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あなたとの夫婦関係は、とっくの昔に諦めていますのでどうぞご自由に~「どうしておまえみたいなくだらない女と結婚したんだろう?」が口癖の夫に、断罪という答えを叩きつけてやった~

「ああ、くそっ! おれは、どうしておまえみたいな女と結婚したんだ?」


 二十年以上連れ添った夫は、今日もまた嘆き悲しんでいる。


 それこそ、この世の終わりがやって来たような勢いで。


 わたしは、ただそれをきいている。ただそれを見ている。


「お前みたいなくだらない女と結婚したのが、おれの不幸の始まりだった。おれの人生の挫折の原因だ」


 夫の慟哭まがいの叫びは、とどまることを知らない。


 わたしは、いつもそれをだまってきいている。反論も同意もなにもせず、静かに見守っている。


 訂正。これまでは、そうしてきた。


 これまでは、いつも黙ってきいていた。静かに見守っていた。


 そう。これまでは……。いままでは……。今日にいたるまでは……。たったいままでは……。



「あなた。あなたのその問いは、そっくりそのままお返ししますわ」


 にこやかに告げた。この二十年ですっかり老け込んだ顔に全力の笑みを浮かべて。


「な、なんだって?」


 夫は、これまでと違うわたしの様子に驚いた。その証拠にわたしを見た。


 わたしをいっさい見ることのなかった彼が、やっとわたしを見たのだ。


「わたしは、どうしてあなたみたいなろくでなしでクズでバカで人でなしと結婚したのかしら?」


 彼をあらわすそのものずばりの言葉が多かったような気がするけれど、気にしない気にしない。


「な、なんだって?」


 夫は、バカみたいに繰り返した。まぁ、実際バカなんだけど。


「でも、おたがいに結婚したときには結婚した理由はあったのよ。もっとも、あなたはそんな理由は覚えていないでしょうけれど。いずれにせよ、おたがいにたいする愛やそれ以外の何かしらの情によるものではなかった。若かったというのもあったのかもしれない」

「い、いったい、どうしたんだ?」


 夫は、様子の違うわたしに驚いている。


「あなたには、わからないのかしらね? あなた自身の絶望に終止符を打つ為に、わざわざあなたの疑問に答えてあげているのよ」

「おいおい、なにをエラそうなことを言っているんだ? くだらない存在のおまえが、いったい何様のつもりだ?」


 夫は、やっといつもとは違うこの状況に我に返った。そして、キレかけている。


「おれがいなければ、おまえはなにひとつ出来ない臆病者だ。だったら、おれの絶望に終止符を打とうじゃないか。おまえの言う通りな。この屋敷から出て行け。すぐにでも出て行き、身の程を知るといい」


 彼は、いつものようにあらゆる暴力で以てわたしを支配しようとした。


 つまり、わたしを殴るか平手打ちするかしようと近づいてきた。


「どうした? 夫を蔑ろにする出来の悪い妻には、バツが必要だ。だろう?」


 夫のいまだそこそこの顔は、いまや狂気に歪んでいる。


(都合のいいときだけ自分は夫で、わたしは妻。いつもそう。もっとも、それもこれまでは、だけど)


 夫の右手が勢いよく天井に向って上がった。


 ブラッドショー男爵家のエントランスは、エントランスというにはみすぼらしすぎる。


 それでも、嫁いできたその日からずっと掃除は欠かさなかった。なけなしの庭で育てた花々で飾り立て、出来るだけ清潔で清楚な空間にしてきたつもりである。


 エントランスだけではない。


 ブラッドショー男爵家の屋敷内すべての場所を、そうしてきたつもりである。


 家族が住みやすい場所、居心地がよく癒される空間を目指し、出来うるかぎりの工夫を凝らし、保ってきた。


 夫は、そんなことは何ひとつ気がつくことはなかったけれど。


 その夫の拳は、いつものようにわたしの頬を、あるいは体のどこかを殴ろうと握りしめられている。


(殴られるということは、肩か腕かしら?)


