破滅の力(さとうきび)
「目覚めよ、我が持ち主よ」
長門EXの声で目を覚ますと、そこは不思議の町でした。
いや、ただの何もない真っ白な空間だった。そこに俺と長門EXだけが居た。
何これwwwwwwさとうきびとニートの異色のコラボレーションってwwwwwwwwニートfeatさとうきび的なwwwwwwww
「我を扱うためには、もう一人の貴様を倒して貰わねばならない。お前の対になる存在、お前の中の闇を司る存在」
なんだイエローハットwwwwwこの厨設定wwwww
「いでよ!! もう一人の細山正!!WRYYYYYYYYYYYYY!!」
いや、細川ですが。
真っ白な空間の床からいきなり爆発が起き、その中から一つの物体が飛び上がった。
もう一人の俺だと!? まさかめっちゃ真っ白で腹黒いやつが出てくるんじゃないのか……。
そいつは、俺の前に勢いよく降り立った。
白い着物から覗かせるダイヤのような筋肉、凶悪なドレッドヘアーによく似合うサングラス。その背中にはさとうきびが一本差してあった。
「中山・T・アンソニーデスターイ!!」
俺の要素が見当たらねぇwwwwwwwwwwwどうみてもスピーディー・ワンダーじゃねぇかwwwwwww
アンソニーの登場に驚き、慌てふためく俺の手元にネギが現れた。
「それは下級ニートに与えられる名も無きネギ、『長政柚解影・村政ノ太刀』」
めっちゃ凝った名前つけられとるがなwwwwwwwww
「さぁ、その長政柚………ゆ、ゆ、…………そのネギでもう一人の貴様を倒し我に力を示せ!!」
もう突っ込み所多すぎて嫌wwwwwwwwwwwwww
しかしこんな金丸くんみたいな黒人どうやって倒せばいいんだよ?
とりあえず手元のネギを確認してみる。形状的には前と同じ奴みたいだ。俺はネギの電源を入れようと、電源のあるネギの横辺りを探った。
そこで違和感を覚えた。
(・∀・)アレッ?
ちょwwww
えっ?
これってまさか……?
どうみてもただのリアルネギです。本当にありがとうございました。
「にぃぎゃああああああ!!」
俺は走って逃げ出した。この時俺の脳内ではとっさに、しばらく走って逃げてればなんか上手い感じで宇理炎が手元に現れるだろうという安直的な考えがよぎったから。
しかし、現実は甘くなかった。
「イツマデモタラタラニゲテナイデオナワニツイテクダサーイ。この人間の屑が」
最後に流暢な日本語が聞こえましたがwwwwwwww
アンソニーは、俺の前に周りこみさとうきびをおもいっきり振り下ろした。
あかん。あのさとうきびは多分カスタムされた最悪のさとうきび……当たったら死ぬ!!
俺はとっさに横に跳んで避けた。訓練の成果にかんぱぁあああああいッ!!
ファサ!
さとうきびが床に叩きつけられ、鈍い音がす……しない。すごく軽い音がした。
( ゜д゜)
(⊃д⊂)ゴシゴシ
( ゜д゜)……
うん。
あっちもただのさとうきびwwwwwwwwwww
「アンソニー覚悟じゃああああああああああッツ!!!!」
俺はネギを構え、さながら敵陣に単騎で切り込む大阪夏の陣真田幸村スタイルで敵に突っ込んだ。
アンソニーのさとうきびが俺の頬を掠める。
リーチが広い……ッ!
俺は身をかがめて防ぐ。そしてがら空きのアンソニーの土手っ腹にネギを喰らわす。しかし相手もとっさに後ろに飛び跳ねることにより、クリーンヒットは避けたようだ。
なかなかの手練れだなこいつ。
この戦い、長引けば俺が明らかに分が悪い……。俺は次の一撃で大胆かつ豪快な一撃をアンソニーに喰らわすしかない。
狙うのはあそこしかないな。
ああ、そうだ。
キャン玉だ。
あそこだけにwwwwwwww
いくら屈強な肉体を持っているとは言え、あそこの作りだけは世界中の男達共通してマシュマロばりのデリケートさだからな。
待てよ。
そんなセコいことで勝つのがアンソニーに勝つってことなのか?
