透析センターで回診
山田の丘総合病院の透析センターの機械の低い唸り声が、規則正しく刻まれる時間を知らせるように響く中、小澤医師は白衣の袖を軽く整えながら、透析患者たちのベッドへと足を運んだ。
「おはようございます、小澤先生」
と、明るい声が彼を迎えた。奈津子看護師だった。彼女はいつも笑顔を絶やさず、患者たちだけでなくスタッフにとっても癒しの存在だった。
「おはよう、奈津子さん。今日もよろしくお願いします」
と小澤医師はデレデレしながら応えた。彼は奈津子の笑顔にほっとしながら、一緒に回診を始めた。
奈津子看護師はニコニコしながら、50代の男性患者の関口さんに、
「関口さんおはようございます」
「なっちゃん!今日もかわいいですね」
と関口さんがニコやかに言う。
隣に奈津子看護師があるのでデレデレしながら小澤医師の問診。
「関口さん具合はどうですか?」
関口さんは
「先生のお陰で何ともないです」
小澤医師は関口さんの元気そうな様子に安心しつつ、カルテを確認しながら丁寧に尋ねた。
「それは良かったです。何か気になることや困っていることはありませんか?」
関口さんは少し考えてから、
「いや、特にはないです。でも、もう少し運動ができるようになればなぁと思ってます」
と答えた。小澤医師は頷きながら、
「わかりました。少しずつ体力をつけていけるようにしましょう。透析の合間にできる簡単な運動について、理学療法士の方とも相談してみますね」
と声をかけた。
そのやり取りを見守っていた奈津子看護師も、関口さんに優しく微笑みかけながら、
「関口さん、無理はしないでくださいね。でも、少しずつできることを増やしていきましょう!」
と励ましました。関口さんは満足げに頷き、感謝の気持ちを込めて、
「ありがとう、なっちゃん。君たちがいるから頑張れるよ」
と返した。
その後も、小澤医師と奈津子看護師は協力しながら、他の患者たちの診察を続けた。それぞれの患者に寄り添い、丁寧に話を聞くその姿は、透析センターの温かい雰囲気を作り出していた。
回診が進むにつれ、小澤医師は奈津子が患者一人ひとりに対して見せる心配りに感心していた。彼女の手際は見事で、患者の状態を的確に把握し、必要なケアをすぐに提供している。小澤医師は、その姿に自然と微笑みを浮かべることが多くなった。
「先生、こちらの患者さんは少し血圧が低いようです」と奈津子が報告する。
「そうですね、確認してみましょう」と小澤医師は彼女の意見に耳を傾け、慎重にモニターを覗き込んだ。彼の集中力は高まっていたが、心のどこかで奈津子の存在を意識している自分に気づいていた。