 夫はバカだけれど、そういう意味では悪知恵が働く。彼は、見える部分には痣が残らぬようちゃんと考えている。


 平手打ちなら頬を、拳なら体のどこかを、というように。


 反射的に瞼を閉じそうになった。


 が、今日はいままでとは違う。


 いままでとは違い、閉じそうになる瞼を必死に開けたままにした。


 わたしの黒い瞳は、すぐ目の前にいる夫の姿を映し出しているはず。


 いままさに拳が降り下ろされるというその瞬間、玄関扉が音高く開いた。それこそ、扉がふっ飛んだのではないかというほど大きな音を立てて。


 驚く暇もない。


 エントランスに兵士たちが入ってきた。


 具体的には、近衛兵たちである。


 近衛兵の衛兵服は、赤と黒を基調にしていてとてもカッコいい。


「貴様がクソ野郎か? おっと失礼。ろくでなしでクズのブラッドショー男爵か?」


 近衛兵たちのあとから男性が入ってきた。


 背が高くて筋肉質で渋カッコいい。ついつい見惚れてしまう男性である。


「な、な、なんだ?」


 夫は、拳を突き上げたままかたまっている。


「だ、だれだ、貴様は?」


 夫は、そのままの姿勢で視線を男性に向け、がんばって虚勢を張った。


 が、内心ではコソ泥みたいにオドオドしているはず。


 その夫のブラウンの瞳がキョトキョト動いているのが、開け放たれた扉から射し込む陽光でよくわかる。


「ほう……。この国にわたしのことを知らぬ者がいるとはな」


 危機一髪のところを助けてくれた渋カッコいい紳士は、心の底からおかしかったのか大笑いした。


 爽快ともいえるその笑いは、この場においてはあまりそぐわない気もするけれど。


「こいつっ、いったい何様だっ!」


 夫は、さすがにフリーズ状態から解放された。そして、さらにがんばって虚勢を張った。


「さあ、いったいだれだろうな?」


 渋カッコいい紳士は、笑いながら返した。


 彼は、あきらかに夫をバカにしている。


「バカにしやがって。一発殴ってわからせてやる」


 そして夫は、狭いエントランスにひしめいている近衛兵たちの存在を忘れてしまっている。


 わたしを殴ろうとした拳を、あろうことか紳士に向けたのだ。


 そして、紳士に突進した。




 わたしが嫁いだのは、夫を愛したからではない。


 わたしは、これでも一応男爵令嬢である。とはいえ、わが家はそう裕福でも力があったわけでもない。没落とまではいかずとも、相当苦しかった。だから、使用人を雇うどころか日々の生活をきりつめなければならなかった。それでも、両親はわたしを街の学校で学ばせてくれた。残念ながら、貴族や裕福な商人の子たちが通う王立学園で学ぶことは出来なかった。だけど、わたしは街の学校で充分だった。充分に学べたし、友人もたくさん出来たから。


 しかし、そんなささやかな生活も十五歳になったばかりの頃に終わりを迎えた。


 両親が事故で亡くなったのだ。


 両親は、事故で亡くなる少し前に「ユカ。事業がうまくいったから、来季から王立学園に編入するといい」と言ってくれていた。「生活もラクになるからな」、とも。


 とはいえ、わたしはそんなことはどうでもよかった。街の学校の友人たちといっしょに街の学校に通いたかった。友人たちと離れるのがつらかったのだ。


 しかし、そんな話をしていた両親が事故で亡くなってしまった。


 しばらくは呆然とした。


 まだ両親の死を受け入れられないでいるとき、父の弟一家がやってきた。


 叔父は言った。


「兄さんが亡くなった以上、おれがレイトン男爵家を継ぐのが当然のことだ」


 そのように。


 わたしの不運は、始まった瞬間である。


 それはまるで、苦労ものの書物の筋書きのままだった。


 ヒロインは召使になり、虐げられ苦労する。


 まさしく、その状態が三年続いた。


 そんなとき、街である貴族に出会った。


 彼は、みすぼらしいわたしを気に入ってくれた。


 いまにして思えば、それがおかしかったのだ。


 が、当時のわたしは、そんなことにはまったく気がつかなかった。


 その彼は、わたしに「おれの妻になり、家を支えてくれ」と言った。


 わたしとしては、その誘いは魅力的だった。


 とにかく、逃げたかった。すべてから逃げたかったのだ。


 なにより、居場所が欲しかった。家族が欲しかった。


 だまされているとも知らず、彼に嫁いでしまった。


 第二の不幸の始まりとも知らずに。


 だまされたと知ったのは、嫁いだ瞬間だった。


 嫁いだといっても、彼はなにかしてくれたわけではない。たとえば、式や宴など。それどころか、彼は親類や知人や友人に知らせることさえしなかったに違いない。


 ブラッドショー男爵家には、面倒を見なければならない人たちが大勢いた。


 まずは年老いた夫の両親と、その両親の兄弟姉妹。合計で四人いて、寝たきりで全介護状態だった。


 それから、夫の前妻と前々妻との間の子どもたち。さらには、夫が街で作った子どもたち。後日、他の子どもたちも合流することになる。


 とにかく、驚くほどの人数である。


 夫は、真実を隠していたばかりか年齢まで偽っていた。それから、結婚歴も。


 はやい話が、夫は愛する妻ではなく、タダ働きしてくれるメイド兼介護人兼子育て人を求めていたのだ。


 もっとも、だました彼だけが悪いわけではない。わたしもまた、彼に嫁いだのは彼への愛ではなく、居場所を求めてのことだった。それから、夫のことを見抜けなかったこともいけなかった。


