新発見
勉強に集中していた優佳であったが、ご主人様がコンコンと2回ノックする音には反射的に「はい、ただいま」と返答せざるをえなかった。急いで立ちあがり、ドアへと足を急がせた。そしてドアを開けて、どこか顔の赤いご主人様を見て不思議そうに伺うのであった。
「何でございま・・・」
もしや本当に風邪でも引いてしまったのかと思った優しい優佳であったが、何気なく下の方へと視線を移すなり、パッと彼女も顔を赤らめてしまったのであった。慎也は優佳が見慣れている様子ではないことにご満悦のようであった。
優佳もいきなりこんなものを見せられて、たまったものではないだろう。やはり初めて見た優佳にとってはグロテスクな物体でしかなかった。先ほど慎也は“何気なく”と考えてはいたが、これから初めて女性に見せるのだと意識するとムクムクと張り切るのも仕方がないことであった。
「あ、あの、慎也様、出ています」
一向に慎也を見ようともせず、壁の方を見つめながら恥ずかしそうに言った。彼女の言葉に誘発されて、ご機嫌になってからかい始めるのであった。
「何が?何が出てる?」
優佳が顔をそらしていたのは幸いであった。その時の慎也の顔を見ればさすがの彼女でもたまらず気を失っていたであろう。それほどまでに慎也の顔は汚らしく、醜い顔になっていたのだ。
「あの…あれです…あの…」
何を言えずにもじもじとしている優佳に興奮したのも確かであるが、慎也はいつまでも顔をそらしていることにご立腹であった。たるんだ顔をしかめて言ったのだった。
「ご主人様が問いかけているのだ。こちらに顔を向けろ」
興奮のせいか饒舌の慎也に促され、なんとか下の方には目をやらないようにして慎也の方に顔を向けた。その時、である。慎也は新しい性癖を発掘された気分であった。優佳の美しい顔には恥ずかしさだけでなく、戸惑ったようでありながら、それでいてかつほんの僅かの好奇心もありそうで、とにかく色々な感情を混ぜ合わせたような色が浮かんでいたのだった。そんな彼女の顔をみた瞬間、慎也は例の妄想に引けを取らない、もしくはそれ以上の興奮を覚えたのであった。
あまりの興奮で、慎也の脳はそれ以上何も考えることができず、目も虚ろになりながら、トボトボと自分の部屋に向かって歩き出すのであった。優佳も優佳で、あまりに現実離れしたこの数分間の出来事を上手く飲み込めないでいた。不親切なご主人のせいでドアの付近で一人残されたまま、石像のように微動だに動くことができなかったのであった。
物語も佳境・・・のはず
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