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第3話 無詠唱魔法と旅立ち

ガヤガヤガヤ……


レイン「やっぱりこの街はいい魔陽光が出ていますねぇ」


バハドーラ「ホッホッホ、そりゃこのぐらい大きな街になると街の雇うあまづくりも上級魔法使いじゃろうからな」


レイン達は旅に必要な物を揃えるため、ガロント地方の北にある都デグトット、その中心部にあるデクノーツ街に訪れていた。


アクセサリー商人「このルナクリスタルで作られた美しいアクセサリーお兄さん、絶対似合うよ~」


流石に都だけあってバザーには押し潰されんばかりの熱気と活気が溢れかえっていた。


果物屋「ねぇ!そこのお兄さん!ウチの果物は安くて美味しいよぉ、ひとつ買って行かないかい」


レイン「お、レルグの実だ、珍しい」


バハドーラ「懐かしいのぉ、若い頃はよく食べたわい」


レイン「よし、おばちゃん、このレルグの実を2つ下さい」


果物屋「ハイよ!この蒸しモモ栗もおまけしといたげる」


レイン「やった!ありがとうございます!」


レインとバハドーラは買ったレルグの実を食べながらある店を探していた。


レイン「師匠、旅に必要な魔法使い用のローブを売ってるいい店の心当たりあるんですか?」


バハドーラ「確かこの辺りだったような……」


レイン「でも師匠、ここ街の路地裏ですよ…」


バハドーラ「…! 見付けた、」


師匠はそう言うと壁に描かれた猫の落書きに

魔法で文字を書いた。


レイン「ワ…ン?」


レイン(猫なのに?それ以前にどういう意味だ?)


レインは顔に謎を浮かべて師匠を見ていた。


バハドーラ「まぁ見とれって」


そうすると魔法で書いたワンという文字が猫の落書きにスッ…と吸い込まれた。

その時……


ガガガガガガゴガゴゴゴゴゴ………


レイン「な、なんだ!?」


辺りが揺れ始めたと思うとさっき通って来た道が地下への隠し通路になっていた。

師匠は自信満々で言った


バハドーラ「ここが街1番、いや世界1の魔法ローブ専門店じゃ!」


レインは圧倒されつつ師匠の後について行った


「キャッキャッキャッキャッ 客だっ!客だ!」


レイン「わぁッ!首だけ人形が喋った!?」


店の中にはそこらじゅうに首だけ人形がぶら下げられており不気味な雰囲気が漂っていた。


バハドーラ「奥に居るかもしれないな、これは」


師匠はそう言うと首だけ人形を引っ張った。

すると首だけ人形がつんざく声で泣き出した。

「キィィィィィィィィィィッ」


???「オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛お?、誰だ!?敵襲か!?」


バハドーラ「俺だよ、ルーク兄ちゃんドーラだよ」


ルーク「ん?……」


その店の店主だと思われる老人は奇妙なレンズ越しに師匠を見て、


ルーク「おぉ!ドーラじゃねぇか、久しぶりだなぁ!兄弟!」


レイン(師匠が兄ちゃんって言ったからもしかしてと思ったけど師匠のお兄さんだったのか!)


ルーク「お前ちっとも顔出さねぇなと思ったら今回はなんの用事で来たんだ?」


バハドーラ「今回は俺の用事じゃねぇんだ」


すると師匠の兄のルークさんがレインをじーッと奇妙なレンズで眺め出した。


ルーク「この若造……ッ!ドーラ!まさかコイツあの試験を突破したのか!?」


バハドーラ「そうなんだよ兄ちゃん」


レイン(あの試験?最終試験のことだろうか……でも何故その事を知ってるんだ?)


ルークさんはレインのもとに行き肩を叩いてこう言った。


ルーク「なかなか見込みのある若造じゃねぇか、久しぶりに見たぜこんな若い無詠唱魔法師は!」


レイン(無詠唱魔法師?なんの事だ?)


レイン「あのぉ、無詠唱魔法師って何ですか?」


ルーク「!?ドーラ、おめぇなんも話してねぇのか!」


バハドーラ「本当は自分で気付いてモノにしてほしかったのじゃが」


師匠は仕方ないといったふうに話し出した。


バハドーラ「レイン、お前はあの最終試験で大地と一体になったはずじゃ、あの草原をつくり出すのに詠唱は使わなかったな、」


レイン「そういえば大地と一体になって眠ちゃったから気付かなかったけど僕は詠唱していなかった」


バハドーラ「そう、そして既にお主の身体は変わりつつある、現時点でも少しなら無詠唱で魔法が扱えるはずじゃ…」


レイン「でも、僕の体力じゃそんなすごい力は扱えないんじゃ…」


ルーク「無詠唱魔法師が他の魔法使いと比べ圧倒的な上位の格を持つのには大きな訳がある」


バハドーラ「もう一度あの最終試験を思い出すのじゃ、お前はあの枯渇した魔力の中でさらに上位の魔法を使った、本来なら1歩も動けなくなるはずではないか?」


レイン(確かに僕は目覚めた後、すんなりと起き上がる事が出来た、でも……)


ルーク「媒体が違うんじゃよ、正確には媒体が体力だけじゃないんじゃ」


レインは頭の中が整理出来ずに混乱していた。といっても媒体が体力の他に存在するなんて話は本の中の絵空事だと思っていた訳で世の中には全く出回ってない情報だからだ。


ルーク「無詠唱魔法師は大地本来の記憶を魔力として受け取ることが出来る、と言っても無限に魔法が使える訳では無い、確かに使える魔力量は増えるが大地の魔力を受け取る受け皿は自らの体力を媒体にしたものでなくてはならないのじゃ」


