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フリーナイトマンション  作者: 白桃太郎
10月10日 1日目 マンションの住人
2/7

幼女大家篇 魔女、マンションを紹介する。

 フリーライターがマンションへ突入する数時間前。

 ある女性は、掲示板の書き込みを見ていた。

 その中で一つ、非常にどーでもいい内容の書き込みがあったので紹介する。


『お菓子がある生活について語ります。

まず、私はOOYAと言います。

意味は Okasi(お菓子)Okasi(お菓子)YAhoooooo‼(嬉しい)です。最高の名前だと思ってますし、他の人からは『見た目通りのネーミングセンスだね』とよく言われます。つまり私のびゅーちふるなスタイルにピッタリだという意味です。

そんな私がお菓子との出会いについてお話します。


それは百年前くらいのハロウィンでした。いつも死にそうな顔した人間が魔女の格好をしてある呪文を唱えながら歩いていました。


--トリック オア トリート?


友達に聞くと『死ぬのとお菓子くれるの、どっちがいい?』という意味らしいです。

早速人間に使ってみましたが、お菓子をくれなかったため頭をぶっ飛ばしました。すると周りが叫び声をあげたので私はすぐに魔法でなかったことにしました。

友達には『人前でやるな!』と怒られました。


そして二人目。次は人目につかないところでやりました。

そしたら飴をくれました。カボチャの化け物みたいな飴です。めちゃくちゃ美味しかったです。これが私の楽しみの始まりです。

後にこいつはクズ野郎ということがわかりますあぁ腹立つなぁ。(ここから誹謗中傷の嵐となったため省略する)』


「なんだこれ。あの馬鹿、頭おかしくしたのかしら……あれ?でもコメントついてる」


『コメント1件:ちゃんぷりんさん)OOYAちゃん可愛いよぉはぁはぁはぁはぁ』


「……きもっっ!!」


「……てか、今あいつなにしてんのかな。ちゃんと『魔女の役割』こなしてんのかしら」




--フリーナイトマンション大家 オーヤ(?)



 私はいつも朝の6時に寝て夜の5時に起きる。

 寝る前にはお気に入りの掲示板に書き込みをする。最近コメント欄がキモいけど気にしないことにしている。

 私の美しさに惚れ惚れするのはわかるけど、生憎私だって相手を選びたいんだ。白馬に乗ってなくていいからせめてペガサスくらいには乗っていてほしい。

 あとお菓子を作れる人は優先順位が高い。あんまぁいお菓子。角砂糖千個分くらいのやつ。なおかつ虫歯になりたくないので歯磨きをしてくれる人。

 夢の中でならいくらでもいる。てか、今の私の夢の中はお菓子とハニー(王子様)でいっぱい。

 ひあわしぇ。死んでいい。いや死んだらこんな夢見られないんだ。死にたくない。



 そんな私の眠りは、ドアのノックで消え去った。

 とびっきり最高の夢を見ていたのに……気分が悪い。誰だ。


 気分が悪いので思いっきりドアを(蹴って)開けてやった。

 ちゃんとドアを開けてあげる私は偉い。

 偉いから今日の晩御飯はケーキバイキングにしよう。



 そんなことを考えながら、どんなクズがドアをノックしたのか見ると、そこには鼻を押さえながらうずくまる黒髪でスーツの男がいた。人間だ。

 なぜ人間が?このマンションの住人には、集菓子日以外決してノックしないようにと念入りに言ってあるハズ。

 マンションに来る客もいないし…まさかまた取材人間か?


「いてぇ……あ、どうも、手痛い挨拶をありがとう…………ん?あれ?子供!?」



「誰よあんた?失礼ね!私は百年の時を生きる……魔女様よ!!!」



 ちゃんと挨拶もした。オーヤさん偉い。

 そうなのだ。私はオーヤという名前の魔女。百年の時を生きる絶滅寸前な魔女。

 魔法も使えるし、空も飛べる。

 

 あれ?でもこれって確か人に言ったらだめだったっけ。

  

「わかったわかりました。とりあえず、ここの大家さん……お父さんかお母さんはいる?」「は?大家は私よ」「いや……え?」「だから私だって」「ご冗談を」「殺すわよ」「マジで?」「マジだって」



 気分が悪いのにこの(なかなかイケメン)は更に気分が悪くなることを言う。殺してやろうかしら。

 どうやら私が魔女ということは信じていないようなので一安心だ。

 男は頭をかき、目を泳がせながらため息をつきながら、一言。

「あの……じゃあ……俺をこのマンションに一週間済ませてほしいんだけど……」

「……は?」

 何言ってんのこいつ。見たところ手土産もないみたいだし。ふざけてんのかしら。

 このマンションの家賃がいくら安いからって自分からここに住みたいって人間は…あ、普通にいるけど、でもなんで一週間こんな失礼な人間に部屋を貸さないとダメなの。

 確かに部屋はかなり空いているけどなにか気に食わない。

 てかやばい、糖分不足で死にそう。


「いや、もちろんお菓子……てかジュースは用意した!」

 男は私にコーヒーを渡す。ぬるい。これあれだ、私が仕掛けた金儲け用いたずら自販機のやつじゃないの?

 まさかこいつひっかかったのか。このコーヒーも他から盗んできた物の一つなのに。

 しかもこれ一つしかないの。やばい。こいつやべぇ。


 さすがにキレた。ぶちきれた。



「わったっしっはっ!!!コーヒーがっっ!!!!飲めないんだよ!!!!!」



 ……ツッコミどころ間違えたかも。



--それから数時間後。彼は私に大量のお菓子を持ってきた。

 ちょっと悩んでしまう。でも私は軽い女じゃないんだし……

 あ、でもこれ最近発売の亡霊ウオッチングだ。しかも激レアじゃん。

 仕方ない。一週間だけ貸そう。それでさっさとこの場を終わらせてお菓子食ってねよう。

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