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29. 上司 (2)

「面倒くせぇな、もう」


 ……いやがった。笑顔が胡散臭い。


「お。来た来た。闇の女神くんとお話したのかな? 僕に対する誤解は解けたみたいだね、良かった良かった。あ、ようこそ、神界へ」

「どうも」

「そうそう。鵜川くん。この、解放の扉ね。できればその鍵で鍵をかけておいて欲しいんだよねー」

「自動で鍵がかかるんじゃないのか」

「違うよ。この前は、僕がかけたんだ。少々、強引なやり方でだったけどね」


 それは。


「なんか、すいません、気がつかなくて」

「いやー、この世界の神気が地球世界に入り過ぎちゃうと、魔法が使えるようになったりとかさ。逆に、地球の世界の機械がこっちの世界で動くようになっちゃったりね。大変だから」


 それはまじで駄目なやつだな!


「知らなかったとはいえ、申し訳ありませんでした。以後、気を付けます」

「そこで提案なんだけど」


 なんだ。


「まず、僕に名前を付けてほしい。呼び名ネームってやつ」

「それで?」

「君の持っているその鍵に指輪を僕も付けるから。その指輪に、このドアから鵜川くんが離れたら、自動的に鍵がかかる機能を付けようじゃないか、という話さ。呼び名ネームがあれば、それができる」


 この鍵に奇妙な能力が増えていく。


「どうかな?」

「まぁ、はい、いいんじゃないっすかね」

「じゃ、呼び名ネームをよろしく」


 こいつも地球に自由に来たりできるようになるんだよな。俺、地球世界の上位存在って奴らに、キレられないか。付けるまで、こいつ、しつこく付きまとってきそうだしな。許せ、地球の上位存在たち。


「確認なんだが、天空神、なんだよな」

「そうだよ。この世界の空を僕は司っている」


 空か。ソラオ。違うな。


「じゃあ、ソラタロウで」

「ソラタロウか。ふむふむ。いいね。僕はソラタロウだ。鍵を貸してくれるかい」

「ああ」


 ソラタロウに鍵を手渡すと、ヤミコやツチヨがやったのと同じように、鍵を指先で弾いた。


「あの二人とは違うところに指輪をつけておいたよ。僕との直通連絡機能付きだ。扉も自動的に閉じるようにしたからね」


 鍵の後ろ側に短い鎖が付いて、その先に指輪がぶら下がっている。色は銀色で、透明な石が付いている。ダイヤモンドっぽいか?


「さぁ、行こう。闇の女神、ヤミコくんか。彼女のところに行くんだろう? それ、お土産か何かかい?」

「頼まれてたものをね」

「ほう」


 行こうってことは、こいつ、ついてくる気だな。まぁ、ヤミコの上司なんだし、大丈夫だろ。


「転移、審判の間」


 目を閉じて、決められた言葉を口にすると、身体がぶれるあの感覚があり、そして俺は審判の間にいた。ヤミコが座る、玉座の真正面に。


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