3. ダンボールの中身 (2)
「だったら、自分でGMやれよ」
「そんな、難しそうじゃないですか」
「楽しいぞ、GMは」
「上手くできなかったらどうしようとか、そういうこと思ったりとか」
「そんなことを考えたことは、人生で一度もないな」
「えー、ほんとですかー?」
なんだよ、その疑いの目は。
「俺は中学の時の仲間内で遊び始めたからな。そりゃ、変な感じになったことは何度もあるが、それで文句言うやつなんかいねぇよ。それも思い出、だ。時間が経てばな」
「そういうものですか」
「ああ」
こっちの世界とこいつの世界が三年前につながって、世界が離れる直前にこの世界で買い物をした時に、TRPGのリプレイ付きルールブックを買った、と。で、それ読んで面白かった、といったところか。
ようは、TRPGを遊んだことはないわけだな。それでTRPGが好き、というのがよく分からんが、まぁ、リプレイは面白そうに見えるように書かれてるもんだし、気持ちは分からんでもないか。
「で? お前が、まぁ、TRPGに興味を持ってるのは分かったよ。それがどうして、ここにそのドアが出てくる理由になるんだ」
「あー、えーと、リプレイの続きが付いてる本が、前に行った本屋さんになかったんです」
「おぅ」
「それで、何件か本屋さんを周ったんですけど、どうしても見つからなくて。だったら、そうだ、この辺りで一番、TRPGの本がある場所に、ドアをつなげばいいじゃないかと、思いまして、そしたら、こちらの方に、つながってしまいまして」
この辺りで、一番、TRPGの本がある場所、ね。
「元々のドアは、人払いをしている場所につないでるんですけど、少し、強めに設定した、というか」
「条件付けが色々あるのに、それを調子に乗って全部飛ばして、TRPGの近くに全力でつなげようとした感じか」
「はい。調子に乗りました。でも、どこかの本屋さんの倉庫に直接、とかなら分かるんですけど、そうじゃなかったので……」
「そこの、物入れ。開けてみろ」
「え」
「そこのさ、部屋の隅に、片開きの物入れあるだろ」
「はい」
「開けてみろ」
「いいんですか?」
「かまわん」
「では、失礼します」
この辺りで一番、TRPGの本がある場所、か。
そうか。
「わ。ダンボール箱が山積みですね」
「それの中身、全部、TRPGだ」