 ブラッドショー男爵家もまた、わたしの実家であるレイトン男爵家同様没落の一途をたどっていて貧乏だった。もしかすると、わが家よりひどかったかもしれない。


 そんな状態の夫が、だれかを雇うことができるわけはない。だからこそ、妻という名の働き手が必要だった。



 嫁いだその日から、わたしは働きずくめだった。


 介護に育児に家事。家計を助ける為に内職もした。


 とにかく、自分のことより家族が優先。


 せめて家族が食べる物だけは稼がないと、と奮戦した。


 夫?


 彼は、いつも街で遊んでいた。レディとの遊びだけではない。賭け事やその他悪いこともしていたらしい。


 彼は、ほとんど屋敷にいなかった。


 わたしは、嫁いでからは一度も彼に顧みられなかった。


 嫁ぐ前、一度だけそういう関係になった。というか、なかば強引に処女を奪われた。


 酔った勢いか性欲のはけ口か。とにかく、無理矢理だった。


 口惜しかった。残念だった。情けなかった。


 しかし、すべてを我慢した。耐え忍んだ。やりすごした。


 居場所を得る為に、家族を得る為に、すべてを犠牲にしたのだ。


 というわけで、彼に抱かれたのはそのたったの一度だけだった。


 以降、顔さえまともに見られたことはない。


 たまに帰ってきても、介護と育児と家事と内職に「疲れきっていて辛気臭いおまえの顔など、見たくもない。ツキが落ちる」とハッキリくっきりスッキリ宣言された。そして、「鬱陶しい」とか「邪魔だ」と怒鳴られ、殴られたり平手打ちをされた。


『ガキどもを連れて出て行け』


 それも彼の口癖のひとつである。


 わたしがお腹を痛めて産んだ子は、ひとりもいなかった。だけど、育てているうちにわたしのすべての子どもたちがわたしの子どもたちになっていた。


 その子どもたちを連れて出ていくことなど、出来るわけはない。


 だからこそ、夫にひどい目に遭わされても耐えた。逆らわず、ひたすら我慢した。


 わたしの人生は、耐え忍び我慢することだと悟った。


 すべてを諦めることだと理解した。


 そんな生活の中、介護していた義理の両親や義理の叔父叔母があいついで亡くなった。


 悲しみよりも後悔が大きかった。しかし、ホッとしたことも確かである。


 自分に出来ることは全部やった。そう思うようにした。


 もっとも、義理の両親たちは、最期までわたしに対して不平不満を言い続けていたけれど。


 介護がなくなり、子どもたちも日々成長していく。上の子たちに手がかからなくなると、その子たちに下の子たちの面倒をみてもらい、働きに出るようになった。


 子どもたちが望むなら、せめて街の学校に行かせたい。そう考えたからである。その為には、学費を稼がなければならない。


 ありがたいことに、子どもたちは夫に似ていなかった。どの子もいい子ばかりで、頭がよかった。王立図書館に連れて行ったら、小さな子たちは絵本を、真ん中の子たちは子ども向けのお話や書物を、上の子たちは大人向けの小説や専門書を、それぞれ静かに読み楽しんでいる。


