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お付き合い頂きありがとうございます。
むくれるりこを宥めて、ポテトとシェイクとチョコパイを奢ることでなんとか機嫌をとった。
「チョコパイ~」
おかげて帰りのホームルームでは小さく鼻唄がきこえた。
安いやつ。でも、安いやつでよかった。
本当によかった。
偶然今日も母親が休みでチビたちの迎えがないため、今日のうちにりこをファーストフード店に連れていくことにした。
面倒事は早めに片づけるにかぎる。
日にちがたってごねられたら困るしな。
りこはご機嫌らしい
「りゅうちゃんにチョコパイ一口あげるね」
「あっそ、それはどうも」
ホームルームが終わり、靴を履き替えながらりこは嬉しそうにそう言った。
俺が買うんだっての。
まぁ喜んでいるからいいか。
最近チビたちの面倒をみていない日もお守りをしている気がする。
適当に相手してさくっと帰ろう。
そう心に決めて、校舎を出た。
「田之上くん?」
疑問符こみで呼び止められた。同時にぞくっとした。
野性的な何かで、りこがさっと俺の陰にかくれこむ。
おい!なんでお前隠れるんだよ。
俺が隠れたい。
それで恐る恐る振り返るとやはり如月がいて、また首を傾げている。
「今日でよかった…かな?」
如月はちょっと顔が赤い。照れているようだ。
何に照れるんだ!?
まずい。これはすげぇまずい。
りこが俺の服の裾を引っ張る。
顔をみると期待をするように見上げてくる。
「あー…俺は今日用事あるんだよ。話した友達ってこいつだから、時間あるならちょっと付き合ってやって」
早口でそういうなり、りこの背中をさりげなく如月の方へ押し出す。
如月はりこを視界にいれると、うさんくさくにっこり笑った。
りこは一気に顔を赤くする。俺はげっとする。
あとはお二人で。
「りゅ、りゅうちゃん!一緒にマッコいくんだよね!チョ、チョコパイ食べようって言ってたでしょ」
りこは何故かすがるように俺を見ている。
いや、お前。お前は如月と二人の方が好都合だろ。
二人でチョコパイ食えよ。
「そうなの?じゃぁご一緒してもいいかな?」
「う、うん。りゅうちゃんいいよね?」
おいおいおい。
二人ともえらく気が合ってるじゃないか。
いらっとするが、今にも泣きそうにうるんだ目をするりこをさすがに置いて帰るのは気が引ける。
はぁとため息をついて、しぶしぶ頷いた。
ここまでお付き合いありがとうございます。
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