アンソニーに勝つ
技術で勝つ……
頭脳で勝つ……
どれも違う……ッッ!!
腕力で……
真正面から……
逃げずに……
やばい、燃えてきた。
俺はネギを地面に投げ捨て、悠然とアンソニーに歩み寄った。
「アンソニー、お互い小細工はやめないか? 男だったら素手でドンパチしようじゃねぇか」
「ナニヲイッテルンデスカー?」
アンソニーはただ苦笑いするしかなかったと思うよ。
だってつい先月まで握力16kgしかなかったニートに真っ正面から打ち合いを申し込まれたんだもの。
「OK僕ジョーデス。コッパミジンニシテアゲマスヨ」
アンソニーは遠くへさとうきびを投げ捨て、余裕顔で指の関節をボキボキ慣らし始めた。
俺は軽く拳を握って構え、アンソニーと対峙した。俺の中で鼓動が高まっているのを感じる。
「小細工無用。これに反したら命で代償を支払う。文句はないな?」
アンソニーは、下を向いていたが、馬鹿みたいに笑い出した。
「タダノニートダトオモッテマシタガクールガイジャナイデスカ?」
アンソニーはそう言いながらおもっいっきり右腕を後ろに引いた。右ストレートが来るっ!! 俺はとっさに、
アンソニーのキャン玉を蹴り上げた。
「ピィギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!フクラァハァギィ……」
アンソニーは犬屍人ばりに絶叫しながら地面に崩れ落ちた。
ククク……どうだ。女性にはわからない、あの下腹部辺りがなんかどうしようもない痛みに襲われるその感じは……。
俺は不敵に笑みを浮かべながらアンソニーが投げ捨てたさとうきびを拾いに行き、再びアンソニーの元に戻った。
そしてさとうきびを天高くかざし、足元でのたうち回るアンソニーを見下ろした。
「オマエヤクソクヤブリヤガリマシタナ……コザイクシナイッテ」
アンソニーの情けない恨み節がかすれた声で吐き出された。
「小細工をしない?フフフ……ククク……フハハハハハハハハハハ!!」
俺は不気味に笑い、アンソニーに言ってやった。
「そんなこと言ってないしwwwwwwwいつ言った俺?wwwwwwwねぇ、いつwwwww何時何分何秒?地球が何回回った?wwwwwwwwww」
俺の高笑いだけが、この不自然な空間にこだまする。
「あえて言おう」
俺は強く握ったさとうきびをあそこを押さえて悶えるアンソニーに冷酷に振り下ろした。
「ニートであると」
この勝負、俺の完全勝利。
「おい、長門!! もう一人の俺は完全に倒してやったぜwwwwwこれでお前は俺のもんだ」
俺は失神したアンソニーの顔を踏みつけながら、宙に浮く長門EXに雄弁に語りかけた。
しかし、長門EXは何の反応も示さない。俺は不審に思い、アンソニーから足をどけ長門EXに近づく。
「おい、なんとか言えよ? まさか、故障してんのか……」
ゾクッッッ!!!!
背後からとんでもない殺気を感じ、俺はもの凄い速さで振り返る。
なんだ、この不気味な感じ……?
俺が身に見えない恐怖を感じていると機械的な長門EXの声がする。
「バイオハザードのGが死に値するダメージを引き金に進化するように、タイラントがマグマみたいのに落っこちてスーパタイラントになるように、スタオーシャン2のガブリエルが真・ガブリエルになるように、オルゴデミーラが四回変身するように、ボスってのは一回じゃ終わらない。だってお約束だもの。みつを」
長門EXが語り終わると、打ちのめしたはずのアンソニーがゆらりと立ち上がった。あれほど筋肉質だったアンソニーの体がげっそりとやせ細っている。
なんだ……この津波がくる前のような静けさは?