 上の子と真ん中の子たちには、勉強を教えた。しかし、それも限界がある。


 親の都合で子どもたちの将来や夢や希望や可能性を潰すわけにはいかない。チャンスを取り上げるわけにはいかない。


 必死だった。


 とはいえ、教育熱心な母親というわけではない。


 あくまでもそれぞれの気持ちやヤル気に添いたいだけである。


 そんなわたしにも、やっと運が向いてきた。


 いい仕事が見つかったのである。


 偶然? いいえ。必然だったのかもしれない。


 その頃には、貴族たちの間でブラッドショー男爵家の悪評が知れ渡っていた。


 夫は、レディ遊びや賭場で散々遊んでいるだけではなかった。さまざまな悪事に手を染めさえしていた。


 とはいえ、そのときにはまだ噂にすぎなかったのだけれど。


 男爵家は、近い将来なくなるだろう。現当主である夫が潰してしまうだろう。


 それが周囲の人たちの推測だった。


 それを聞いたとき、わたしも同感だと心から思った。


 しかし、ブラッドショーの悪評に反して、世間は子どもたちとわたしには厳しくなかった。


 わたしがたくさんの子どもたちを育てているのを知っている周囲の貴族たちが、王宮での仕事を世話をしてくれたのだ。


 王族が王宮で勤めている人たちの為に託児所を立ち上げるという。いわば福利厚生の一環である。


 その託児所で、子どもたちの面倒みる人を捜しているらしい。


 さっそく応募してみた。すると、すぐに面接をしてくれた。


 雇用されると、下の子たちも連れて行って他の子どもたちとすごさせていいという。しかも驚くほどの給金をもらえるらしい。


 当然、王宮にもわが家の、というよりか夫の素行の悪評は知れ渡っている。しかし夫の悪評は、家族には関係がないと言ってくれた。


 というわけで、わたしは採用されることになった。


 すぐに勤め始めたことはいうまでもない。


 とはいえ、よその子たちの面倒をみるのは難しい。一筋縄ではいかないのだ。


 しかし、それもすぐに慣れた。この仕事がすぐに好きになり、自分に合っていたからかもしれない。


 預かっている子どもたちが子爵家や男爵家、それから平民の子どもたちである。たとえ子爵家や男爵家であっても、そこまで裕福ではない。だからこそ、王宮で侍女として働いている。身分は関係ない。とくに子どもたちの間では。


 みんな平等に扱った。


 それはともかく、仕事は楽しかった。大変だけれど、充実した日々をすごした。


 が、せっかくいただいた給金も夫に取り上げられてしまう。


 子どもたちに美味しいものを作ったり買ったりするのがせいいっぱい。学費は、なかなか貯まらない。かといって、ここ以上の働き場所などあるわけがない。


 焦燥に苛まれる。


 上の子たちは、わたしの焦燥や葛藤を察したらしい。


「母さん、おれたちは大丈夫。図書館で本を借りればいくらでも勉強は出来る。それよりも、どうか無理はしないで。体を大切にして」


 口を揃えてそう言ってくれた。


 涙をこらえるのに必死だった。




 そのような中、託児所で変化が、というよりかわたし個人に変化があった。


 託児所自体は、すっかり軌道に乗った。子どもたちは機嫌よく過ごしているし、その親たちは安心して働けると大好評である。


 わたしの仕事は、小さな命を預かっている。加えて、子どもたちはひとりひとり個性があり、それを尊重する。とにかく、なにごとも一筋縄ではい。わたしの、というよりか大人の思うようには決していかない。


 それでも面白かった。毎日はワクワクどきどきだった。


 子どもたちよりわたしの方が子どもなのかもしれない。


 

 そんな子どもたちを送り迎えするのは、ほとんどが母親である。が、父親も数人いる。


 王宮は、半端なく大きい。けれど、そこで働く人たちは無限にいるわけではない。つまり、この世界はそれほど大きくも広くもない。ということは、職場内でいい人に出会い、付き合ってゴールを迎えるカップルもすくなくない。そういう職場内結婚だと、おのずと共働きになってしまう。経済的な理由というよりか、母親のほとんどが育児でしばらく休んだ後に復職を希望するからである。どちらもが働く場合、父親が協力しなければならない。母親ばかりに負担をかけられないから。そうなると、送り迎えは父親の役目になるらしい。それは、職場内結婚の場合以外でもいえる。母親が他で働いている場合、そちらではこのような託児所のようなものはいない。自分たちの親や親類が協力してくれるならいざ知らず、ベビーシッターや私設の託児所に預けるには費用がいる。こちらの託児所を利用する方がお得なのはいうまでもない。


 それにしても、ここで働くようになって初めて、世の中の多くの父親が家事や育児に積極的に参加し、手伝っているということを聞いて心の底から驚いた。


 うちでは、というよりかわたしの夫だと、とてもではないけれど考えられない。夫がそんなことをしている姿を思い描くことさえ出来ない。


 とはいえ、わたしのお父様はよく遊んでくれたり、いっしょにいてくれたけれど。


 わたし自身のことはともかく、託児所に送り迎えする父親の中に執事がいる。その執事の子どもたちに母親はおらず、ということはその執事の妻はいないので、周囲の協力を得つつ子育てをしているという。


 その執事を見た瞬間、どこかで会ったことがある顔だと思った。もしかすると、以前どこかで見かけただけなのかもしれない。それとも、デジャブーみたいなものかもしれないけれど。とにかく、その執事とはほぼ毎日顔を合わせ。そのつど、最初に感じたデジャブーのような感覚は拭えなかった。というか、その執事には、昔から知っているご近所さんとか知人とかそういう親近感を抱き続けた。


 そんな彼の名は、マイク。愛称らしいけれど、なぜか本名は教えてくれなかった。


『ダサいんだ』


 そう言ってはにかむ彼は、わたしより五歳年長である。


 渋カッコいいという形容がぴったりな容姿。それから、筋肉質な体格。さらには穏やかでやさしく、気遣い抜群で機転がきく。もっというと、子どもたちにやさしい『最高の父』でもある。


