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夏のホラー2025 水の章

「水」――それは清らかで、美しく、生命に不可欠なもの。

けれど、人がそれを尊ぶのは、恐れているからだ。

透き通るその奥には、
誰のものとも知れない願いが沈み、
言葉にならぬ声がゆっくりと渦を巻く。

神が宿る。

だからこそ水は、時に命を奪い、
また時に、記憶を溶かして流していく。

民俗学の視点から見ても、水にまつわる民話や伝承は枚挙に暇がない。
蹴裂伝説、竜の小太郎や黒姫に代表される龍神伝承──
池や沼が神の依代として祀られるのもまた、日本各地に散見される風景だ。

神代の昔、イザナギとイザナミが天沼矛を用いて大海を掻き回し、
滴る雫から大八洲を生んだのも、原初の水の物語。
やがて呪われたヒルコを水へ流し去り、
黄泉から戻ったイザナギが川で禊を行い身を清めたのもまた、水である。

因幡の白兎が傷ついた身を真水で洗い癒やした話は、
古事記を通じてなお人々の心に残る。

水は、縄文から弥生へと移り変わる過程で、
稲作とともに人の暮らしを根底から変えた。
それは単なる資源を超え、命を宿す神聖なものとして、
あるいは祟りや浄めの力を秘めるものとして畏れ敬われてきたに違いない。
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