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自由なりこちゃんが私は好きです。
しかし友達だと面倒くさいかもしれません。
立場が変わると好意も変わるもんですね。
では4話もお付き合いください。
くつを履き替えて連れて来られたのは学校から1駅離れたファーストフード店だ。
メニューを選んで席につくなり、りこは口を開いた。
「お願いがあるの。拒否権はない」
「あほか、それはお願いじゃない」
りこは大きな目で俺を睨み付けて、目の前のトレーを指差す。
「おごってあげた!」
「頼んでない」
ポテトのMサイズとチョコシェイクで易々と買収されるほど俺は安くない。
ちなみ俺はバニラ派だ。
勝手に味を決めやがって。
「助けてください」
また目をうるっとさせる。
声を震わせるな。
俺が泣かしてるみたいじゃねぇか。
「泣くな。とりあえず聞くだけ聞いてやる」
落ち着かせようとついその頭をゆっくり撫ぜてやる。
弟妹たちに負けないくらい髪がサラサラだ。
「如月くんと話したいから誘ってください」
「断る!」
思わずテーブル越しに撫でていた手を手刀にかえチョップをくりだす。
「いた!…お願いきいてくれるっていった!」
「話を聞いてやるっていったんだよ、あほ」
「誘うくらいいいのに!如月王子とお話したい!したいしたいしたい」
お話したいってなんだ…あほだ。
「顔を合わせたことのない男に誘われてのこのこついていく野郎はいないだろ…」
俺なら絶対いかない。
見ず知らずの男が話したいからなんて理由なら尚更だ。
「けち」
「ならけちでいいぞ。自分で誘えよ。男が誘いにきたら向こうも変な勘違いするだろ」
「自分でなんて無理だもん」
りこはとたん勢いをなくして、しょんぼりポテトをかじる。
「恥ずかしいとか今更言うなよ」
りこは顔を赤くして。それから青くする。
「恥ずか!…しいのもあるけど…如月王子の周りはファンクラブという過激派組織がいてね、他クラス女子は近づけないんだよ」
「過激派組織だ?」
「如月王子に話しかけたら、あとで呼び出されるんだ。それでね、囲まれて尋問をうけるらしいんだ…」
こわ!なんだその組織
集団女子怖い。
「男の子ならまだ話しかけやすいみたいなの!お願い!」
「なおさら断る!」
お願いじゃねぇよ。
俺は平和で静かな高校生活を送りたいんだよ。
そんな不法地帯に足をつっこめるか。
「りゅうちゃんが言ったんでしょ!よく知らないのに好きになるなって。わたし如月王子のことちゃんと知りたいの」
また目をうるうるさせる。
うわー
あと声でかくて注目あびるからやめてくれ
「知りたくてクラスに見に行っても、王子に話しかけられないし…ただ格好いいだけだし。きゅんきゅんだし、きらきらだし」
「のろけはいい。痛々しい」
俺が言ったから、よく知ろうと時間割を調査したりストーカーまがいのことをやっていたわけか。
あほだ。
あほだが、そういうあほは嫌いじゃない。
はぁとため息をつく。
「うまく行かなくても責任はもてないぞ」
そう告げるとりこはがきんちょみたいにニコニコしだした。
「ありがとう!お礼に残りのポテトあげちゃう」
安い礼だな
冷めたポテトを押し付けられた。不快だ。
とりあえずにっこにこのりこの頭をぐちゃぐちゃにしておく。
お付き合い頂きありがとうございました。
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