 わたしの夫とは真逆。それがマイクである。


 彼は、王族付きの執事。ということは、伯爵以上の爵位の可能性が高い。


 それなのに、彼は三人の子どもたちを託児所に預けている。


『屋敷で大人たちとすごすより、託児所で他の子どもたちとすごす方がよほどいい社会勉強になる』


 というのが、マイクの持論である。


 わたしも同感である。


 というわけで、伯爵以上の爵位の三人の子どもたちも、うちの子どもたちや他の子どもたちたちといっしょに、泥だらけになったり擦り傷やたんこぶを作ったりして毎日へとへとになるまで遊んでいる。もちろん、昼寝もしているし、ランチタイムやおやつタイムもあり、さらには読み聞かせなどもあって毎日が大忙しである。


 とにかく、その三人の子どもたちは、毎日が楽しいらしい。機嫌よくすごしている。なにより、その子たちは可愛くて美しくて尊すぎるのだ。驚くべきことに、三つ子なのである。


 三つ子たちとすごすのが楽しい一方で、送り迎えで訪れるマイクとのひとときもまた、いつの間にか楽しみのひとつとなっていた。


 マイクは、託児所が終了する間際にやって来る。あるいは、他の子どもたちが帰ってしまうまで待ってくれている。


 彼は、長年王宮で執事をしていることもあり王宮内のことならなんでもよく知っている。とくに子どもたちが遊べそうな場所は、くまなく把握しているから感心してしまう。


 おたがいの子どもたちをそういう場所で遊ばせている間、子どもたちに目を光らせ配慮しながらでも彼との会話がはずんだ。


 驚くべきことに、夫にたいするやましさやうしろめたさはいっさいなかった。なぜかはわからないけれど。


 おそらくは、マイクとの関係が男女の関係などではなく、あくまでも保護者どうし、もしくは子どもを預ける者と預けられる者の関係だからに違いない。


 すくなくとも、わたしはそう信じていた。


 まぁ、マイクとの会話のほとんどが子育てのことばかり。色っぽいことやそれっぽい話題は皆無だったこともある。とはいえ、マイクはわたし自身のことを尋ねてくることもあった。その際には、夫のことを包み隠さず伝えた。彼は、どうせ噂で知っている。たとえそのときには知っていなくても、いずれ耳に入る。上流階級という世界は、ある意味では狭すぎる。しかも、ほとんどの人たちが噂話を何よりの娯楽にしている。ほとんどの人たちが、噂話を広めたり聞いたりすることが大好きなのである。


 というか、マイクに夫の話をしていると、愚痴になっていたかもしれない。ついつい泣き言を言ってしまったかもしれない。


 彼は、そんなわたしのどうでもいい話を辛抱強くきいてくれた。


 わたし自身は、それだけでよかった。


 マイクは、子どもたちにもよくしてくれた。いつも一緒に遊んでくれる下の子たちだけでなく、真ん中の子たちや上の子たちにも興味を抱き、王宮に招待してくれた。お菓子やケーキをいっぱい持って来てくれて、みんなでピクニックのようなことをしたこともあった。彼は、探検ごっこや戦争ごっこなどわたしにはとても付き合えないような遊びもいっぱいしてくれた。あるいは、図書館にはない難しい本を貸してくれたことも一度や二度ではなかった。


 そのような付き合いの中、「あれ?」と違和感を抱き、疑問に思ったことが多々あった。それは、マイクについて、である。彼にたいしては、最初から「あれ?」と思わないでもなかった。しかし、「まさか彼が?」という思いと、「いくらなんでも彼が?」という信じられない思いもあった。


 とはいえ、彼との付き合いがさらに深く濃くなっていくにつれてその思いに変化がでてきた。「あれ?」とか「あら?」というよりも、「ほんとうに」とか「うそよね?」という思いへと変わっていったのだ。同時に、「どうしよう」や「信じられない」と焦りや驚きを抱くようになった。


 そんな彼への微妙な思いは、しだいに想いへと変化していったのかもしれない。しかし、わたしには夫がいる。たとえバカでクズでろくでなしであったとしても。法的に夫がいるのである。


 加えて、自分ではそういう想いを認めたくなかった。これ以上、傷つきたくないという思いが勝っていた。子どもたちや仕事には恵まれ、それなりにしあわせではあった。しかし、男運というかそういう系ではあいかわらず孤独だった。ひとりぼっちで居場所がなかった。


 そんなわたしに、いまさらしあわせがやってくるわけはない。だれかに寄り添ってもらい、居場所を与えてくれるわけはない。


 それなら、深入りはしない方がいい。


 どうせどうでもいい夫もいるのだから。


 そう何度も自分に言い聞かせた。


 が、驚きべきことが発覚した。


 結論から言うと、夫とわたしは法的に結婚していなかった。つまり、夫は口だけで「結婚した」と言っていて、しかるべき機関に申し出や手続きを行っていなかった。わたしだけではない。前妻、前前妻もまた、法的には存在していないという。はやい話が、夫は一度も結婚していない。


