30. 審判の間 (2)
俺、確実に場違いだな。すげぇ、見られてる。
「こちらの彼は地球世界の人でね。ちょっと、縁があってここにいるんだ。気にしなくてもいいよ。無害だから、彼は」
騎士風の男と魔術師風の男が、うさん臭そうにソラタロウを見ている。
「この人、天空神ね」
半透明の隊長さんがそう、説明した途端、その場に二人が跪いた。いや、むしろ平伏した、と言った方が正しいか。ここまで顔色が悪くなっているやつ、久しぶりに見た。
「いいよいいよ、そんなの。気持ち悪いものを見る目で僕のことを見たのも、全然、気にしてないよ。守護神のみんなとは、顔を合わせる機会もないもんね。本当に、気にしてないよ。僕のことを気持ち悪くて汚いものを見るような目で蔑んでいたことなんか」
「いや、そこまでやってないだろ」
「おー、地球のツッコミだ」
……めんどくせぇ。
「悪いね、鵜川くん。天空神さまの相手させてさ。君らも、そういう、いかにも僕たちあなたさまを敬っています、みたいな態度が一番嫌いだから、天空神さまは。ほら、立って立って」
「ははははは」
ソラタロウが空虚な感じで笑っているが。わざとだろうな。お、男二人が立った。どっちも若いな。見た感じは。
「ごめんなさい、お待たせしました。えーと、湖上の騎士さんと、砂上の魔術師さんでしたよね」
「はっ」
「このような機会をお作りいただき、ありがとうございます」
なんか、会議でも始まるのか。さっき、守護神って言ってたな。この二人のこと。ソラタロウが。
「鵜川さん、鍵の調整、終わりました。どうぞ」
「もう、大丈夫だよな」
「ヤミコを信じなさい」
「ああ。分かった分かった」
さて。俺は、帰るか。ここにいても邪魔だよな。
「鵜川くん」
ソラタロウに腕掴まれた。
「なんだよ」
「帰ろうとしてる?」
「用は済んだ。俺は帰る」
「まあまあ。まあまあ」
何企んでんだ、こいつ。
「ヤミコくん、その二人との話し合いに、鵜川くんも連れて行っていいかい?」
も、つったな。今。
「え。天空神さまもいらっしゃるんですか?」
「駄目かな。僕のこと、卑猥で汚らしいものを見るような目で嘗め回すように見てきたその二人が抱えている問題に、ちょっと、興味が出てきてね」
「さすがに気の毒だから、そういう言い方はやめてやれ」
「僕は、楽しいことが好きだ」
「私もです!」
駄目だ。こいつら。……縋るような目で俺を見るなよ、湖上と砂上。
「分かった。まぁ、今日は休みだし、別に、時間はな。問題ない」
「それは良かった。いいかい、ヤミコくん」
「そうですね。鵜川さんに意見を伺ってみるのも、良いかもしれません。分かりました。天空神さまと鵜川さんも、正邪の間へおいでください」
正邪の間? ……面倒なことに巻き込まれったぽいな。




