35. 物語 (1)
王女の結末を聞いたあと、何も言えなくなった俺と、顔色が悪いままのヤミコを気遣ってだったのだろう、ソラタロウが休憩を宣言した。私は大丈夫です、と繰り返し言うものの、メイコさんに半ば引きずられ、湖上と砂上にも気を使われながら、ヤミコは正邪の間から退場した。
湖上と砂上は、半透明のおっさん、まぁ、隊長さんか。隊長さんが対応することになり、俺は自分の家に戻った。戻り際に、聞いてくれてありがとう、的なことを湖上と砂上に言われたが。
なんとも。言葉にならん。
で、だ。
「お前はどうしてここにいる」
「まぁまぁ、いいじゃない。気楽にいこうよ」
ソラタロウがついてきた。
しょうがねぇな。
「なんか飲むか?」
飲み物の買い置きは、多少ある。
「炭酸系のジュースがあると嬉しいな」
炭酸系のジュースね。オレンジのこれでいいか。
「コップを出すから待っていてくれ」
「いいよ、このままで。そこまでしなくても大丈夫だから」
「創世神だろ? お前のこと雑に扱ったら、こっちの世界にとばっちりがきたりしないのか」
「僕は、そこまで狭量じゃないよ」
「そうか」
ならいいか。俺も飲もう。
「あー、これもいいね。買って帰ろうかな」
「好きにしてくれ」
騎士と魔術師。二人の王子。王女さま、か。
「第二王子がどうなったのか、とか、あの二人がどうして神界にいるのか、とか。気になるでしょう?」
「……まぁな。無事であってくれ、と思うよ。心の底からな。特に、第二王子は」
「そうかい」
ソラタロウを立たせたままだったか。
「てきとうに、空いているところに座ってくれ」
なんか疲れた。座ろう。
「鵜川くんは、共感能力が高いタイプの人なんだね」
「そうか?」
俺の真正面に座りながら、ソラタロウが言った。
「そんな鵜川くんに頼み事があるんだが」
「頼み事?」