 その事実は、わたしにとって驚き以外のなにものでもなかった。


 夫は、わたしや前妻や前前妻をだましていたのだ。


 ちなみに、前妻と前前妻は「逃げた」と、夫からきかされていた。逃げた理由が、夫からの暴力に耐えかねてのことなのか、あるいは夫に愛想を尽かしたことによるのか、もしくは他に理由があったのかはわからない。


 自分がお腹を痛めて産んだ子どもたちを置いてのこと。よほどの事情があったのだ。


 そう思い込んでいた。


 が、さらに驚くべきことに、「逃げた」はずの前妻や前前妻の行方がまったくつかめず、わからないという。


「いらぬお世話だというのは重々承知している。しかし、きみの上の子どもたちや真ん中の子どもたちのことがある。子どもたちと君は、精神的には母子関係であっても法的にはそうではない。だから調べさせたんだ」


 あるとき、マイクは言いにくそうに言った。


「前妻と前前妻の行方がまったくわからない。まるでこの世に存在していないかのように、見事に足取りをつかめない。専門の調査員が調べても、存在している痕跡がまったくないのだ。もしかすると、ふたりとも亡くなっているのかもしれない、というのが調査員たちの推測だ」

「そ、そんな……」


 すぐに思い至った。というか、ふだんの夫をみていると、そう考えてしまって当然である。


 ふたりとも夫に殺されたか、あるいはどうにかされたのだ、と推測してしまったのだ。


「だとすると、前妻と前前妻の子どもたちにはなんて言えばいいのかしら。ああ、なんてことかしら……」


 ショックすぎてどうしていいかわからない。


 子どもたちが望むなら、いつか母親に会わせたかった。わたしは、あくまでも育ての親。産みの親に勝ることはない。出来れば、ほんとうの母親とも仲良くして欲しい。きっと母親もそう望むはず。


 夫にたいする悲しみや口惜しさ。そして、憎しみと怒り……。


 この際、わたしはどうでもいい。しかし、前妻と前前妻のこと、その子どもたちのことを思うと、やりきれない。


 生まれて初めて、誰かに対して激しい憤りを感じた。憎いと思った。


 怒りや憎しみにのみこまれそうになったわたしを救ってくれたのは、マイクだった。彼は、わたしに代わって子どもたちに事情を話してくれた。とてもうまく、である。わたしにはとても出来そうにないことを、彼は進んでしてくれた。そして、子どもたちとわたしの心のケアまでしてくれた。


 いまはまだなにも出来ない。しかし、いつか報復する。


 みんなでそう誓った。


 その際、マイクは自分の正体を明かしてくれた。


 そして、そのときが来るまで、いままでのように過ごすことになった。ただし、夫への警戒は怠ることなく。


 さいわい、夫はほとんど屋敷に戻ってこない。戻ってくれば、暴力をふるわれる。が、いつか報復できると思えば、前妻と前前妻の無念を晴らせるという信念があれば、夫からの多少の暴力は耐えられる。マイクは反対したけれど、そのときまでは耐えてみせると言い張った。


 マイクは、それでも何度も反対した。そのつど、彼を宥めるのが大変だったことはいうまでもない。


 そうして、さらに月日が流れた。上の子たちは王立学校を卒業してそれぞれの道を歩んでおり、真ん中の子たちは王立学校に在学している。


 学費は、すべてマイクが負担してくれた。


 というか、わたしが王宮で一生働くからと前借りのようなことをしてもらった。


 そうでないと、気がすまないから。


 マイクは苦笑しつつ、わたしの主張を認めてくれた。


現在  ブラッドショー男爵家のエントランスにて

  

 

