33. 守護神たちの過去 (1)
俺が口を出すのは、違うよな。隣りのヤミコは、黙っている。
審判の間に入ってきた時に、このような機会をお作りいただき、ありがとうございますって言ったのは、湖上か。つうことは、ヤミコがこの話し合いの場を設けたわけだ。
「鵜川くんは、この二人の前世の話、知らないよね」
「初対面だからな」
そういや。
「挨拶がまだだった。初めまして、鵜川と申します。地球世界から、まぁ、色々あって今、ここにいます」
今更だけどな。丁寧語も、今更か。
「鵜川くんは面白いなー」
ソラタロウのその言葉で、湖上と砂上も少し、表情が緩んだようだ。
「天空神さまと対等なやり取りをされておられるのだ。我らにそのような言葉遣いは無用」
「闇の女神さまに対しても、少々、強めに出ていらっしゃる」
「いや、まぁ、成り行きでね」
湖上も砂上も、笑ってくれている。いい奴らだよな、こいつら。絶対。
なんとかなんねぇのかな。
「鵜川くんに、君たちの話を聞いてもらったらどうだい? 外の世界の人の意見を聞く機会なんて、なかなかないしね」
ヤミコは黙ったまま。ソラタロウが助けている感じか。
「鵜川どのがよければ、我々は」
「そうですね。聞いていただきますか」
若干、ヤミコが気になるな。
「おい。いいか、この二人の過去の話を聞いても」
「はい?」
「お前、ここのボスだろ」
「あ、はい。もちろんもちろん」
メイコさんも、表情は読めないがヤミコを気遣っているように見えなくもない。
「じゃあ、聞かせてもらってもいいか」
「分かりました」
湖上の言葉に砂上が頷き、二人が互いの言葉を補い合いながら話し始めたのは、まだ、砂上の国と湖上の国が二つに分かれる前の、遠い昔の物語だった。
双子として生まれた第一王子と第二王子。聡明だが病弱な第一王子と、武芸に長けておられた、と言った時の砂上はひどく懐かしそうな顔をしていたが、武芸に長け覇気もあった第二王子は、仲が良かったそうだ。
互いが互いを立て合い、次代の王は兄の方が相応しい、弟の方が相応しいと、子供の頃から譲らなかった。ただ、この二人の発言が、王国を緩やかに、第一王子派と第二王子派に分けてしまったのは、仕方がないことだったのかもしれない。
それだけ、この二人の王子は国民から好かれていた。




