ!
うたかたの
翡翠のながれ
ほの紅の
花と見紛う
君が言
散りゆく散りなん
嘯きとては
ああ、お腹が空いたのだろう、どうぞ召し上がれ!
光り輝く銀の匙を握りしめているその顫える手
真っ青な爪も若かりし頃そのまま鮮やかに暖めてあげよう
僕のこの歌で きっと君は 暖かく