 夫は、あろうことか渋カッコいい紳士に、というよりかマイクに殴りかかった。


 近衛兵たちがいっせいに動こうとした。


 当然である。彼らは、マイクを守っているのだから。


 しかし、マイクはそれを片手を上げて制止し、そのままその手を握りしめた。


 一瞬の出来事である。


 マイクは、夫のヨロヨロもたもたのパンチを余裕で躱すと、そのまま夫の顎に拳を叩きつけた。


 夫は、書物の場面にでてくるように放物線を描きつつ華麗に宙を舞った。それはもう、ものの見事に。


 わたしだけでなく、近衛兵たちもその見事な舞を見ている。


 マイクは、キングストン王国軍の将軍を務めていた。その為、鍛え方が違う。彼は、いまだに鍛錬を欠かさない。というわけで、現役の頃と遜色ないのである。


 夫は宙を舞い、床に落ちた。わが家の床は、王宮の大理石の床とは違って傷みまくっている木製である。


 夫は、その傷みまくっている床に背中と臀部をしたたかに打ちつけた。


 そのとき、開け放たれている玄関扉から上の子たちが入ってきた。彼らは、現在王族付きの執事や大臣の秘書をしている。


 それもまた、マイクがチャンスをくれたからである。もちろん、わたしが思っていた以上に彼らが優秀だったこともある。


 子どもたちがバカで愚かでクズな夫に似ていなくて、ほんとうによかった。


 心からそう思う。


 それはともかく、上の子どもたちも床でうなっている夫を見ている。


 わたし同様、冷ややかな瞳でもって。 


「ああ、くそっ! わたしとしたことが、ついやってしまった。まぁ、仕方がない。いまのは、あくまでも正当防衛だ。ユカとわたしの身を守る為、やむなくやった。そうだろう、隊長?」


 マイクが尋ねたのは、近衛隊の隊長である。


 シルバーグレイのカッコイイ隊長は、もともとこのキングストン王国の将軍でマイクの師でもある。


「ええ、そうですね」


 隊長は、そうでなかったとしてもマイクに同意した。


 

「ううっ! 痛い、痛いよ」


 夫は、床上でうんうんうなっている。


 彼が体をくねらせるたび、床がギシギシと怖ろしい音を発する。


 ブラッドショー男爵家の屋敷は、老朽化して限界を迎えつつある。メンテナンスどころか、建て直す必要がある。しかし、とてもではないけれどそこまで手がまわらない。というか、費用の融通が出来るわけがない。子どもたちもわたしも、崩れそうだとか抜けそうな箇所は把握している。だから、そういうヤバそうなところは避けて通らねばならない。床だけではない。どこもかしこもボロボロである。


「痛いか? 苦しいか? ユカや子どもたちは、もっと痛かったし苦しかったぞ。わたし個人的には、一発ではまったく足りないくらいだ。もう四、五発殴り、蹴ってやりたい。が、そんなことをすれば、おまえと同じだし、ユカや子どもたちも望まんだろう」


 マイクの視線が、わたしのうしろへと移った。


 いつの間にか、真ん中や下の子どもたちがやって来ている。


(これだけ騒いでいるのですもの。なにごとかと見にくるわよね)


 わたしが振り向くと、子どもたちはいっせいに駆け寄ってきた。


 下の子たちはわたしの足に抱きついてきて、口々に「母さん、大丈夫?」と尋ねてきた。


「大丈夫よ。あぶないから、下がっていてね」


 やさしく言うと、真ん中の子たちが下の子たちをうしろへ下がらせた。


 それから、みんなそろってマイクに頭を下げて挨拶をした。


「ありがとう」と「こんにちは」という謝辞や挨拶は、なにがあってもちゃんとするようにとつねに口を酸っぱくして言っている。


 すべての子どもたちが、うんざりしているとしてもそのことをきちんと守ってくれている。


「やあ、みんな。もうすこし待っていてくれ。これが終ったら、今夜はいっしょに帰ろう。わたしの三つ子たちが、きみたちと君たちの母さんのことを首を長くして待っているからな」


 マイクは、途端に笑顔になった。


 ありがたいことに、彼は自分の子どもたち同様わたしの子どもたちのことを可愛がってくれている。



「というわけで、そろそろ王宮に戻らねばならない。おまえは、このまま憲兵に引き渡す。まずはふたりのレディの殺害と死体遺棄の容疑。それから、詐欺や詐称や強盗や傷害などなど。余罪はたくさんあるが、殺害や死体遺棄だけで断頭台に立つのは決定だな。もちろん、おまえには法廷弁護士を雇う権利はある。もっとも、断頭台を回避出来るだけの法廷弁護士を雇えれば、の話だがな」