レイン「と、とりあえず基礎の鍛錬を忘れないようにすれば良いんですね!」


バハドーラ「お前本当に分かっとる?」


レイン「多分わかりました!」


ルークさんと師匠は兄弟揃ってやれやれってふうな顔をした。


バハドーラ「そうだ、兄ちゃん、本題を忘れとった」


ルーク「そうだったな、ウチに来たって事はローブを買いにきたのか?」


バハドーラ「そんなところだよ、旅に出るこの子に合うローブを頼みたい」


ルーク「よし、分かった!」


そうするとルークさんは店の奥に行って僕に合うローブを探し始めた。


ルーク「なんたって無詠唱魔法師だからなぁ……あっ!こいつぁいい!!」


ルークさんはそう言うと奥から廃れたローブを引っ張り出してきた。


レイン「こ…れ、ですか?」


バハドーラ「こりゃフローズリザードの毛で編んだローブだな」


レイン「フローズリザード?」


ルーク「フローズリザードの毛は魔力受け流す力があってな、旅するなら尚更危険から身を護るのに適してると思ってな」


レイン「でもこのローブもうボロボロですよ…」


ルークさんはにっこりと笑ってこう言った。


ルーク「もちろんこのまま売ったりはしないよ、」


ルークさんは杖を持つと、


ルーク「古び汚れたその物を新に戻せ、ニューズ!」


パーッ(光に包まれる)


するとそこにはまるで新品のいかしたローブがあった。


バハドーラ「じゃあ、それ貰うよ兄ちゃん」


レイン(これを着て旅に出るのかぁ、なんかそれっぽくなってきた!)


レインの心の中はウキウキだった。


ルーク「また来いよー」


そして僕と師匠は店を後にし、気付けばお昼になっていた。


お昼休憩も兼ねてレイン達はベンチに座り果物屋のおまけで貰った蒸しモモ栗を食べていた。


モグ モグ


レイン「師匠、無詠唱魔法ってどうやってコントロールすればいいんですかね?」


バハドーラ「レイン、お前は出来る子じゃ、その答えもいつか自分で見付けられるじゃろう」


レインは少しムスッとしながらも認められている事を再確認して微笑んだ。


お昼休憩を終えたレイン達はお店に寄って保存食と旅で必要になりそうな必需品を嵩張らない程度に買い集めるとマムト町に戻ってきた。


レイン「町の皆にも挨拶しないとな……」


バハドーラ「挨拶はお前1人で行ってきなさい、わしは先に家に帰っておるから」


そうして師匠とは一旦別れて町の皆に挨拶に回った。最後の家はルーチェのとこか…


レイン「ルーチェーっ、ルーチェ居るー?」


ドッドッドッドッドッ


階段を急いで降りる音がする。


ガラガラ


ルーチェが急いだ様子でガラス戸を開けて出てきた。


ルーチェ「レインじゃん、どうしたの?」


レイン「僕、修行の旅に出ることになったから……お別れ言いに来た…」


ルーチェの反応は僕が予想してないものだった


ルーチェは大泣きしながら言った。


ルーチェ「…レインっていつも突然だよね……私がどんな思いかもしらないで……心配だよ…」


レイン「ごめん、ルーチェ……これは師匠と僕の夢を叶えるために必要な旅だから……」


ルーチェは堪えていた気持ちを爆発させた。


ルーチェ「 私! レインの事 大好きだからっ!夢叶えたら絶対帰ってきてよね!」


そう言うとルーチェは、家の中に駆け込んで行った。


レインはあまりの衝撃にポカーンと立ち尽くしたまま頬を赤らめた。


帰り道ルーチェの事を考えながら我が家に帰宅した。


ガチャ


バハドーラ「おぉ、レイン帰ったか」


レイン「師匠ただいま~」


台所からは懐かしく美味しそうな匂いが漂っている。


レイン「師匠!もしかして今日の晩飯って、」


バハドーラ「わし特製の餅兎鍋じゃ」


レインは初めてこの家に来た時の事を思い出していた。


幼少レイン「おじさん、この家広いね!」


バハドーラ「こらこら、はしゃぎすぎると危ないぞ」


ドタドタバタッ(走りってコケた音)


幼少レイン「うッうッ、ぐ~~」


バハドーラ「ほら、お腹空いただろ今から特製の餅兎鍋を作ってやるから待ってろ」


あの時の餅兎鍋の味は今でも覚えている。


レイン(何より師匠唯一の料理レパートリーだから小さい頃は何日も続いて食べてたっけ)


始まりの餅兎鍋を旅立ちの前日に食べるなんて

師匠は案外ロマンチストだと内心思ったレインだった。


ほわほわ~(餅兎鍋から出る湯気)


レイン「美味しそうですね!師匠!」


バハドーラ「レインよ!胃袋はち切れるまで食べようぞ!」


レイン達は懐かし話や笑い話をしながら師匠と2人最後の食卓を囲んだ。



朝方………


レイン(いつもは起きている時間だが師匠はまだ寝ているみたいだ……)


出発の時間がやってきた。


よしっ!


レイン「師匠!今まで大変お世話になりましたっ!」


レインは、必死に涙を堪えて我が家を後にした


最初の目的地はマムト町の東門から抜けた先にある幻惑の砂地をさらに抜けた場所のグクテト村を目指そうと思う


レインはルーチェの家の、サクラ商店前を通って東門へ向かった。


いざ東門に着くとグッとこの町での思い出が蘇った。


レイン(僕は何を戸惑ってるんだ!強くいるって決めたじゃないか!)


その時、


タッタッタッタッ(走って来る音)


ルーチェ「絶対にぃ!踏みとどまんなー!行けぇーーッ!」


レイン(…!)


ルーチェのその後押しされたレインは振り返ること無く歩き始めた。


レイン(絶対に最高のあまずくりになって

帰ってくるからまたそれまで………)

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