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ここまでお付き合い頂きありがとうございます。
如月王子の登場です。
「ちょっといいか?」
りこに頼まれて、如月に声をかけるのは憂鬱でしかない。
ファーストフード店から一週間
それとなく様子を伺うが如月はなかなか一人にならず、りこのいう通り同じ女子が周りを固めていた。
過激派というりこの言葉を大袈裟だと思っていたが、確かに威圧感があるな。戦闘力高そうだ。
仕方がなく男子トイレで声をかけることになった。
「えー誰かな?」
無駄にうさんくさい笑顔で振り返る。
「やめろ。へらへらすんな」
演技臭い顔に鳥肌がたつわ。
何が王子だ。首をかしげるな。
「えっとー…」
如月は困った顔をして黙りこんだ。
こいつの話はよく耳にするから本人を知っているような気がしていたが、よく考えれば初対面だな。
「わりぃ。1-4の田之上ってんだ。友達がお前とちょっと話したいらしいんだよ。暇があれば放課後ちょっと付き合えないか?」
「それは僕を殴ったり?」
ちょっと話で殴られたことがあるのか?
いや、まぁあれだけきゃーきゃー言われてたらあるのかもな。
「女だよ。如月のこと知りたいんだとよ」
「えー…そういうのはちょっと」
まぁそうだわな。知らないやつに呼び出されて話したいとか、喜んでほいほい行かないわな。
一応声をかけたし、これくらいで引き下がるか。
俺の役目は十分果たしたはずだ。
それでもりこがごねたらファーストフードの芋でも食わせてなだめよう。
「そうか。なら仕方ないな。そう言ってお
「でも君もいるなら行く」
…は?
「いや、気乗りしないなら無理強いしないぞ。気を使うな」
「せっかくだし、僕は君と話したい。今日の放課後でいい?」
如月はうさんくさい笑顔で笑った。
非常に残念だが俺は話したくはない。
何がせっかくだ。意味がわからない。
俺はくるりと背中を向けると、如月の声には答えず男子トイレを後にした。
安息を求めて教室に飛び込むとりこがそわそわしていた。
「りゅうちゃんどうだった?」
「あれはダメだ」
「えええええ、如月王子忙しいの?日にちがダメって?もうちょっと後でもいいよ?」
「芋おごってやるから諦めろ」
「いやだいやだ!お話したいー」
「そうか、なら自分でいけ」
俺はむりだ。
あの胡散臭いきらきらとはお話したくない。
いまいち話が通じなさそうな所は面倒くさそうなにおいしかしない。
「いやだいやだ!死にたくない」
この日放課後まで恨みがましい目をして時々だだを捏ねるりこに付き合うはめになった。
お読みいただきありがとうございました。