37. キャラクター作成 II (1)
ここは、審判の間でも正邪の間でもない。ヤミコは、会議室、と呼んでいた。比較的、明るい雰囲気の白い壁の部屋で、調度品も落ち着いている。椅子を八つ、周りに並べ置くことができるだけの大きさのあるテーブルの上には、見慣れた炭酸飲料のペットボトルが人数分、置いてある。
ここは異世界の神界だ。違和感しかない。
「『戦国双刀伝』のルールは、今の説明でだいたい終わりなんだが、まぁ、そうだな。分からないことが出てきたら、その都度、説明するとして、まずはキャラクターを作ってもらおうか」
俺の右側には、手前からヤミコ、ツチヨ、メイコさん。左側は、手前からソラタロウ、湖上、砂上の順で座っている。TRPGをやる上での座り方は、GMの隣りにビギナーを座らせるパターンもあるが、俺はどちらかというと、全員の顔を見渡しやすい、誕生日席にGMが座るパターンの方が好みだ。
プレイヤー全員と、等距離で接することができるからなんだが。
「さっきも説明したが、ヤミコは既に、キャラクターを作っているんで、それを使ってもらう。レベルは2だ。で、ヤミコに合わせて、残る全員にはレベル2のキャラクターを作ってもらうことになるんだが」
種族と職業の割り振りだよな。
「プレイヤーが六人いるんで、二冊目のデータも使ってもらってかまわない。いちおう、人数分、二冊目のルールブックを、追加で用意した」
「僕が買いとるよ」
「別に、いいぞ、これぐらい」
「さすがにね。僕が鵜川くんに頼んだことでもあるし。宝石とかでもいい?」
「せめて、なんとか機構で日本円に替えてくれ」
なんとなく、重い雰囲気があるから、こういう軽口を叩いてくれるのは正直、ありがたい。湖上と砂上が、どういった感情でここにいるのかは、分からんからな。
「分かった。じゃあ、受け取ってくれるということでいいね?」
「ああ」
あと、これは突っ込むべきなのかどうか、迷っているんだが。
こいつらが地球世界の服装でいる理由は、なんなのか。砂上の騎士鎧やら、ヤミコのあのドレスは確かに、TRPGをやるのには適していないような気がするが。単純に、動きにくいだろうからな。
「確認なんだが、お前ら、普段着それじゃないよな」
「違いますわ。天空神さま……ソラタロウさまのご提案ですわ」
ツチヨがルールブックから顔を上げて言った。
お前か。
「まぁ、肩から力を抜いて、気分転換をさ。そういうことだよ」
「変に、身構えられるよりは俺としては楽でいいが」
さて。そろそろ。
「種族と職業を決めて欲しい頃合いなんだが、どうだ?」
====================
『戦国双刀伝』の二冊目のルールブックである、『巻之二 追加データ+リプレイ後編』で追加された種族と職業は、次の通りだ。
■追加種族
土蜘蛛
河童
狛犬
■追加職業
刀鍛冶
からくり師
歌人
====================
「ヤミコさまと同じ種族や職業を選んでも、かまわないのでしょうか」
メイコさんか。
「いいぞ、別に。自分のしたいことをまずは優先して、そこから、俺も含めて全員で、相談しながら突き詰めていけばいい」
====================
『巻之一 基本ルール+リプレイ前編』の、いわゆる基本になる種族と職業は、こんな感じだ。
■基本種族
人
猫又
天狗
鬼
妖狐
■基本職業
侍
鉄砲使い
忍者
神職
陰陽師
仏僧
山伏
====================
まぁ、初めてのTRPGだ。
悩むよな。俺もそうだった。




