原文:どこかの転生者の手記より
首都ヅヴェラクアでは異世界人のもたらした道具が流行っていた。
中流家庭の人間は見栄を張るためだけにそうした、パーソナルコンピュータやカーを買ったりしている。
新聞記者である私も異世界道具のディジタルキャメラが欲しかったわけだが、とても買える値段ではなかったし、なくとも困るわけでもないので無理に買うといったことはなかった。
そういった私はある日、街中を歩いているとき一冊の日記と出会う。
流行りの水槽売りが持っていたその手記は異世界人のもので、大変に面白おかしい冒険活劇が書かれていた。
これを朽ちさせるのは惜しい、と私はそれを世に出すことを決意する。
本来ならば転生者は『力』を得るのだが、神を怒らせたことで『無』力を与えられ手記の主の旅は始まる。
『無』力によって彼はただ1つの呪文も技も習得できず、また他者を『無』力化するなどと言ったことも出来なかった。
それはあくまで自分を無力化するだけだったのだから。
しかし、それでも男は活路を見いだし冒険を始めたのであった。
中流家庭の人間は見栄を張るためだけにそうした、パーソナルコンピュータやカーを買ったりしている。
新聞記者である私も異世界道具のディジタルキャメラが欲しかったわけだが、とても買える値段ではなかったし、なくとも困るわけでもないので無理に買うといったことはなかった。
そういった私はある日、街中を歩いているとき一冊の日記と出会う。
流行りの水槽売りが持っていたその手記は異世界人のもので、大変に面白おかしい冒険活劇が書かれていた。
これを朽ちさせるのは惜しい、と私はそれを世に出すことを決意する。
本来ならば転生者は『力』を得るのだが、神を怒らせたことで『無』力を与えられ手記の主の旅は始まる。
『無』力によって彼はただ1つの呪文も技も習得できず、また他者を『無』力化するなどと言ったことも出来なかった。
それはあくまで自分を無力化するだけだったのだから。
しかし、それでも男は活路を見いだし冒険を始めたのであった。