 マイクは、夫が雇えるわけはないとわかっていながらアドバイスをした。


「お忘れですぞ、陛下。この者には、もうひとつ罪があります。もっとも、その罪はふたりのレディの尊い命よりかはかなり軽いですがな」


 そのとき、近衛隊の隊長がニヤニヤ笑いとともに口をはさんだ。


「ああ、そうだな。軽すぎて忘れていたよ。もうひとつあったな」


 マイクは、いまだ床上でうなっている夫の襟首をつかむと軽々と持ち上げた。


 襟が裂ける「ビリッ」という音がきこえてきたのは、きっと気のせいだったのだろう。


「きこえているか、クズ野郎」


 マイクは、夫の耳に口をよせて囁いた。


「わたしは、このキングストン王国の国王だ。そして、ユカと彼女の子どもたちを守る夫となる男だ。覚えておけ」


 マイクは、そう宣言すると夫を床に叩きつけた。


 その瞬間、夫が叩きつけられた拍子にその辺りが崩れた。


 夫は、床とともに落ちていった。


 情けない悲鳴とともに。


 彼の不幸は、始まったばかりである。



「待たせたな、みんな。馬車を待たせている」


 マイクが腕を広げると、下の子たちが駆け寄って彼に抱きついた。


「陛下が床を壊しました」


 一番下の子の指摘に、近衛隊の隊長や隊員たちが笑い始めた。


「おっとすまない。どうしても許せなかったんだ。それはともかく、みんな、暴力はいけないぞ。いまのは、悪い手本だ。みんなの母さんを苦しめる奴を懲らしめる為だった。だから、オーケーというわけだ。だろう? それから、屋敷については床だけではなくすべてを壊して建て直す」


 子どもたちがいっせいに歓声を上げた。


「陛下。費用は、かならずやわれわれが」


 一番上の子たちは、すでにそのことを知っている。


「ああ、心配するな。きみらの給金から差し引いておくからな」

「参りました、陛下」


 マイクも上の子たちたちも笑っている。


「ユカ、さぁおいで」


 下の子どもたちがさっとどき、マイクに抱きよせられた。


「ずいぶんと長かったが、いよいよいっしょに暮らせる。ほんとうに婚儀は必要ないのか?」

「陛下、そのようなものは必要ありません。というか、わたしのような身分、それから見た目の悪さでほんとうによろしいのですか?」


 男爵令嬢だし、見てくれはけっしていいわけではない。いくら再婚とはいえ、はっきりいってこんなわたしは国王の伴侶としてふさわしくはない。


「たしかに、環境や立場はガラッと変わる。王妃教育を受けるのも大変だ。それが終れば、内政や外交を助けてもらわねばならない。だが、きみは自分で思っているほどではないぞ。外見も内面もな。というか、わたしは、きみに助けてもらう以上にきみを全力で守る。すべてのことから守り抜く。そして、きみも子どもたちも、かならずやしあわせにする。だから、わたしの妻になってほしい。そして、わたしたちの子どもたちみんなの母親になってほしい」


 わたしのもともとの子どもたちとは、マイクが養子縁組をしてくれてほんとうの母子になっている。それもまた、ありがたいことだった。


 マイクのあらためての求婚である。


「陛下、すべてにおいて全力を尽くします。そして、あなたにとって良き妻、それから子どもたちにとって良き母親になります」


 即答だった。迷う必要などなかった。


 今度は、最初のときとは違う。


 今度は、彼を愛しているから、尊敬と信頼があるから、なにより愛があるから彼と結婚する。


 ちなみに、マイクの本名はマイケルソン。彼を見たことがあったような気がしたのは、以前彼の国王即位の式典で多くの人たちに交じって遠くから彼を見たことがあったからだ。


 わたしも元夫、というよりか元夫でもなかったあのクズ野郎のことを笑っていられない。


 苦笑しかけた瞬間である。


 マイクに口をふさがれた。彼の唇によって。


 子どもたちがよろこびの、というよりか照れくさそうな声を上げた。


(照れくさいのは母さんよ)


 しばし痺れるような、甘いような感覚をボーッと味わいつつ心の中でツッコんでいた。


「ユカ、さあ王宮へ行こう。おっと、その前にきみの実家であるレイトン男爵家に寄ってきみを娶る挨拶をしないとな。ところで、きみを蔑ろにしたという叔父一家は、今夜はどこか泊まるところはあるかな? いまからの時間だ。宿屋も空いていないかもしれんが」

「それならそれで、野宿でもするでしょう」


 にこやかに答えた。


 マイクは、叔父一家をレイトン男爵邸から追いだすつもりでいる。


 レイトン男爵家の正統な後継者はこのわたしなのだから、叔父一家が居座る権利はない。叔父が後継者を気取ることは出来ないのである。


 マイクにエスコートしてもらい、馬車に乗り込んだ。


 将来、子どもたちのだれかがブラッドショー男爵家とレイトン男爵家を継ぐことになるかもしれない。


 もちろん、それも強制ではない。子どもたちのだれかが「継ぎたい」、と望んでくれればの話である。


 三台の馬車がブラッドショー男爵家から去った。


 同乗する子どもたちの何人かもわたしも、二度と振り返ることはなかった。他の馬車に乗っている子どもたちも同様だろう。


 それよりも、前を向きたい。これから先を見たい。


 そして、しあわせになる。


 マイクや彼の子どもたち、わたしの子どもたち、みんなそろって。


 今度こそほんとうに居場所が出来た。


 なにより、ほんとうの家族を得た。


 これからは、家族みんなでしあわせになる。




                            (了)



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