アンソニーはゆっくりと両手を体の横で広げる。
「初めて敵に会えた……いい試合をしよう」
ちょwwwwwおまwwwwwそれってwwwwwてか片言設定はどこにwwww
「うるぁああああああああああああああああああああああ!!」
アンソニーは絶叫と共に光と真空の衝撃波を己から放出した。その衝撃波に吹き飛ばされながら思った。
俺、なんでこんな事してん?
眩い緑色の閃光が俺の視界を遮る。
一体何が起こってる!?
依然アンソニーの姿は爆炎と光の柱に包まれ確認することができない。
恐らく今度のアンソニー第二形態は並みの力じゃ太刀打ちできない。恐らくキャン玉蹴り上げたって効かないだろう。
こちらの手元にあるのは、さとうきび。近くにはネギ。俺は額から脂汗が滲み出るのがわかった。
死んだかもわかんないぞコレは。
しかし、今更嘆いた所で変わらない。俺は以下にしてこの絶望的な状況をぬけ切れるか考えなければならない。
フフフ……。
そうだった……俺は、俺はこういう状況でこそ萌える男だったはずだ!!
俺はさとうきびを強く両手で握り締め、絶叫しながらアンソニーに突っ込んだ。
「うるぁああああああああああああああッッッ!!」
先手必勝ッッッ!!
もう光とか爆炎とかそんなの関係ナーイツwwwwwwwww
俺は、変身中で無抵抗なやせ細ったアンソニーをガッシガッシに、みっくみくにしてやった。
「死ね、ボケ、バカァァッッッ!!」
ドガ、ガス、ボキャア、ベキャア!!
多分10分ぐらい叩きつけてたと思う。他にも殴る蹴るなどの暴行を加えた。
アンソニーはもうボロボロだった。まさしくボロ雑巾。
最後に地面に伏しているアンソニーは力を振り絞って俺の足を掴み、こう言った。
「あかんやん……変身とかさ、待たなあかんやん? 敵としてのさ、エチケットもあるやん? それはさ、業界内における暗黙の了解でもあるわけだし……」
「エチケット? ハッチポッチステーションに出てきたエチケットじいさんのことか?」
アンソニーは泡を吹いて気絶した。
勝った……。
「おっ、お兄ちゃん合格だよ」
イエローハットの無邪気な笑い声で気がついた俺は飛び上がった。
どうやらいつの間にやら気を失っていたようだ。なんだか頭が痛いな……。
そう思って俺は何気なく頭のてっぺんの部分を軽くなでてみる。
あれ? なんかささってる……。
よく確認すると、なんかふっといコードが頭に一本ささってました。
コードの元を目で辿ってみると、案の定宙にふわふわ浮いてる長門EXの野郎から出てる。
「おい、イエローハット! ボケ! 一体これはどういうこっちゃねん!!」
俺はなんか一連のいろんな不満を集めてイエローハットに放った。強がりの裏の嘘も放った、ぶちまけた。
しかしイエローハットはなんの悪びれる様子もなく、無邪気に言った。
「ネギネギン・長門EXはただの兵器じゃない。自分で自分の持ち主を擬似現実空間で持ち主にふさわしいかテストするように僕がプログラムしてあるんだ。そして持ち主を長門EXが認識したらその人でしか作動できなくなる。強大な力を持つがゆえの仕方ない設定なんだ。……まさかお兄ちゃんが長門EXの試練を突破するとは思わなかったけど……とにかくおめでとう」
最初からこいつは俺が死ぬ予定でいたのかwwwwwwww
ちょっとイエローハットに月に変わってお仕置きしてやろうかと首ねっこを掴もうとしたら、長門EXが叫びながら飛んで来た。
「ご主人様ァアアアアアアア!!WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY」
頼むから基本的な設計からやり直せwwwwwwww
俺はこうしてまたなんか新たな強大で奇妙な力を手に入れてしまったわけで……。




